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子どもの発達と地域 研究会

−−2007年度の活動総括と2008年の活動方針−−

       姫野美佐子(子どもの発達と地域研究会・事務局)



「子どもの発達と地域」研究会 2007年度のまとめ


 今、学校現場は大変厳しい状況になっていると言われます。強い管理・評価体制のもとで、先生はなかなか子どもたちに向かい合う時間が取れないと言います。そして教育の今と未来を心配する方々の多くの人から「今こそ地域の出番」と、しばしば激励の言葉をいただきます。「子どもの発達と地域」研究会は、「確かにその通りだ、がんばろう」と考える一方、学校の先生方ともこれまで以上に連携を深めていきたいと考えています。

 なぜなら、大切なことは「子どもにとってはすべてが育ちの場」(センター研究集会・分科会のテーマより)だと考えるからです。今こそ、子どもに関わるすべての大人が手をつなぎ、ときには議論を重ねながら、協力していくときですね。

 2007年度は、活動が低調していた2006年度に比べると、意欲的に取り組めた一年でした。2006年度には、「発達問題研究会」との共催で企画を行うことにより、より広く深い視点を与えていただきましたし、また人と人のつながりも広がりました。2007年度に行ったふたつの企画は、そこからつながった内容で行うことができました。これからもつながりを活かし、さらに広く深い研究活動をすすめていきたいと思います。

 新しい事務局メンバーを、引き続き募集しています。興味のあるかたはご連絡ください。


1.通信について

 今年から、通信の内容を大幅に変更しました。「ミニ論文集」のようなものにして、連載論文をふたつ載せることにしました。

・ 第6号(7月発行) 「地域」という言葉の内容についてー学校教育との関連でー(棚橋啓一)NO.1/子どもの発達と子育てネットワーク(浅井定雄)NO.1/研究会からの報告/ちょっと一言コラム ・第7号(10月発行) 「地域」という言葉の内容についてー学校教育との関連でー(棚橋啓一)NO.2/子どもの発達と子育てネットワークNO.2(浅井定雄)/研究会からの報告/ちょっと一言コラム


2.公開研究会 

 9月15日(土)開催 18名参加

お話@左京少年少女センター指導員 浅野明香 「4日間のキャンプでこんなにお〜きくなりました」

(要旨)少年団とは、地域の異年齢の子どもたちが集まって遊びや話しあい、行事を通して地域に子どもの仲間と生活を作り出していく場。主に小中学生が対象で、地域の子どもたちが集まって、自分たちで考え、行動し、自分たちの力で楽しい活動を作り出していく場。それを、地域の高校生・大学生や社会人などの若者が「指導員」として支え、また、父母は父母会を通してサポートしている。 左京あおぞらキャンプは、左京6少年団合同のキャンプである。団の中で3〜6人ほどの班を組み、指導員が2〜3人付いて3泊4日を過ごす。

 少年団の基本でもある、「子ども自身の力」で作っていく。主に中学生が「村役員」となり、キャンプを中心となって盛り上げ、引っ張っていく。今年の村役員は、比較的大人しく、積極的に意見を言う子が少なかった。しかし4日間で変わっていった。

 指導員たちは、最初はこの村役員の子どもたちがちゃんとできるだろうかと心配で仕方なかったが、ずっと彼らを信じていた。例えば、朝のつどいでの「いっせえの〜で!」という全体での声だし(村役員が中心になる)も、声が小さかったが、指導員たちは、いつか必ずふっきれてできるようになると信じ、無理矢理やらせることはしなかった。4日間になると、朝のつどいでの「いっせえの〜で!」は、大きい声がでて、全員が初めてそろってできた。

 出村式では、村役員担当のチクサクコールは、涙が出そうなほどの大声だった。例年の村役員と比べると、色は違うが、最終的に年下の子どもたちが「村役員やりたい」「村役員かっこいい」といいているのをきくと、子どもの目にも、無理矢理ノリや勢いを出して盛り上げることよりも、いきいきと自分を全体の場で出し切っている姿が魅力的なのではないかと思った。

 また、ある中3の女の子の話。素直に指導員に甘えることが苦手。団会に来ても、部屋には入らない。文句ばっかり言う。申し込んでいた行事も直前でキャンセルする。

 今年のキャンプも直前でキャンセルしかけるなど騒動があったが、話合いの後、早退に変わった。当日は自分から積極的に楽しみにいく姿が見られた。3日目の朝、変えるときに指導員にお礼の手紙を書いてくれた。指導員はこの女の子との接し方にそれまで悩んでいただけに、この手紙に涙が出そうなほど感動した。指導員として、悩みながらも子どもから逃げないで向き合っていることが大切だったんだと気づくことができた。

お話A棚橋啓一 「地域での子どもの集団活動」(浅野さんの話も受けて)

(要旨)地域を、エリアとか環境としてだけでなく、人がつながり生活しているコミュニティ(地域社会)としてみることが重要である。地域社会には地域社会の文化があり、その中で子どもは一人ひとりを大事にすることや人間同士の関わり方なども身につけていく。現代の日本では経済・競争の流れが支配的になり、人間らしい地域のあり方が失われてきている。学校はもともと意図的な「作られた場」であり、最近特に、狭い知識や技術の学習活動に子どもを閉じこめる傾向が進んでいるので、もっとも重要な「人間形成」への取り組みが弱くなっている。一方地域では、子どもたちが主体的に活動する場(特定の知識や技術の習熟を目指す場でなく、子どもが主人公になって遊びや自分たちで何かを作り出すような活動をする場)が、強く求められている。それには、現状では、地域の青年・大人が意識的にそれを作り出し、その活動を保障することが必要になっている。

 活動の中身として大事なのは、1,遊び、2,話しあい、3,自分たちで考え、行動し、自分たちの力で多様な活動を作り出す、4,異年齢集団、5,指導員がいること、6,父母、父母会の存在である。  キャンプは、自然の中で、自然と関わって生活する。子どもの成長・発達・学習の場となる。大きい取り組みのしんどさは、ぶつかる課題の大きさ多さであり、「矛盾は発展の原動力」である。3〜6人の班は子どもの社会的発達、組織的行動を身につける、一体感を持つ、一人ひとりを大事にする」といった目的のためには、ちょうど良い大きさである。


(感想文より)

・今の日本の学校(制度)で失わされているものが、このキャンプ活動にいっぱいあると嬉しくなりました。指導員の皆さんがよく話しあい、意思疎通されていることが、発表の過程でよく分かり、感心しました。(学校の教職員はこれも失わされている)この発表の場に父母も来てくれていたら一層豊かな場がつくれたと思います。さらに子どもたちも来ていたらさいこうだろうけど。

・小さいながら、このような会が開かれているのに感動しました。普段僕らがやっていることの大切さを改めてふり返ることができました。

・私自身の感想は、最後にも発言しましたように、今日子どもたちが「生きる」事に苦痛を感じ展望を失いつつある時代であるからこそ、何よりも「ああ、人生にはこんなにすばらしいこともあるのか」という感動と、生きる楽しさ、希望を子どもたちに与えた実践であったことが一番すばらしいと思いました。今回の公開研究会をこのままで終わらせることなく、今後、まとめを行いながら、さらに実践を分析して教訓を引き出す作業が必要であろうと思います。

・キャンプの取り組みをふり返りながら、準備の大切さと指導員の活動に改めて、ごくろうさまでしたという気持ちです。参加された先生方より励ましをいただいて、少年団をもっともっと広めていくことが求められていると思いました。現役の小・中学校の先生や、父母の方にもっと参加してほしいなとも思いました。棚橋先生の、いつもながら的確で分かりやすい話に確信の持てるものとなりました。今後、地域での大きな異年齢の育ちに焦点を当たられたらおもしろいと思いますが、それを考えると本当に地域が壊されていることを痛感します。


3.京都教育センター第38回研究集会・分科会の取組(詳細は別ページ)


2008年度活動方針


@ 2ヶ月に一度の割合で通信を発行する。

A 過去に行ってきた研究の流れに沿った「研究の柱」を決め、討議をすすめていく。

B より多くの個人・団体に参加してもらえるよう努力する。


2008年度事務局体制


代表:中須賀ツギ子(京都教育センター)

事務局長:姫野美佐子(京都子ども勉強会)

事務局:松井信也(京都学童保育連絡協議会)池添廣志(公立小学校教諭)棚橋啓一

研究員:略

●子どもの発達と地域研究会の2007年度総括と2008年度方針はこちらをごらんください。
●子どもの発達と地域研究会の2006年度総括と2007年度方針はこちらをごらんください。
●子どもの発達と地域研究会の2005年度総括と2006年度方針はこちらをごらんください。
●子どもの発達と地域研究会の2004年度総括と2005年度方針はこちらをごらんください。