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子どもの発達と地域 研究会
−−2006年度の活動総括と2007年の活動方針−−


2006年度のまとめ


  今、子どもたちを取り巻く環境は大変厳しく、過度の競争や不安定な人間関係、激しい消費社会の中で崖っぷちに立たされているように見えます。しかしそのような現状の中、日々子どもたちに正面から向かう大人は、まだまだたくさん存在しています。私たちはこの研究会が少しでもそのような人々をつなぎ、みんなで明日の教育を考えていく場となれれば、と考えています。

  2006年度は、昨年度から引き続き、地域に根を張って活動している諸団体と連携をはかりながら研究活動をすすめていく予定でした。しかし実際には事務局体制の困難さが増してきて、結果としては昨年度ほどの広がりを持続することができませんでした。方針にしていた2ヶ月に一度の通信発行も1回しかできませんでした。しかし前進面もあります。夏の教育センター公開研究会や2007年1月のセンター研究集会の分科会(現時点で、まだ当日は迎えていませんが)を「発達問題研究会」との合同で取り組んだことで、新しい人々との出会いがあっただけでなく、さまざまな角度から深い議論を重ねることができました。これからもこのつながりを活かし、さらに広く深い研究活動をすすめていきたいと思います。どなたか、事務局に入ってくださる方はいらっしゃいませんか?まわりに思い当たる方がいらっしゃいましたら、ぜひご紹介ください!

@ 通信発行 第5号(3月発行)

 2005年のセンター夏季研究集会分科会の報告/団体紹介「西賀茂プレイセンターFKC」/コラム「原点にたちかえって」(澤田稔さん:京都子ども勉強会)




A 京都教育センター公開研究会  7月8日  参加 13名


講演:
“子どもにとっての地域社会とは?”
−−「城陽生きもの調査隊の10年の取り組みから」−−
                           講師:田中昭夫さん


(講演の要旨:文責 子どもの発達と地域研究会)

 以前、宇治久世教職員組合の専従をしていたとき、子どもたち100名ぐらいの「わんぱく学校」をしていたのだが、「城陽でせみがらの調査をできる人はいないか」と龍谷大学の好廣先生から問い合わせがあり、それがきっかけで「生き物調査隊」が始まった。

 子どもたちはせみがらの調査に夢中になり、珍しいせみがらを見つけると、宝物のようにして持っていた。分かったことは、「森林の度合いとせみの生息の種類には関係がある」ということだった。1年間の調査の後、報告会を開き、「これから、いろいろな自然調査をやっていこう。私たちの住む環境を生き物の視点から見ていこう、生き物にとって住みやすい環境は、人間にとっても住みやすいはずだから」という話になった。他にも、「ツバメ調査」「キノコ調査」「カエル調査」を行った。子どもたちは生き物にふれると、普段教室では見せないようなわくわくした顔を見せてくれる。

 城陽に「青谷」という里山的な地域があり、そこのお百姓さんが、私たちの活動を知って、「生き物調査隊」と「親と子の劇場」に、山の一部を貸してくださることになった。そこに竪穴式住居を作ろうということになり、大変な作業、重労働だったが大人も子どもも楽しくやった。クラスの子どもをつれてきたとき「はじめは戸惑うだろうな」と思っていたがそんな心配は無用で、子どもたちは着くなり自分のやることを見つけ出した。遊びも自分で考えて自由に遊んでいた。ジャスコにイオングループは環境問題にも取り組んでいるのだが、城陽のジャスコの担当の方がこられて、一緒に作業をしたり、お昼のお弁当をみなで食べたりしたときに、「子どもってすごいですね」と感激していた。その場所を「くぬぎ村」と名付け、コンサートをしたり、柿や梅の木の栽培をしている。

 マンネリ化して子どもが減っていく時期もあった。そこで「子ども部会」というものを作った。お母さんたちにきてもらい、「生き物調査隊」の取り組みについて話す。最初は「何で私が・・・」という雰囲気だったお母さんたちにも、何度もおしゃべりも場を設けることで、積極的に参加していただけるようになってきた。今では、「生き物調査隊」の活動をしっかりと支えてもらえている。

 活動は、市の環境整備にも一役果たすまでに発展していく。「せみがら調査」などは、城陽のラジオや新聞ではかなり報道されたので、市民の間にも知られていたようだ。一方「生き物調査隊」の側からも、市の「都市計画課」に環境に関する要望書を出すなど、何度か話しあいを行っていた。重点的に取り組めたこととして、「木津川堤防の野草を守る取り組み」と「青谷川の自然回復」のふたつがある。

 堤防というのは多くの珍しい草花が生えているが、市はそれを芝生にして桜堤を作っている。そこで「今度拡張工事をするときは連絡してください」と要望をしていたら、2002年9月に話しあいの場があった。しかしそこで知ったことは、木津川の堤防は全国ワーストワンの崩れやすいところで、どうしても補強工事が必要、ということだった。私たちは思案の結果、「それなら、今野草の生えているところを土ごと外して保存し、工事の後にまた植えて欲しい」と提案した。それに対する回答は「全区域は無理だけれど、一部なら可能」ということだった。とても狭い区域で、最初は不満に思ったが、それでもこれまでからすると前進といえる。みんなで協力して調査や植え替え作業を行った。その後、市が出席した「木津川下流河川保存利用委員会」の会議でこの取り組みや、「生き物調査隊」のことが評価された。野草保存区域に看板を立てることになったが、名前のところでは市の方から「生き物調査隊」の名前を先にしてくださっていいですと言われた。

 青谷川の砂利はとても良い砂利で、業者が取り尽くして、大変なことになっている。私たちは同志社大の井上先生と、青谷川の水生昆虫調査を行っていたが、同志社大に「環境と開発を考える研究グループ」ができ、そこに「生き物調査隊」も加えてもらった。測定器を使って川の汚染度を測ると、雨も降っていないのに、最大の汚染度になることがある。調査結果を市に報告し、業者に対しての指導が何度も行われた。調査して2年もたつと、かなり汚染度も良くなってきた。私たちはもっと青谷川をきれいにしたいと思っている。例えば一昨年より、青谷川左岸の山を「歩く会」を地元の議員さんと一緒に行っている。

 「生き物調査隊」に関わって10年、ほとんど休みらしい休みも取らずにさまざまな活動を行ってきた。しかしその中から多くの人の力を得て、思いがけない成果が生まれている。それが私の喜びにもなり、原動力にもなっている。これからもまりの人々に感謝しながら、活動を続けていきたい。

参加者の層として、事務局以外の人が少なかったのが反省点です。

B 1月28日の、京都教育センター研究集会分科会に向けての取り組み

詳細は、研究集会のページをご参照ください。


2007年度の活動方針


@ 2ヶ月に一度の割合で通信を発行する。

A 研究の主な柱を決め、それにそって調査・討議をすすめていく。

B より多くの個人・団体に参加してもらえるよう努力する。

2007年度事務局体制

・代表:中須賀ツギ子(京都教育センター)

・事務局長:姫野美佐子(京都子ども勉強会)

・事務局:松井信也(京都学童保育連絡協議会)、池添廣志(公立小学校教諭)、棚橋啓一(京都教育センター)

・研究会員:約30名
●子どもの発達と地域研究会の2006年度総括と2007年度方針はこちらをごらんくさだい。
●子どもの発達と地域研究会の2005年度総括と2006年度方針はこちらをごらんくさだい。
●子どもの発達と地域研究会の2004年度総括と2005年度方針はこちらをごらんください。