事務局

「学校統廃合と小中一貫教育全国交流京都集会」開催に向けて

           2010.7.20 同開催実行委員会事務局員



〇 京都が「成功例」として海外にも紹介

 昨年末、京都に、東京大学大学院の方が学校統廃合問 題の調査のために来られました。束アジア地域での学校統廃合問題を調べているとのことでしたが、台湾でも韓国でも学校統廃合が進められようとしていて、「京都方式 (洛央・御所南)」がそのモデルケースとして紹介されているとのことでした。


〇弱肉強食の新自由主義

 今、世界がグローバル化する中で、規制を外した弱肉強食の新自由主義施策が推し進められています。象徴的 に言えば、儲かりそうな所にはカネを集めるけれども、 儲からないとこからはどんどんカネを取り上げて行くと いうやり方です。

 日本でもそうした新自由主義による教育「改革」が進められています。この「改革」は、一部の子ども達の教育にはふんだんに公費をつぎこみながら、その他の子ども達の教育からは、どんどんと公費を取り上げていくというもので、全体として教育費を削減していきます。

 京都市内でも、一部の公立学校には膨大なカネをつぎこみながら、他の学校の費用を削減しているのはその現れだと言えるでしょう。


「道州制」導入を念頭に置きながら

 特に、今、進められようとしているのは、大企業・財 界に奉仕する 「道州制」の導入を念頭に置きながら、それ に見合った教育制度を作っていこうというものです。

 「道州制」というのは、国は外交・防衛・治安などの 「小さな」 (しかし強権的な)政府にしながら、福祉・医療・教育などの(本来国がやらなければならない)事業 を、「道・州」に押しつけてしまうというものです。

 都道府県をなくして、「近畿州」「関西州」などとすることによって、役所や行政機関を統廃合・集中し、「安価Jな費用で済まそうというやり方です。また、各都道府県市町村などでの細かな「規制」を取り払い大企業が「もっと自由に」 儲けのための活動をしやすくする狙いもあります。


教育予算や学校も「削減」の対象

 こうした中で、教育予算や学校も当然「r削減」の対象 となるはずです。私は、こうしたことのためにこそ「学校統廃合・小中一貫教育」を持ち出してきているのだと 思います。

 子どもの人数の減少で、本来は「三十人学級」など、 一人ひとりの子どもに行き届いた教育ができる条件が整ってくるはずです。しかし、行政ほ、その逆を進めて、子どもの人数が減少したことを口実に 「学校つぶし」を 進めています。小中一貫の学校であれば、今まで「小学校2校・中学校1校」あった地域に「公立小中学校1校J で済むことになってしまいます。単純計算で費用は3分の1で済むし、全国の公立学校が3分の1にまで減って しまいます。これほ、全国の小学校が消えてしまうに等 しいのです。しかも、削減された教育費の中で、一部エ リート校には重点的に公費を配分する、こうしたシステムが同時につくられようとしています。

 このモデルケースであり、「成功例」として、全国・海外に発信されようとしているのが、京都市であり、今回 の東山区の学校統廃合をめぐる動きだと言えるでしょう。


民主府政・民主市政の成果を逆手にとって

 他府県と違い、かつて京都には長い間、民主府政・民主市政の時代があって、その時代に住民と行政をつなぐ「パイプ」がつくられていました。そのパイプがかつて、1980年代の「銅舵中学校統廃合問題」で威力を発揮 したこともありました。

 今、京都市教育委員会はこの民主市政時代の成果を逆手にとつて、このパイプを使い、一部地域ボスとの癒着を強める中で、カツコ付きの「住民合意」を演出して、統廃合を進めているのです。

 東山区北部地域の統廃合に関しての経過は、おおよそ次のようです。


@東山区では人口の減少に伴い学校が小規模校化したが、市教委は長い間、学校の施設設備の老朽化を放置すると共に、さまざまな場を通じて「小規模校弊害論」を流布した。この結果、住民の中に「統合による教育条件の改善」を求める雰囲気を生み出した。

A最初は、市教委は表面には全く出ないで、学校長等からPTAや地域に訴えるという形をとりながら、統廃合の検討委鼻会を(自主的に)設置させた。

B次に、すでに統合済みで「モデル校」化されていた市内中心部小学校の「見学会」を実施。PTA役員らは「こ んなすばらしい学校で子どもたちを学ばせたい」という 思いにさせる。

C地元に戻ったPTA役員らは、それぞれの学校で「アンケート」を実施。しかし、その時点では統廃合の賛成 ・反対は半ば括抗して全体としてどちらに動くとも決し難かった。

Dその時点で、ある学校PTAから「小中一貫校新設」 「最新の教育システムによる学校」案が提案され、それにより一気に統合への流れが加速した。

Eそれ以後、市教委の「統合推進室」のメンバーがオブ ザーバーとして会合に毎回参加し、「バラ色の小中一貴校新設」が流布される中で、地元自治連(学区自治連合会)による「要望書」提出に至る。

Fその間、大多数の地元住民には「いったい誰が進めているのか」というのがわからないうちに、ほとんどその内容が知らされないまま、また意見を表明する場も設定 されないまま「話し合われたこと」「決まったこと」が伝えられるだけであつた。


 こうした経過を見ても、「住民に対する誘導」はあつた としても、「住民合意jとはほど遠いものであることがわかるでしょう。

 来る9月5日(日)の「学校統廃合と小中一貫教育」全国交流京都集会に、多くのみなさんがご出席 いただくことを呼びかけたいと思います。




「学校統廃合と小中一貫教育全国交流京都集会」のご案内
2010年9月5日 京都市東山区 華頂短期大学で開催します



「学校統廃合と小中一貫教育全国交流京都集会」開催に向けて
2010年7月20日 同開催実行委員会事務局員


学校統廃合と小中一貫教育全国交流京都集会」の報告
2010年9月5日(日)全国から120名の参加があり、交流を深めました。


「学校統廃合と小中一貫教育全国交流京都集会」基調提案(全文)

2010.9.5 学校統廃合と小中一貫教育全国交流京都集会実行委員会
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