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青年教師のための お助け「玉手箱」 5

「職場の人間関係」実践「玉手箱」


金曜サロンを再開して--職場教研を羅針盤に--

              京都府立田辺高校 毛戸 祐司


(2008年12月10日)


 田辺高校分会では、毎月第四金曜日をめどに放課後集まり、飲み物やお菓子を手にしながらおしゃべりする「金曜サロン」を今年再開した。一週間の仕事がようやく終わった頃に、分会員がぼちぼちと集まって来て、できれば未組の人にも来てもらう。「お疲れさま」とコーヒーか紅茶を淹れて甘い物を口にすると、みんなでほっと一息つく事ができる。ほっこりと心がなごんでそれから職場で気になる事をうちとけて話し合う。そんな金曜サロンを数年前にもやっていたのだが、多忙化におされて途絶えていた。それを今年再開したきっかけは、組織拡大の行きづまりだった。

 十年前なら職場の約半数は組合員だったが、今は二割ほどである。転勤や退職で結局少しずつ減る。若い先生に加入を呼びかけても「考えておきます」と答えてくれればいい方だ。職場の若い先生たちにとって組合に今から加入するには、相当の覚悟が必要らしい。清水の舞台から飛び降りてもらうために、ほっこりを分かち合い、何でも話せる場を重ねて、そこに若い人を巻き込みたい。広く呼びかけ、じつくり話し込むためにも、遠回りかもしれないが、息が詰 まる職場に新しい空気を入れる役割を、分会として果たしたい。

 とりあえずやってみようと、第一回を六月に開いた。御香宮の名水を汲んできてもらって、サイフォンで滝れたおいしいコーヒーを味わった。職場復帰支援の十時間講師として四月から三ヶ月間、ちょうどその日が最後の勤務という講師の方を囲んで、やりにくかった点など、ご苦労をねぎらいながら、お話をうかがうことができた。

 話題を準備した方がよい、という反省もあって、二回目の九月のサロンは月初めに行われた文化祭をテーマにした。毎週の分会役員会では職場についての交流に時間を割くようにしているが、文化祭の評価については分会役員の間でもさまざまな意見が出た。文化祭にはみんなそれぞれ意見があるのに、それを出し合う時間や雰囲気が分掌の会議でも職員会議でも充分作れない。そこが職場づくりの課題である事が、金曜サロンで取り上げると見えてくる。

 最初に自分がクラスの演劇について一枚レポートを報告し、先輩から貴重なアドバイスをいただいた。また田辺高校には民主教育の伝統と蓄積があるはずなのに、管理主義の手法に依存する中で、自主活動や集団づくりのやり方を忘れかけていることに気付かされた。 管理主義しか知らない(多くはそうした進学校出身の)若い先生から見れば、分会員の多くは 結局怠けているように見える。しかし管理主義が行きづまっている今、別の選択肢として民主的な集団づくりを(思い出して)職場全体に示す意味は大きい。その役割を分会が果たせば、若い先生も飛び降りやすくなるのではないか。

 三回目は十月の中間考査の時期、分会昼食会の後に栗まんじゅうとお茶でミニサロンを開いた。十一月の四回目は、貸金・手当等の学習の後で、田辺独特の普通科・工業科併設について、 つっこんだ議論ができた。若い人の参加はまだだが、議論の中身は職場新聞で詳しく紹介している。

 今後は役員会でヒントを探しながら、「田辺 高校もお金がかかり過ぎ?」保護者負担の問題や教育課程と学力の問題も取り上げたい。年に数回、その時々のテーマで職場教研をほっこり続けて、その成果を全体にしっかり広めていけば、旬の教育論議で分会が職場に今後の方向を示せないか。  先が見えない闇夜を進むための羅針盤をようやく手にしかけていると思う。

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