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青年教師のための お助け「玉手箱」 5

「職場の人間関係」実践「玉手箱」


教職員を繋いで─日刊「生徒指導報告メモ」─

              京丹後市立宇川中学校 藤原利昭


(2008年11月10日)


 学級通信活動を教育実践の中心にすえた三十六年間が終わろうとしている。担任を外れた昨年来、生徒指導主任の立場を活かし、定例(毎週一回)の生徒指導部会と「生徒指導報告メモ」=生徒指導部ニュースを発行することで、教職員集団=学校づくりを進めてきた。

 生徒と生徒、生徒と教師、教師と保護者、教師と教師を「繋ぐこと」を生徒指導方針の中心に位置づけた。「繋ぐ」ことは「相互作用」を組織することである。生徒を変えるのは生徒集団、その運動=相互作用を組織するのが教師の任務であるという確信に基づく方針である。

 「生徒指導報告メモ」の発行に当たっては、次のような方針と留意点を確認してきた。

@生徒の情報を共有する ・事象、実態などを共有することで共通認識 が形成され、方針の理解が深まり、一致した指導と実践が可能になる

A全教職員の参加を組織する ・全教職員で全校生徒の教育に当たる ・教職員によって生徒は違った姿を見せる

B毎日発行する
・指導の時機を逸しない
・感性を研ぎ澄まし緊張感をもって生徒を捉える
・「量の拡大」がなければ「質の転換」はありえない

Dあくまでも事実を尊重して書く

E生徒は変化し発展する視点で捉えて書く F個別に深く捉えるだけでなく、周り生徒集団、家庭環境と結んで捉えて書く  昨年度は三三五号、今年度は一七五号(十月二十一日現在)を発行したが、その内容は、生徒の実態・動向などの情報に止まらず、事象の捉え方、実践の方針、実践の総括、各行事や取り組みの状況と課題・成果、生徒指導部会の討議内容、生徒や父母、卒業生の声など多岐にわたっている。

 管理職、教諭はもとより、SC・事務職員・学校用務員・給食調理人・非常勤講師と、全ての宇川中学校の教職員が、情報や提案などを寄せて下さり、紙面が実に豊かになった。 「生徒指導報告メモ」を毎日発行し活用することで、情報や方針を共有し、時機を逸しないで、系統的且つ継続的な指導が可能となったことは言うまでもない。また、日々の生徒の動向を把握する教職員の意識も強まったと言える。さらに生徒指導報告メモの発行は、全教職員に自分の想いや意見を表明できる「場=機会」を提供することでもあり、教職員の協働関係が作られ連帯が強まったと確信している。

 毎週一回定例の生徒指導部会(各学年担任、教務、管理職、主任)は年間三十回を数え(本年度は二十一回、十月二十三日現在)、生徒指導に関わることだけではなく、授業や学力保障、各種学校行事、PTA活動など、学校教育の全ての課題について討議し、現状の交流と打開の方針を確認して実践してきた。実践の中心は担任である。定例生徒指導部会では、担任が安心して実践できる条件を整えることに留意してきた。

 「生徒指導報告メモ」以外には、部活ニュース「繋ぐ繋げ繋ごう」(三六五号)、分会にユース「UNION」(二〇六号)を発行し、生徒を繋ぎ、教職員を繋ぎ、父母を繋ぐ努力を行ってきた。人間は相互作用で発達する。相互作用を組織する手段として「通信活動」はかなり有効であることを確信する。

 生徒指導は、全ての教育実践の出発であり帰結でもある。授業=学力保障とともに、学校づくりの中心課題であり、全ての教職員が取り組まなければならない課題である。その任務に当たる生徒指導主任の役割はきわめて重要であると考える。

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