トップ 事務局 青年教師 生活指導

青年教師のための お助け「玉手箱」 4

「生活指導」実践「玉手箱」


「教育のつどい」(生活指導・自治的活動)に参加して

               綾部市立綾部中学校 森本 豊


(2008年9月10日)


 第12分科会では、中京大の照本祥敬さんの基調報告で「生徒指導のゼロトレランス(寛容度ゼロ)」が生徒指導体制の見直しとして強く現場に入り込みつつある現状が出されました。それに対して私たちが目指すのは、常に他者とつながりながら要求を聞き取り応答し合う共生的な関係の基盤となる自治的・文化的活動を育てる生活指導の方向性であることを明確に出されました。

 3分散会に分かれての60分ずつのレポート検討(30本)で、私の出たB分散会は「小学校の特別支援教育」「定時制高校のホームルーム」など多彩な内容でした。

 特に小学校からは、特別支援の必要な子どもとともにどのようにクラス集団の中で相互に成長しあえるかの視点から、子どもや親に徹底して寄り添った指導の実践が報告されました。指導場面で叱るときでも常に「子どもの成長の道筋」を見通した課題提示であったり、人間関係作りを土台にした上での「追い込み」と「自己変革」を迫る指導(「免疫療法」と名付けられていました!)など、ほんとうに見通しをはっきりさせ、子どもたちとダイナミックにつながる指導の報告が出され、指導される先生の粘りと発想の豊かさに感動しました。

 私は中学校一年生の学級作りで『はっきり言って、みんなキレイ事ばっかり言っていると思う』というレポートをしました。春の校外学習から自分たちの申し合わせを守れず、違反が続出したクラス。それにこだわり、自分たちでなぜそんな結果になったか、自分たちでつくった申し合わせを守るという意味は何かなど紙上討論や学級会を繰り返す中で、自治がクラスの活動であることをクラスに根付かせようとしました。授業の私語がやまない状況やいやがらせなどに対してもその方法をとりつつ、リーダー提案が否決される・取り組んでも結局守れなかったなどなかなか改善されない中での論議で、最も私語をしクラスの課題の中心であった子どもが上記タイトルの文章を書いてきた。という報告でした。

 質疑では、「班長会や学級委員の提案が二度も学級会で否決される」という点は、リーダー指導として担任の見通しに大きな課題があるのではないか?なぜ結局私語はやまなかったのか?私語ってなぜ起こるのか?中学校で求めるリーダーとはどういうリーダーか?紙上討論で本音は出るか?など、リーダーを軸にした今日的な自治活動のあり方自体の質問や意見が続出しました。 ひとり一人から集団全体まで、子どもたち自身の持つ力を引き出し、それに依拠しながら自治活動を組織することが、特に困難を抱える現場には絶対に必要だと考えます。

 綾部でも困難を抱える小学校現場から「子どもたちの自治活動が重要」という声があがり始めています。「ゼロトレランス」の「排除」「抑圧」の方向は「学校崩壊」「暴力」を激しく生み、子どもたち自身や教職員の生命をまで脅かすものになるだろうと危惧します。

 今回の教研は、学力テストや新指導要領など教育政策の迷走ぶりが際だち、マスコミを含めた世論として教育政策に対する不信が高まる情勢のもとで開かれました。一方で、教育基本法改悪阻止の全国的なうねりと確信に裏打ちされ、すべての子どもたちの成長を大事にする現場での教育実践の必要性が世論にも支持されつつある中で開催された大きな意味のある教研でした。

 確かな方向とさらに目の前の子どもたちにどう関わっていくかという課題、全国の仲間と論議する「わくわくする楽しさと厳しさ」がこの第12分科会にもあふれていました。

トップ 事務局 青年教師 生活指導