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青年教師のための お助け「玉手箱」 4

「生活指導」実践「玉手箱」


三年間を見通した集団づくりを

            舞鶴市立城南中学校 三宅 匡

(2007年3月10日)


一、はじめに

 三年前、舞教組の専従の六年間を終えて、城南中学校に赴任し一年生を担任しました。

 学校の特徴は、他校と比べて落ち着いている反面、「クラブ学校であること」「管理的な側面が強いこと」「子ども達の中の上下関係が強いこと」「思ったことを言わない子が多いこと」などが大変気になりました。


二、子どもを一人の大人として見る

 私は、学級づくりの山を十一月の文化祭の合唱コンクールに照準を置いています。それは、「大きな声を出しても大丈夫」という「心の解放された高度な水準の人間関係」が求められ、そこまで高まっていないと合唱は成功しません。そのような集団を作っていくうえでのスタンスとして、第一に、生徒は生徒同士の関わり合いの中で、変わっていくということ。そのために、学級通信を活用します。第二に、失敗をさせないように管理するのではなく、失敗をさせることで集団を成長せさていくこと。第三に、生徒を対等な人間として見て、押しつけたり命令口調は出来るだけ排除して、丁寧に納得いくように話しをしていくこと。第四は、あれこれとした細かいことは適当に指導。重視するポイントは、人に迷惑をかけることと、掃除をしっかりすること、です。私が担任の中で最年長であるために、学年教師集団も何となくその雰囲気で取り組むことが出来ました。


三、ところがどっこい

 理念はいいのですが、現実に直面するとそんなに簡単ではありません。一、二年生の頃は、様々な問題(暴力・暴言・陰湿ないじめ・力関係による人間関係、喫煙や授業エスケープなど)が噴出しました。学年集団は「突出したグループに気を遣い、疑心暗鬼で回りの様子をみているのがありありとわかる無反応な集団」で、「心の解放された高度な水準の人間関係」なんて出来る状態ではありません。

 「管理が甘いのではないか」「いろいろいいことを言ったってあの状況では。」みたいな冷たい視線も何となく感じながらの二年間でした。


四、感動の合唱コンクールに

 その生徒達が三年生の十一月。保護者も、先生達も涙を流し、校長先生も「私の教師歴三十七年間の中で最高の合唱コンクールだった。」と言わしめる感動の合唱コンクールを作り上げました。そうなったのは、九月の体育祭が盛り上がって成功したのがきっかけでした。

 PTA役員や保護者、教師からも絶賛をあびて大成功に終わらせることが出来ました。私のクラスは、体育祭で自信をつけたリーダー達が音楽の授業で合唱を楽しんで歌っていました。他のクラスは、二週間前までは昨年までと同じ状況でしたが、私のクラスが歌っている事が話題になり始めると、体育祭で活躍したクラスのリーダー達が中心となり、次々に火がついて「心の解放された集団」に変わっていきました。文化祭も例年になく盛り上がり、大きな評価を受けました。

 このことは、失敗を繰り返しながら成長する子ども達への確信と、それを見守っていく大人や教師集団との信頼関係の構築が大きかったのだと思います。教育は即効性をもとめ管理に走るものではなく、長い視野に立って取り組むべきものであると言うことを改めて感じさせてくれました。城南中学校の新たな歴史を作った生徒達が、三月十五日、どんな卒業式を迎えてくれるか楽しみです。

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