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青年教師のための お助け「玉手箱」 4
「生活指導」実践「玉手箱」
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課題を持つ子をクラスの宝に
井上治夫(向日市第6向陽小学校) 2006年5月1日 |
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伸治は、毎日のようにけんかをしました。私は、とにかくわけを聞いて、みんなに報告しました。勉強が分からないとおもしろくない。友だちに認めてほしいのに否定されているように感じると暴れる。暴力はもちろん悪いことだけれども、伸治の否定的な行動の裏にある願いはみんなと同じであることを伝えていきました。
6年の陸上競技会や駅伝大会などの競争が伸治の心を再び荒れさせました。勉強よりも運動を生きがいにしてきた伸治が代表になれなかったのです。問題行動について私と話したとき、はじめは、つっぱっていましたが、「オレなんか何をしてもあかん。死にたい。」と大泣きしてきました。
自分をみつめる
ぼくは、このごろ悪すぎる。ぼくは正直言うと悪いことをしている。運動会のころからなんかイヤなことがいっぱいあって、つい悪いことをしてしまう。
ぼくは、陸上競技会のリレーに出たかった。でも、ぼくのクラスでは速い人がいっぱいいるし、ぼくは出られなかった。ぼくは、しかたがないとしか思えなかった。ぼくはガマンした。でも、めっちゃくちゃくやしかった。
だから、なんかいやな気分で、すぐ悪いことをしています。「やったらアカン」と思っても、自分を止められない。
でも、友だちと遊ぶのは楽しい。中間、昼休みは、みんなとサッカーをして、めっちゃ楽しい。
ぼくは、友だちがいてよかったと思う。ぼくは、もし友だちがいなかったら何もできないと思う。 |
しばらくして、暴力事件を起こして学校を飛び出した伸治に、数人の男子が校門まで走って行って、声をかけていました。心配して友だちと家まで行った女子もいました。みんながすすんで手紙を書いてくれました。
伸治へ
伸治、おまえ勉強わからんかったらきいてくれよ。できるだけのことはするから。このままわからんかったら、学校なんてメッチャおもんなくなるで。
オレだって、何回かわからんときがあったけど、いろんな人にきいてわかるようになって、それで今、学校が楽しいねん。勉強なんて、ちょっとがんばればすぐできるで。
あと、中間休みとかにドッチに来いよ。おまえがいいひんかったら、オレはなんかおもしろくないやんけ。
でも、来てもあんまりケンカとかすんなよ。おまえをとめるのが一番ムズカシイんやって。
まあ、がまんできんときは、柱でもけっとけ。 |
5年のはじめ、けんかを見ても我関せず!だった良吉は、リーダーとして大きく成長しました。みんなの重いが伸治に通じて、暴力はなくなりました。
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