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青年教師のための お助け「玉手箱」 3

「教師と子ども」実践「玉手箱」
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学級づくりで大切にしていること
              宇治田原町立田原小学校  井上 達也

(2008年10月10日)



一.ゲームで近づく

 学級づくりで大切にしていることの一つは、いろんな場面で、違ったタイプの子どもを組ますことです。その中心が班活動です。班の仲間がよりしゃべりやすくなるように、班で相談したり、話し合ったりするゲームをよくします。その一例を紹介します。

《粘土クイズ》  班の代表が先生から封筒に入った「お題」をもらい、音楽(三分ほど)が流れている間に「お題」の物を粘土で作ります(例えばワニなど)。音楽が終わると班員全員が見に来ます。席に戻って代表が何を作ったかを班で相談します。そして発表します。「お題」の物と合っていたら正解です。  

《どっちが好き?》  代表の好きな物は(例えば)「カレーかラーメンか」。これも班で相談して正解を求めます。

 こうしたゲームは必ずグループで楽しく話し合う活動です。人間って近くに寄らないとその人の良さはわからないので、意図的に話し合うゲームをよくします。最近の子どもたちは仲間意識が薄く、気の合う者同士は仲良くなれるが、違ったタイプは受け入れにくい。トラブルがあっても、仲良くしている子の味方にはなるがそうでない子には素知らぬ顔である。だからこそ異質のグループを意図的に作り、そこで活動させお互いのことをよく理解してほしいと思っている。班替えのたびに友達が増えてほしい。


二.ウソをつかない関係づくり

 もう一つ大切にしていることは、「信頼する」ということです。どれだけ子どものことを信頼できるのか、どれだけ愛することができるかということ。子どもたちはいろんな課題を持っていて、小手先の技術ではうまくいかない場合が多い。「だまされても信頼する」「クラスがしんどいときほど子どもに頼る」。この何年間よく意識したことである。教師にとってウソを言われるほど辛いことはない。悪いことをして暴れていても「俺がやった」と言われれば心が和みホットする。でも、ウソを言われると辛い。その子に対する信頼が揺らいでしまうからである。だから、最近では「本当のことを言える関係づくり」を意識している。

 とてもやんちゃな子どもの担任をしたときのこと。本当のことを絶対に言わない子で、「俺、ちゃうで!」とすぐ言ってしまう子であった。その子が学校の備品をつぶしたことがあって、周りの状況からみてもその子がやったのに違いないことが伺えた。でも認めない。しかもその子が一番仲のよい子からも「あいつや!」って言われていても「俺がした」って言えない。私も心が苦しかった。「なんでこの子は本当のことを言えないんやろうか」。言わないことに憐れんだ。でも、その子と二人で話したとき、初めて「俺がした」と小さい声で言ってくれた。その子も泣きながら言ったけど、私も涙が出てきた。その子と信頼がつながったと思ってうれしかった。怒って直るのならいいけれど、「ほんまのことを言えばいいにゃでー」という思いを持って日々接している。

 怒られ慣れている子、自由にされすぎている子、本当に十人十色です。子ども同士の関係も薄いので、子どもをしっかりと見つめてクラスづくりをしなくっちゃいけないと思う。

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