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青年教師のための お助け「玉手箱」 3

「教師と子ども」実践「玉手箱」
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しんどい子がいる班こそ優秀班に

      八幡市立八幡第二小学校 森田 紀恵

(2008年7月10日)



一、「班づくり」で前進する学級を

 この数年間は、高学年を担任することが多くなりました。二十数年前のようにガンガンと「学級集団づくり」を進めるわけにもいかず、時に多くを妥協しては、なんとか自分も、自分の主義?もつぶされないように、毎日の学級づくりをしています。

 私がずっと続けてきているのは、ごくごくあたりまえのことなのですが、「班づくり」をすすめながら、学級も前進させていくということです。どこの学級でもやられていることでしょうが、四月から年七、八回の班替えを繰り返しながら、話し合える・協力し合える班を目指します。チャイム席や集中二十秒など、いたって真面目な目標に取り組んでいきます。がんばりシールを貼っていくのが、いつものやり方です。

二、「おもんない。俺やらへん」

 「そんなんやったって、しゃあないやん。」「おもんない。俺やらへん」と、言い出したA君。もちろんA君のいる班のシールはちっとも増えません。声を掛け合い、どんどんシールを増やしていく他の班との差は開くばかり。こんなとき、「そこは、ダメ班!」「がんばりが足りない!」と言ってしまったらオシマイです。班づくりや取り組みは、ダメな子や足を引っ張る子にレッテルを貼って『いい子だけでがんばる学級』をつくることが目的ではないからです。目標に向かう時のハードルを明らかにしつつ、それを乗り越えていける力──それは例えば、A君に協力を求め、励まし、いっしょに行動していける力だと思うのですが──をつけていくことこそ目的にすべきでしょう。でも、実際A君の班のシールが目標に届かなければ、他の班のやる気も失せてしまいます。ここで奥の手?を使います。「うーん、A君の班はなかなか苦労しているねえ。でも先週よりは班の中での声掛けは増えているよ。進歩、進歩。」とごくごく小さな変化をほめます。そして、「そうやな、シール五十枚!」なんて、サービスします。A君も「俺ががんばったからやぞー。」とへんに自慢したりして、その後も努力を続けるようになります。A君がいる班のシールは百枚以上。しんどい子がいる班こそ優秀班にすることは、とても大事なことだと思っています。

三、楽しみながらの試行錯誤

 みんなが足並みをそろえるということが、実はとても難しいことなんだとわかってきたころから、こんなふうにちょっとズルイ?甘い?方法を取り入れています。もちろん、一歩の歩幅は、一人一人違うということ、それでも前に進んでいる方向は同じであること、それをみんなで確かめ合いながら、さまざまな取り組みをしていくことが私流の学級づくりです。思い通りに子どもたちは動いてくれません。自分たちの意志で動くようになるために、どんな言葉かけをすればいいのか、どんな大人として彼等の前に立てばいいのか、試行錯誤の繰り返しです。それを楽しむつもりで長ーく働きたいです。

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