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青年教師のための お助け「玉手箱」 3

「教師と子ども」実践「玉手箱」
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『give and take−学び合いの精神−』

      舞鶴市立岡田下小学校 水野 友晴

(2007年12月10日)



 つい先日、十一月の授業参観日と本年度の岡田中学校ブロック人権教育研修会を兼ねた公開授業が本校で行われました。全学年が人権学習の授業公開をしましたが、私の担任する六年生では、昨年度岡田上小学校の五年生が取り組まれた『権利の熱気球』という参加型教材を扱いました。岡田上小学校の授業を拝見して、これは「グループの話し合い学習」にうってつけの高学年教材だと興味をひかれ、一年間心の隅に置いていました。案の定、子ども達はこのゲームに乗ってきました。そして、私の予想を超えて(いや、思春期前期の子ども達にとっては、この教材のもつ自然な、そして当たり前の結末だったかもしれないのですが)子ども達は真摯に考え合い、発表し合い、私の胸を「じーん」とさせてくれるような学びを展開してくれたのです。「こいつら、行動はあやふやなところがあるけれど、気持ち的には中学生になれるな。」という思いを抱かせてくれたのです。

 ゲーム内容は、こうです。「グループで熱気球に乗って宝島を目指します。島を目前にして、ガス不足で気球が降下し始めます。眼下の海には人食い鮫がうようよしています。みんなの命を救うためには、荷物を捨てて気球を出来るだけ軽くして島まで持ちこたえるしかありません。さて、みんなに渡した十の権利を荷物としたなら、どれから順に捨てていきますか。グループでよく相談をして、協力して、制限時間内に捨てる順番を決めましょう。時間内に決められなければ、自分たちの気球は海に墜落したものとしてゲームオーバーとなります。」というようなものです。教材のねらいの中心は、「自分にとって捨てても良いと思う権利から捨てがたい権利までを選び、理由を述べ合い、意見を交わして、グループ内で一番ふさわしい(折り合いのつく)順番を決定しなければならない。」

 授業の最後に「どのあたりから順番が決めにくかったですか。それはなぜですか。」をグループに問うたとき、どのグループも捨てがたい権利として選んだ権利が、「自分らしく生きる権利」だったのです。理由として「人にいわれるままに生きたのではつまらない。」との主張がなされて、私の胸を揺することになったのです。

 さて、私たちの学校の重点研究(各学級の実態から研究テーマと教科を決め、「確かな学びにつながる授業を創る〜学び合う子どもの姿を求めて〜」を共通課題として取り組む。)や生徒指導、特別活動、読書活動、特別支援体制、その他多忙な中行われる学校行事の取り組みが、この『権利の熱気球』ゲームのように、「give and takeの精神」であり続けていきたいものだと日々願い、がんばっている昨今です。

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