トップ 事務局 青年教師 教師と子ども

青年教師のための お助け「玉手箱」 3

「教師と子ども」実践「玉手箱」


子どもをつかむ、子どもとの関係づくりに徹して

      与謝野町立市場小学校  瀬戸 亭明


(2006年10月10日)


 教師歴二十数年、何年たっても、満足できる実践がなかなかできず、日々悪戦苦闘の毎日が続いているのですが、自分の実践にいつも貫いていることがあるので紹介したいと思います。いわば、自分の経験から得た実践上の指針のようなものですが、常に意識することで、自分の実践がずいぶんと安定したものになってきたし、学級づくりにも役立っているので参考にしていただければと思います。

子どもをつかむこと、子どもとの関係づくりに徹する

 一つは、子どもをつかむことに徹し、指導が入る関係づくりに全力を注ぐことです。そのために、まずは、子どもの中に入っていくことをとても大切にしています。何気ない子どもの会話に加わり、友達のように対話するのです。こういう時は、決して指導的立場で入らないようにしています。とにかく子ども達と対話を楽しむつもりで接することが大切です。気楽な関係の中で無ければ、子ども達は本音をなかなか語ってくれません。こうした対話の中で友達や家族、家での暮らしの様子など、以後の指導に大いに役立つ様々なこともつかむことができますし、意外な子どもの優しさや特技がわかったり、また、新たな課題を発見できたりもするものです。

 また、子ども達が活躍している地域の活動。たとえば少年野球クラブ、少女バレーボールクラブ、ミニバスケットクラブ、地域の公民館行事、町主催のボランティア活動などにも可能な限り顔を出し、子ども達の様子を伺ったり、時間があれば、ともに活動に参加することも心がけています。特に、こういったところで見せる子ども達の様子は、学校とはかなり違うことが多く、改めて子どもを見直すこともしばしばあるものです。学校というのは、子ども達にとって、教師の管理下にあり、指導を受ける所と思っているせいか、必ずしも、本音をだして生活しているとは限りません。学校という場を離れた時に見せる様子に、子ども達の本音が現れている場合が多いように思います。こうした場面での子ども達の活躍を知っていると、学校では気付かなかった子ども達のよさや頑張りもたくさん発見でき、「叱る」ことばかりになりがちな指導から、「評価したり誉める」指導が多くなり、子どもとの関係も良くなっていきます。もちろん、叱るべき時には厳しく叱るのは当然ですが、一方的にしかるばかりでは、子どもとの関係は決してよくなりません。しかってもその倍、子どもの活躍や頑張りを評価したり誉める指導が子どもたちのやる気を引き出していくことは言うまでもないことです。このように子どもの中に入ることや学校以外の子どもの活躍を知ることで、子どもをしっかりと捉えていけるし、何よりも、子ども達と教師との関係が深まり、こちらにずいぶんと心を寄せてくるようになってきます。共感関係の成立です。こうなればこちらの指導をきちんと受け止めたり、少々困難な要求にも応えていこうと努力する子ども達が増えてきます。子ども達にとって自分のことを本気になって考えてくれたり、気にしていてくれる教師に対しては、実に素直にこちらの願いに応えようとしてくれます。

トップ 事務局 青年教師 教師と子ども