トップ 事務局 青年教師 教師と子ども

青年教師のための お助け「玉手箱」 3

「教師と子ども」実践「玉手箱」


クラス通信の発行は私の「よりどころ」

      京都府立亀岡高等学校  森本美枝子


(2006年9月10日)


 組合専従休職を経て、昨年春、五年ぶりに現場に戻った。現場の激変について行けるのか?そもそも現場で私は教師として通用するのか?不安いっぱいの再出発だった。

 案の定、スタートしてみると毎日が?(疑問符)の連続だった。あたりまえのようにある7時間目授業。教頭が議長を務める連絡事項ばかりの職員会議。どこでいつ決まったのかもわからないまま次々おろされてくる文書、指示。一つ一つに?を浮かべながらもその超スピードの流れに遅れまいと懸命の日々となった。

 さて一年担任となった私の最初の仕事はとりあえずクラス通信をつくること。新採で赴任した山城高校定時制で、クラス通信を通して生徒とつながり集団をつくる実践を多くの先輩教師から学んだ私は、担任になるとクラス通信をつくるようになった。「ほっと1ー4(いちよん)」と名付けた第一号には「みんなが人間として成長できる1年4組に」などと肩に力の入ったコメントを載せ、教育基本法第一条の条文まで載せている。その後は生徒の自己紹介、遠足・文化祭などに向けてのとりくみ、遠足や人権学習・進路学習の生徒の感想、期末テストまであと○日!などのいわゆるお説教?、行事日程などなど過去のノウハウをたよりに、一年間で二六号を発行した。

 教師の言葉がそのままの意味で生徒に届かず、空回りしているのではないかと思うことや、生徒同士の関係が非常に厳しくなっていると実感することが多い毎日。そんな中で、不思議に彼らはこのクラス通信をよく読む。配った後、三分は教室が静まりかえる、というのが常になった。担任のお説教は読み飛ばしても、クラスの仲間が書いたものは特によく読む。隅から隅まで読んだ後、私の目の前でくしゃくしゃに丸めて、ゴミ箱にシュート!という光景もしょっちゅうだが、全く読まずにシュート!はなかったように思う。行事予定のところだけを切り取って机に貼っているという生徒もいる。

 この一年をふり返って、このクラス通信が目に見えてこんな成果をあげたと自信をもっていえるものはない。ただ、担任としてクラスを運営していく時の心のよりどころであったということは言える。二年担任に持ち上がった今年も「ほっと2の5」というクラス通信で生徒の声やアンケートも載せ、楽しく、気楽に続けている。

 本校では、昨年度の途中から突然クラス通信を発行する時には事前に回議書を回すことが指示された。クラス通信づくりに職場ぐるみでとりくんで合評会などやっていた時代はすでに遠い昔となった感があるが、あの頃教訓化された、生徒の生の声を載せ、どんな小さなことも評価することの意味は今も変わりがないとあらためて思う。かつてのようにゆとりをもって楽しくクラス通信づくりにとりくめることを望みながらも、担任を持つ私の「よりどころ」として発信し続けようと思う。
トップ 事務局 青年教師 教師と子ども