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青年教師のための お助け「玉手箱」 2

「「教科指導」実践「玉手箱」
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見て、触れて、味わって─体験を大切に─

                 長岡市立長岡第二中学校  武田悦子


(2009年2月10日)



 本校で特別支援学級を担任して三年目。今年のクラスは三名の在籍で、こじんまりと穏やかなクラスであるが、発達のレベルにかかわらずどの生徒も生活経験が極端に少ない。外出を一人でしたことがない、買い物も一人ではできない、台所で料理を手伝ったことがない、年末の大掃除も見ていただけで何も手伝っていないという。家で子どもに仕事をさせるのは根気がいることで、忙しい時は親がやってしまう方が早い。なかなかゆっくり見守って仕事を覚えさせる余裕のない家庭が多いのが実情である。

 視覚支援が有効な生徒が多いので、どの教科でも具体物を見たり触ったり実験で確かめたりすることを重視しているが、特に生徒たちが楽しみながら取り組めるのが「総合」の時間や自立活動の授業である。科学や食に関心を持つことを目的に、身近な食べ物を原料から作ってみる体験学習を多く行っている。今までに、バター、カルメ焼き、ところてん、手打ちうどん、綿菓子、(食べ物ではないが)石鹸などを作ってみた。

 先日取り組んだ綿菓子は、まず技術の時間に、ビールなどのアルミ缶に小さな穴をたくさん開けて、ボルトを取り付けモーターをつないでミニ綿菓子機を作った。それにザラメを入れてアルコールランプで熱し、ザラメが溶け始めたらモーターで缶をまわすと穴から綿状になって出てくる。みんなでかわるがわる割り箸に巻きつけて試食した。本にあるとおり実験してみたのだが、実際に綿菓子がこんなふうにしてできるのかと驚き、楽しみながら体験することができた。今後は味噌、ソーセージ、アイスクリームなどを作ってみたい。

 もうひとつ重視していることは、「書く」活動である。私が担当する英語の授業では、「聞く・話す」活動も多いが、一方で文字と音との結びつきを体系的に身につけ、英単語の読み書きがきちんとできるように、アルファベットからローマ字、ローマ字から英単語と順を追ってじっくり学習するようにしている。まず読めて書ける力をつけ、基本的な表現を覚え、わからない言葉は辞書を使って自分で調べる力をつければ、文法の内容は中一の終わりごろまでしか進めなくても、十分高校でやっていける。特別支援学級では通常学級のようなカリキュラムの制約がない分、基礎の部分を手厚く教えることができる。来年度から始まる小学校高学年の「英語活動」でも、コミュニケーション活動やゲームだけでなく、ローマ字の読み書きを徹底するなどの「書く」活動を取り入れてはどうだろうか。

 そして、毎日の連絡ノートで、必要な連絡事項のほかに体験活動で学んだことや生徒たちの活動の様子等を必ず書いて家庭に知らせるようにしている。保護者からも帰宅後の様子や休日の過ごし方などをできるだけ書いていただいて、家庭とのコミュニケーションも大切にしていきたいと思っている。

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