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青年教師のための お助け「玉手箱」 2

「「教科指導」実践「玉手箱」
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「自然って、楽しいね!」
     ―理科教育で大切にしたいこと―
                 向日市立第五向陽小学校 岡 敏明


(2008年10月10日)



一、さあ、理科が始まるよ!

 低学年理科がない今、三年生では、理科という教科が始まる学年として、子どもと自然との関わりを大切にし、自然に働きかけ、自然から学ぶ実践や授業づくりが必要となります。その中から、子ども達が、自然の事象や法則性を探究し、自然の楽しさ、美しさ、不思議さ、こわさ等を感じることで、自然科学に対して興味を持って学習できるようになるのだと思います。しかし、近年、理科は小学生にとって、比較的好きな教科でありながら、学習内容の理解が不十分であることが、指摘されています。その原因として、教育課題の配列以外に、実践、観察等「能動的にやればよい」といった短絡的な指導法への問題が考えられます。また、子ども達の中に「うその科学」― 例えば、占い、オカルト、血液型性格判断等が話題になっていることも気になります。そのような中、「教育のつどい」の理科分科会で、報告しました『昆虫の学習』のレポートを、実践の一例としてふれてみたいと思います。


二、『昆虫学習』(三年)に取り組んで!

 一学期から二学期の初めにかけて、昆虫の学習を行います。この学習を通して、動物とはどのような生き物であるか等の大切な認識を培っていきたいと考えました。子ども達にとって、昆虫への興味、関心には大きな差があり、好きな子は、とてもかわいがって世話をしましたが、そうでない子は、気持ちわるがるか、見向きもしないようなところがありました。また、たとえ昆虫が好きであっても、カブトムシやクワガタムシは好きだけれど、チョウには、関心を示さない子もいて、学習するための卵や幼虫が、あまり集まらない状態でした。そのような中でも、教室で飼い始めてからは、一つ一つの体の変化に関心を示し、卵から、幼虫、さなぎ、成虫と変化することに喜びました。そのため、他教科の授業であっても、体の変化の場面に出会った時は中断して、その様子をじっと見つめることにしました。このことから、生き物の生命現象の神秘さ、素晴らしさに感動したのではないでしょうか。そして、成虫の観察後にチョウを放してやりましたが、その時には、自然に返してやる喜びを感じる子や、自ら育てた成虫を逃がす寂しさを感じる子がいました。このように、一人一人の子ども達のつぶやきや表情も大切にしながら、教師も子ども達の気持ちに共感しながら、授業の組み立てをしていくことが大切であると思いました。

 理科は、自然や環境に左右される教科でもあります。今回の昆虫学習においては、自然が少ない地域では、卵や幼虫を集めることが困難です。そのために、校内でキャベツや柑橘類の栽培をしておくと、子ども達と共に、校内での観察活動も可能になります。このように、理科は、環境整備について、ひと工夫することが大切であると思います。


三、自然から学ぶ授業づくり!

 「改訂学習指導要領」では、理科の授業時数が大幅に増えたものの、単元の配列には、問題点が多くあります。そのため、子ども達が自然に関わり、親しむことができるような実践を大切にし、科学的認識を培うことができる授業づくりに、乙訓理科サークルの先生方と共に、学びながら進めていきたいと思います。

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