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青年教師のための お助け「玉手箱」 2

「「教科指導」実践「玉手箱」
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授業中に理解させる

      京都市立塔南高校 数学科 中谷 隆


(2008年6月10日)



 昨年四月、四年間の専従生活を終えて現場に戻りました。「基礎学力が落ちてきてるよ」と四年間言われてきたものの、やはり実際に教壇に戻って、その違いに驚きました。昨年一年間の一年生の基礎講座(本校では数学は習熟度講座展開)での取り組みをまとめてみました。

痛恨の平均十六点からの再出発

 昨年度二回目のテスト(一年生は一部選択を含む共通問題で実施)の平均点です。今までのような授業展開では不認定続出が懸念されたため、@試験前の問題演習の時間を確保する、Aノート提出、B座席の変更の三点に取り組みました。

 @自宅での学習はどれほど呼びかけてもなかなか取り組めません。授業中に問題演習をさせることを重視し、できる限り反復させることにしました。Aとにかくノートを取らせる(それまではノートを取らない生徒が一定数いました)ため、「授業ノート(板書を写したもの)」を週1回提出させました。はじめは渋々ノートを取っていましたが、書くことによる記憶の定着が、授業に前向きな姿勢を作り出しました。B授業に乗り気にならないと、とにかくしゃべる。少人数講座であることを利用して、一列おきの座席でしゃべる子をバラバラに配置。さらに、授業中にいらん話をしているときは「ロスタイム」と称して時間を計り、その分授業を延長するという「荒技」も導入しました(最高で五分延長をしたこともあります。それでも授業中の雑談は〇にはなりませんでしたが)

 ノート提出、特に板書を写した授業ノートの提出について、当初私はかなり否定的に考えていました。授業中にノートを取ることは当然と思っていましたが、今の生徒にはなかなか通じないようです。学校全体を見渡しても、テスト終了ともなればそこら中でノート提出が行われています。何らかの「見返り」がないとノートを取らなくなったのかなと考えています。ただこの取り組みの中で、板書していない事項(私が強調したことなど)のメモを取っている生徒を発見し、講座全体に紹介するなど、フィードバックの効果もありました。

単純反復学習

 授業で基礎的な事項を理解し自宅で反復学習に取り組むという、自学自習の習慣がなかなかつきません。本校での調査でも一年生の半分、二年生の七割が自宅学習時間が一日三十分以下との結果が出ています。いきおい、反復学習を授業中や放課後の補習でこなすことになり、教員の負担が増していきます。

 数学の場合モチベーションアップの最大の秘訣は「分かること」であり、「解けること」です。そのためにドリル学習並みの反復を行いますが、心の片隅で「単なるHOW TO伝授」になってはいないかとの不安が常にあることも事実です。

精神的なケアの必要性

 学習面以外で、昨年の一年生を見ていて思ったことが「精神的なもろさ」です。友人関係や家庭でのちょっとした出来事で、モチベーションが一気に下がります。生徒との個人的なコミュニケーションなどを取ってフォローを続けて、やっと意識が授業の方に向いてくる。対人関係に異常なまでに気をつかう彼らならではの「もろさ」ではないかと思いました。

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