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青年教師のための お助け「玉手箱」 2

「「教科指導」実践「玉手箱」
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計算に強くなり、柔軟な脳に変身!
  〜 何故なのかをしっかり考えよう 〜


      京都府立朱雀高等学校 平野 健三


(2008年4月10日)



〔1〕 脳と学力を鍛える基礎ノートの作成と使用

 高校生たちが言葉や漢字を知らない、計算が正確に出来ない、などの声が頻繁に聞かれるようになり、入学以前につけてあるべき(と高校教師が思っている)学力について検証し、不足することは高校として直接補完すべきである。この理念に沿って、各教科の共同で「脳と学力を鍛える基礎ノート」を作成しました。

〔2〕 総合的な学習の時間を利用した数学の再学習の授業

 1年生で週1時間「総合的な学習の時間A」として、基礎的な事項を学習していますが、数学編では、「基礎ノート」で『1.単位あたり量2.比3.分数の計算4.小数の計算5.比例』を扱っています。毎時間、担当教師(教科は様々)が入り、説明を各自が読み問題を解く、自習形式です。終わりに解答を配り各自で添削、というこの授業に、内容が簡単すぎて退屈したり、馬鹿にするのではとの不安もありましたが、生徒たちは「できる」事を頼りによく取り組んで好評でした。しかし、学習後の確認テストに対して、例えば、【問題】1km走るのに0.3リットルのガソリンを使う自動車で、60リットルのガソリンがあれば、何km走れるでしょうか。(全体量)÷(単位あたり量)=(いくつ分)の問題に対し、誤答率は約20%(47人)で、誤答はほとんど60×0.3=18の計算でした。

〔3〕補充・回復の取組

 上記のような「単位あたり量」や「小数」「比」の確認テストで理解が不十分と考えられる生徒に対し,7月から2学期にかけて補充授業(個別指導)を行いました。1年の担任との共同で合格するまで繰り返し指導し、その後の確認テストでは、全員合格となりました。

〔4〕まとめ

 「小学校のときから算数はきらいだったので,授業もきいていなかったので、今回やってみてほんとうに勉強になりました。特に,単位あたり量のところは分かっていないところがあったので、理解できるようになってうれしかったです。中学校に入ってからはずっと小学校の勉強について復習する機会がなかったので、この時間で復習することができて基礎がしっかりできるように少しはなったとおもうので、高校の数学にも役に立てることができたらいいとおもいます。」(生徒の感想より)90%(1年生240人中220人)の生徒が上記のような肯定的な感想・意見で、生徒に歓迎されていることをはっきり示しています。生徒たちが高校を卒業するまでに、しっかりとした学力をつける為には、高校入学までにつけておくべき学力を早急につけることは当然です。単位あたり量程度の数学は一生しっかりとした理解が必要ですし、高校では理解が不十分だと、数学に限らず様々な教科を学習していく上でも困難を引き起こすことになります。

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