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青年教師のための お助け「玉手箱」 2

「「教科指導」実践「玉手箱」
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いま求められている算数の授業


      長岡京市立長岡第九小学校 下田 正義


(2007年10月10日)


(1)なるほど算数

 数年前、4年の子どもたちの中に、3年で習った2桁のかけ算の筆算で、部分積をずらして書く事を、納得していない子どもたちがいた。そこで、面積の学習のあと、2桁のかけ算の筆算を長方形の面積の問題で、考えあったことがある。21×23のような筆算を、長方形の面積を使って考えたのである。 1cm方眼のプリントを用意し、たて21cm横23cmの長方形を書いた。1cmがその中に何個あるかを数えることと、かけ算で出すことは、一緒のことである。21cmをはっきりさせるために、10cmの所に線を入れていく作業した。すると、図のようになる。 ここには、21×23の筆算の部分積が見事に現されている。

 何問か、一緒にやった後、自分でやっていたE子が「先生、合ってた!」と思わず大きな声をあげた。私はそのことが強烈に残っている。

 かって、私たちは、タイル図を使い、筆算の部分積の意味を具体的に図で視覚的にも理解させてきたことは、間違いではなかった。

(2)子どもと創る算数

 昨年、計算のゆっくりなN男が、2けたの筆算で、一の位のブロックを並べて計算して いた。 N男に必要なことは、2けたの数で表されている数量の大きさを実感しながらの筆算の習得のはずなのに、私は、そのことを丁寧に教えてこなかったと反省している。

 幸い、今年、また二年生の担任になった。そこで、昨年ははしょってしまった、ブロックの図と、数字の対応を丁寧に教えることに気をつけている。全員が楽しみながらできるように、クリアシートを使い、ブロックを使いながら、2人で協力しながら学習をしている。

 現行学習指導要領の改訂が具体的な日程になりつつあるが、お母さんお父さんたちが二年生のときにならった3桁の加減の筆算も扱うことにした。幸い教科書には、何百・何十の計算が載っている。「200+300や300+50のような問題を筆算に表わすことができる?」と水を向けると、元気に「そんなの簡単!」と返ってくる。

 現行の教科書で扱われている、2桁+2桁=3桁、3桁−2桁=2桁の計算は、3桁の加減の計算の中でこそ、確かに理解できると私は考えている。子どもたちは、3年の教科書に載っている問題をすらすら解ける自分たちが、カッコよく見えるようである。その続きでやった虫食い算も楽しかった。単に計算問題を解いているのとは、ちがう感覚である。

 答えの丸付けをしたとき「やったあ!」「よっしゃ!」の声が上がるのである。

 こんな授業が、いま求められていると思う。 中学年から高学年にかけて「少人数授業」の中で、「なるほど」「子どもと創る」ことが少なくなっていると危惧する。子どもたちは、学びがいのある授業を待ち望んでいるはずだ。

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