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青年教師のための お助け「玉手箱」 2

「「教科指導」実践「玉手箱」
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給食を中心とした食育指導


      八幡市立中央小学校 栄養教諭 木村啓子


(2007年6月10日)


 本校に転勤してから五年目になります。途中城陽市へ五年間行きましたが、採用されて約三〇年ほとんど八幡市で勤務しています。食育が注目されていますが、八幡市では以前から給食に対する思いが一貫しています。(栄養士の力に負うものが多いと思いますが)

 手作りのものを提供する。食材の安全性を最優先させる。各校にあった給食も実施できる。楽しい取り組みを取り入れる。アレルギー食にも配慮する。など子どもを大事にする給食が展開されています。

 給食は、その学校の実態に即したものでないといけないと思っています。本校に勤務した当初は食事を大切に思っていない子どもたちの現状におどろきました。食事は提供された食べ物(料理)とそれを食べる場の雰囲気です。食べる姿勢、マナー、よい材料で心を込めた献立すべてが教育です。はじめに取り組んだのが手作りのクッキー、ケーキでした。当初は「まずい」と言っていました。手作りの味に慣れていないからです。

 調理員が大皿に盛り付けるパーティ給食、考えて選ぶ栄養バイキング、そして冬場の鍋給食、六年生への松花堂弁当やテーブルマナー給食など、目で見て楽しく、手をかけてくれていることがわかる給食を心がけました。

 子どもたちに自分は大事に思われているということがわかってほしいと調理員と一緒にいろいろアピールをしました。調理員には、集会の場で話をしたり、普段の結びつきを強めるように子どもたちに声をかけてもらうなど、一歩前に出る姿勢をとってもらいました。

 また、栄養士としても、参観日にテーブルマナーの授業をしたり、本物のだしの味をしってもらおうと校区の料亭「松花堂 吉兆」との連携授業などに取り組みました。

 本物のだしと地場でとれた旬の野菜の煮物に子どもたちは素直に「おいしい」と言ってくれます。

 そこから学んだことは、食べる人のことを考えて作る料理です。どのようにおいしく食べてもらうか心配りします。そういう姿勢は必ず子どもたちに伝わります。本物は確かに「おいしい」と言う力を持っています。

 そうして五年目、確実に成果は上がっています。まず、残菜の少なさと「ごちそうさま」の声の多さです。自分たちが大事に思われているということをわかってくれています。

 この前、兄弟学級で食べる給食をランチルームでしているときです。特別にとクッキーを出すのですが、やはり一年生が「先生このクッキー固いしまずい。」と言いました。そうしたら六年生が「何言うてんの。こんなにおいしいものないのに。ゆっくり食べてみ。」と言っていました。本物はおいしいというのが、子どもの舌を通じてわかっていくのです。

 大人になってもきっと手作りの味は覚えてくれていると信じています。そして、子どもたちが親になったとき自分の子どもにそれが伝えられたらなどと思っています。

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