トップ 事務局 青年教師 教科指導

青年教師のための お助け「玉手箱」 2

「「教科指導」実践「玉手箱」
11


高学年のハードル走の授業


      長岡京市立長岡第三小学校 木村俊四郎


(2007年5月10日)


 本校では、単学年当たり四時間の教材指導時数がそれに当てられている。何を教えるのかを絞り込んでも、その配当時数では十分な力を付けることができないし評価もできない。子どもたちの事前アンケートでは、「五〇メートルのタイムに近づけたい」「かっこよくとびたい」「ハードルに引っかかるから怖い」などがあった。この意識に具体的に応えて行くためにも、ハードル走のフォームを教えることよりも「どうしたらタイムロスがなくせるか」を「見つけ合いや伝え合い」を大切にして授業を組み立てている。

 そこで、陸上領域や体ほぐしの時間に当てる時間をやり繰りし、「五〇メートルハードル走」に六〜八時間あてて指導している。また、「わかり・できる」内容を絞り込み、五年生で「@有効な踏み切りポイントがわかる(中心的な学習活動)、A遠くから踏み切ると低い姿勢のハードリングになることへの意識化」を中心課題に、6年生で「B振り上げ足の着地ポイントがハードルに近い方が有効であることがわかる。C振り上げ足を叩き付けるようにして、抜き足の着地点や抜き方への意識化」としている。

 地域の先生仲間の声として、「1.2.3ー.トンのリズムを教える」「ハードリング時のフォームを意識的に教える」など耳にすることがある。どれも間違っていないと思うが、動作を起こすタイミングはハードル走に限らず永遠の指導課題として受け止めている。しかし教科体育が、クラブ活動的なトレーニングの場面になることだけは避けて指導に当たらねばと心に決めている。

 紙面の関係で、授業計画を紹介することはできないが、コース決めと三〜四人でのグループ学習の様子を紹介したいと思う。一身長一四〇センチメートルとして四歩で五・六メートル、疾走区間では一身長以上が一歩なので、最短のインターバルを六メートルに設定(五年生では、一時的に五・五メートルも設定するが)し、六・五メートル、七メートルの三コース、各ハードルは最下段でスタートから第一ハードルまでを十五メートルで、三インターバルを含む五〇メートルハードルで指導している。(記録会などの基準で指導していない。)

 学習効果を上げるために、各コース内で子どもたちを異質集団で三〜四人で点検させている。一人目は試技、二人目は第一・第二ハードルの課題(学年やその時の課題に合わせる。五年生では@、6年生ではB)を点検する。三人目はゴールラインあたりの正面から、ハードリング姿勢の高・低の様子などを点検させる。この時必ず、点検表などを通し課題確認をさせている。課題を持つ子も巻き込み学習課題を明確にさせるように心がけている。

 最後に、学習課題に対して子どもたちの声を紹介したい。課題に迫れている子への声として、五年生では「スピードの落ちない子は 一メートル以上で踏み切っている」、六年生では「振り上げ足の着地点がハードルに近く、抜き足が素速い」などがある。反対に走スピードが失速している子どもたちには「 踏み切り足がハードル前一メートル以内で、跳び上がるようにしている」、「跳び上がったようにしている人は、振り揚げ足の着地ポイントが長く、抜き足の一歩目も狭い」などの声があった。

 課題を持つ子どもたちが増えている中、タイム短縮は全ての子どもたちの目標であり要求であるはずです。今後も子どもたちの変化に応えていける実践を追求していきたいと思っています。

トップ 事務局 青年教師 教科指導