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青年教師のための お助け「玉手箱」 2

「「教科指導」実践「玉手箱」


少人数授業でも本来の学習を

      舞鶴市立高野小学校 辻 信行


(2006年11月10日)


 本年度四月から、少人数授業を担当することになりました。一週間の授業時間数は、二十時間。毎日三年から六年の算数を四時間担当。三年は、二学級を三集団に、四年から六年は一学級を二集団に。集団の編成は、均質(これも変な言い方ですが・・・・)。つまり、習熟度に応じた固定的な集団編成をとらず、子どもの学力や学びの実態について学級担任と話し合い、集団を編成しています。


授業(学習)は、人格形成の場

 わたしたちの学校でこのような集団編成をしているのは、「授業(学習)は、一人ひとりの子どもの学びを学習の出発点にして、子ども相互の学習で学びを広げる場」と位置付けているからです。学校の中心的な教育活動である授業では、子どもたちにある限定された学力を、効率的に獲得させるというのではなく、相互の学習での学びあいの中で思考力をつけ確かな認識をつちかうだけでもない、『人格形成』につながる多様な人間的な学びあいを育てたいと考えるからです。  


少人数授業・制度の問題点

 昨年度までは、学級担任の立場からこの制度を見ていましたが、今年度はその当事者になって改めて、多くの問題点がある制度だと思わずにはおられません。

 まず第一に、授業でつまずきがあっても回復指導や家庭学習が機敏に取りづらいことです。担任ではないので、保護者との日常的な連携にも課題があります。

 次に、従来から言われていたことですが、担任との打ち合わせの時間を勤務時間内にとることが困難で、多忙化に拍車をかけています。その他、言い出せばきりがないくらい様々な問題点があります。  


少人数担当として

 「少人数担当の任務・・・。」などと言われるのですが・・・。

 『今日は、こんな学習だ、ぼくの考えをみんなに伝えたい。尋ねてみたいこともある。先生やみんながどんなことを言ってくれるか楽しみだ、先生はどんなよさを探してくれるかな。』

 子どもたちが、こんな気持ちで教室にやってくるようにと願っています。まず、大切にしたいと思ったのは子どもとの信頼関係です。できるだけ声をかけ、様々な話題で話ができる関係をつくることを心がけています。教室には、絵本、皿回し、風車、化石と恐竜・・・何でもありの癒しの部屋。

 そして、何より、自分で考え、友達からもいっぱい学べるような授業の工夫。一人ひとりの子どもの学びのよさを常に誉めることを心がけてきました。

 学習に困難を抱えている子には、最後まで付き合い、個別に学び方や個人学習の課題を与え励ますことを続けています。  学校全体の算数科の教育課程や実践についても、提案しながら合意形成をはかっています。『学期・年間を通した習熟・定着のための家庭学習プリント』『学期末学力診断テスト』『発展的な取り扱いを生かした数と計算領域のカリキュラム』など。  


やっぱり、子どもたちと

 いろいろな研究会に行く機会が増えましたが、今だに「集団の固定的な習熟度別授業」で様々な「成果」が上がっているかのような報告を聞きますが、授業の中での子どもの学びの様子を見る限り、わたしには「成果」が、見えてきませんでした。どの子も、確かな主権者として育ってほしいという願いとかけ離れた「学力」「国語力」「・・・。」という声もむなしく聞こえます。

 『今日も一番!』と元気よく教室に飛び込んでくる子どもの声を励みに、子どもたちとの日々を楽しみたいと思います。

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