トップ 事務局 青年教師 教科指導

青年教師のための お助け「玉手箱」 2

「「教科指導」実践「玉手箱」


子どもたちをリアルに見つめ、子どもたちの力に依拠した楽しい授業づくり

清水 忠司(亀岡市立高田中学校)



 この春、四年間の組合専従の仕事を終えて、現場に復帰しました。復帰と同時に転勤となり、亀岡の北西部の広大な水田地域に位置する高田中学校に転勤しました。

 四年間のブランクと新しい教育課程初体験に心配しつつ、一クラス二十三〜二十七人の規模で、少人数学級の有り難さをしみじみと感じながら、忙しいながらも授業づくりを楽しんでいます。

 久しぶりの授業は@何よりも、子どもたちはもちろん、自分自身が楽しいと感じられる授業にしたい。A授業の中で、生徒との対話や生徒間の関係性を大切にしたい。B楽しく、本質的な実験や観察をできるだけ行いたいとの思いでやっています。

 今年は、一年と二年担当しています。

一.楽しい授業は本質を追究する授業

 楽しい授業は、わかりやすい授業のことであり、内容の本質に迫る授業だと思っています。最近、教研の理科分科会に中学校レポートがあまり出てきません。現場の忙しさと共に、高校受験という上からの圧力、学年複数担任制が多様な実践の自由度を奪っているように思います。それでも、限られた授業時数の中で、同じ内容を扱っても、教材に対する本質的な深まりは追求できます。そのとき授業者としての教師の力量を積んでいくことが求められます。

 教材に対する研究と新しい発見が必要であり、それが理科教師の楽しみです。その成果を持って、いそいそと授業に行くことが理科教師としてのささやかな喜びです。

 私自身、力量ある教師とは全然思っていません。話術もへただし、いつも自信なく悩んでいます。それでも全国の理科大好きの先生が集う科学教育研究協議会の大会でいっぱい学び、いろんな実践やネタを仕入れ、「まねる」ことで、理科教師としての喜びを感じさせてもらっています。

二.子どもをリアルに見つめながら

 これまでプリントを主体に授業を組み立ててきましたが、今年は、ノートに書くことを大切にして、子どもたちとの対話、集団の優位性を意識して授業をしています。

   授業では、子どもたちの発言、表情、ノートを見ながら、少し変化を加えています。

 先日、二年のS子さんが、私の横で「理科おもしろくないわ。授業もわからへんし。あっ、先生聞こえてた。ごめん。」と独り言(?)のように言いました。私は「そうかあ。」と笑顔で答えながら、内心おだやかではありませんでした。そこで担当クラス全員に「理科授業アンケート」を無記名で取ってみました。「理科の授業はおもしろいですか」「授業分かりますか」などの内容で。

 すると少なからずの数で「おもしろくない」「授業が分からない」の回答が出てきました。現場に戻り、「何とか授業づくり順調かな」と密かにあった自信はもろくも崩れました。しかし「現実は難しい。現実をリアルに見つめ、そこから進むしかない。現実を前に一喜一憂してもしかたがない」と思っています。

 多様な考えを持つ子どもたちを前に、今年は、子どもたちの声に耳を傾けながら、ちょとでもましな授業を目指していきたいと考えています。

   また集団の力に依拠した授業も大切だと思っています。実験はもちろん、授業場面での教え合い・班での討論や問題の出し合いの設定を意図的に組み入れています。

三.まとめにかえて

 教師生活が終わるその日まで、教壇に立って授業をしているでしょう。またそうしたいと思っています。満足のいく授業がどれだけできるかわかりませんが、最後まで学び続けていきたいと思っています。

トップ 事務局 青年教師 教科指導