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青年教師のための お助け「玉手箱」 5

「教育について学びたい」 理論編「玉手箱」
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「お金の心配なく学校へ行きたい」--子どもに寄り添って

        全日本教職員組合中央執行副委員長 本田久美子

(2009年3月10日)



 三月は、子どもたちが学校生括を終え、 希望に胸ふくらませあらたな旅立ちをする卒業式のある月です。その卒業式が、 授業料未納のため出席できず、卒業でき なかつたらどんなにか悲しいことでしょ う。

 昨年四月、入学金が納入されていな くて、入学式に出られず別室で待機しなくてはならなかった高校生のことが新聞で報道されていました。この時期、経済 的理由で悲しい思いをする子が出ないよ う緊急に何らかの措置のためにとりくむ ことが求められています。

 昨年の金融危機の影響で、日本でも派遣切り、雇い止め、解雇など経済危機は深刻化しています。子どもの安心のより どころである家庭を直撃しています。

 「給食のない夏休み、通行人に食べ物 をねだる小学生がいた」 「通学定期券が買えなくて学校に通えない」 「授業料が払えずに退学せざるを得ない」 「保険証 がないから病院へ行けない」 「交通事故に遭い、けがをしたにもかかわらず、『お金がない』と救急車に乗るのを拒んだ」。 先日おこなわれた全教定期大会での代議員の発言です。貧困と格差拡大が、子どもの成長・発達、学習権にも大きく影響を及ぼしています。

 今春就職予定の高校生の就職内定取り消しが、文部科学省調査でも二六九人に達しています。私立中学高校連合会が調査したところによると、十二月末現 在、二万四四九〇人が授業料を滞納し、全生徒の二・七%に達しています。 自治体などが、奨学金や緊急助成制度などおこなっていますが、基本的には国の責任で緊急助成などおこない、この時期悲しむ子が出ないようするべきです。

 全教では、広く労働組合、民主団体、地域での共同組織でつくっている子ども全国センターとともに、「子どもを襲う貧困と格差」と題しての集会を三月七日に、また「入学金・授業料・教育費緊急ホットライン」を三月八、九日に開設し、相談活動にとりくみます。

      *

 京都市教職員組合および京都教職員組合から全日本教職員組合(全教)に派遣され、東京での単身赴任の生活も早二年がたとうとしています。中央の組織は、今の情勢と中央政府所管、特に文部科学省の動向に機敏に対応し、 全国に発信することが求められます。さいわい、全教の情宣部で、新聞「全教」、「クレスコ」の編集にたずさわつていて、できるだけ全国の情勢ととりくみが組合員および教職員の方にいち早く届けられるよう努力をしています。

 また他に、子ども全国センターの事務局長として、教職員と地域との共同組織の確立と運動の推進にとりくんでいます。これは京都での父母・地域のみなさんと教育懇談会や子育てネットワークなど共同でとりくんできたこと が役立っています。他に教文局として、改訂学習指導要領、全国一斉学力テス ト、教員免許更新制に反対するとりくみや、とりわけ「教育のつどい−全国教育研究集会」成功のために力を注いでいます。昨年の京都開催では大変お世話になりました。自分の教育実践は残念ながらもう出すことはできませんが、全国の教職員の力量を高めるとともに、父母・国民とともに子どもや教育のことを語る重厚な場として大切にし、質・量ともに高めたいと思ってい ます。

 さらに世界と連帯する全教として国際局で、昨年はアメリカへ労働基本権調査に参加し、今年はILO・ユネスコ勧告を元に国際シンポジウムを開催します。さまざまな分野に所属し、仕事を担っていますが、もちろん全教として集団で論議しながら全国へ発信しています。これが一方通行にならないよう運動をキャッチボールできたらと思っています。

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