トップ 事務局 青年教師 教育論

青年教師のための お助け「玉手箱」 5

「教育について学びたい」 理論編「玉手箱」
11


教育に競争と格差をなくし、学校にゆとりと自由を


           京都市教職員組合 執行委員長 新谷 一男

(2007年10月10日)



 「何でも日本一」、「全国に先駆けて」と全国どこへ行っても吹聴している門川教育長。

 巨額の費用を投じて一点豪華主義の学校を作り、一方、窓も開けられないような老朽校舎が放置されている。統合された新しい豪華主義の学校には、北山杉の特別仕様の机やいすをすべての生徒が使用している。

 給食に使う食器まで校章入りの特別製が使われている。その一方多くの学校では、卒業生が使っていた古い机やいすを新入生に使いまわしているところや、それだけでは足らなくて統廃合された学校から、まだ使えそうな机やいすを貰い受けて使用している学校もある。公立学校でこのような格差はあってはならない。

 教育内容も、前の取り組みの総括も反省も不十分のまま、次から次へと新しいことが押し付けられてくる。そして、テストの点数を上げるための「学力向上」の取り組みが、矢継ぎ早に押し付けられてくる。日本の気候風土に合い、学校教育の中に完全に定着している三学期制をいっせいに二学期制へと移行してきた。学校・教職員に研究の名の下に膨大な研究紀要の作成や指導案の作成、研究発表に次ぐ研究発表。そして、父母や子どもへの対応がうまくいかなくて思い悩み、信頼を崩しかけている教師を、不適格教員として退職へと追い込む。一方、表彰や認定の基準があいまいなまま、優秀教員の表彰やスーパーティーチャの認証を行っている。ひとり一人の教職員を評価して、学校の中に一層競争主義を持ちこみ、教師も子どもたちも勝ち組・負け組へと追い立てている。

 社会情勢の急激な変化の中で、子どもたちや父母の現状の厳しさからその対応で苦慮し、多忙を極めているのに、報告文書作成や事務的な仕事量の増大で、過労死ラインを超える長時間過密労働が強いられている。また、土曜・日曜日などの行事や部活動での出勤もあり、学校へ行かなくても持ち帰り仕事を行っており、まったく休日や休養もない状態が常態化している。現状の打開の方途と、市教組組合員が、超過勤務を強いてきた市教委に対して、超勤是正に向けて現在損害賠償請求の訴訟を起こしている。

 教育は競争ではない。同じ市立学校で格差があってはならない。また、学校で働く教職員に長時間過密労働の強化でなく、ゆとりと教育の自主性と自由の保障、そして何よりも子どもとふれ合う時間の確保こそ必要である。この秋、京都市長選挙の勝利を展望しつつ、京都市の教育の困難な現状を少しでも改善するために、教育大運動に取り組んでいる。

トップ 事務局 青年教師 教育論