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青年教師のための お助け「玉手箱」 5
「教育について学びたい」 理論編「玉手箱」
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教員の身分は尊重されるべきものである。
「教員免許更新制度」許せぬ!
元中学校理科教師 淵田 悌二
(2007年6月10日)
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「人材の育成」ではなく、「人格の完成」をめざすことを教育の目的(第一条)とする教育基本法は、その第六条(学校教育)に「・・・教員の身分は尊重され、その待遇の適正が期せられなければならない」とある。
しかし、憲法の理念を具体的に実践するための教育基本法は、二〇〇六年十二月、その改悪案を審議不十分なままの「自民・公明のみによる強行採決」というフアッショ的なる行動がとられた。そして、その改悪法を具体化していくための悪法「教育三法」の一つに「教員免許更新制度」があり、これらもまた強行しようと恐るべきことが進行中である(〇七年五月)。
定年退職後十年以上にもなるとはいえ、この悪法に対して「文科省教育制度改革室」宛抗議も送付したが、再びこの機に批判をしておきたいと思う。
一、「教員免許更新制」なるものは、教育の条理・本質にも反するばかりか、憲法九条の理念を学校教育の場において否
定することと連動しているもので許せな いものである。また、学校教育の場は子
どもたちと先生がともに活動する場であ り、未来への希望と人間としての連帯、そのための安全・安心が保障されなければならないものである。
現行の教員免許は大学での単位修得による一種の資格としての性格を有するものであり、教員の能力は子どもや保護者たちとの豊かなふれあい、教職員集団の中での学び合い励まし合いなどを通じて、その実践の中で育まれていくものである。「十年」でその「資格」が「一方的に取り消される」という性格のものではない。この制度は教育の本質をごまかすものである。
二、@教育懇談会の自由を保障すること。このことは、多様な意見・教育要求の合意を得るためにも、教育実践への協力・支援を得るためにも必要なことである(しかし、そのための時間保障、内容・意見の自由さえない現状)。
A職員会議での発言の自由を保障し、合意形成のための十分な時間の保障、民主教育における絶対条件である。
B教育実践の自由・研究の自由を保障。教育行政の「研修」のみではなくて、自主的なる研究が可能なる時間・研究費・体制の保障を。「十年ごとの更新制」ではなくて、「十年ごとの自由なる研究・学習の時間をこそ保障」すべきことだ。教員の専門性である。
今日の「教育再生」にとって必要なことは、「教育三法」ではなくて、以上の三点ではないかと思う。
・教育にとって必要なことは、「強行採決」による政治的介入ではなくて、国民的合意の形成である。日本最古(一六六八年)といわれる「閑谷学校」では、「藩主の公門は狭く」「庶民と武士の子弟、他領の者も入学させ」「藩財政からの独立」と掲げられ、今日の教育行政さえ学ぶべきものがある。今日の教育における競争主義と管理体制という最も不適切なる行政は許されるべきでないと思うのだが、いかがなものか。
(二〇〇七・五・末)
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