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青年教師のための お助け「玉手箱」 1

「学力づくり」実践「玉手箱」


社会を見つめ、仲間とつながり、じっくりと考える      ー新聞の切り抜きの発表と感想の取組について

               京都府与謝野町立加悦中学校  浦島 清一

(2008年7月10日)


1 新聞の切り抜き・発表はこうして始まった。

  今、地球や世界が大きな課題を持っている時、子どもたちは、その社会とどのようにつながり、またその社会や世界を認識しているのだろうか。 生徒に聞いてみると「新聞は読んでない」「新聞を読んでもテレビ欄ばかり」「世の中のこと知らなくても生きていけるし」との答えばかり、そこで、毎年やっていた「新聞の切り抜きと発表」に加えて、みんなで感想を書き、その感想を発表者に返し、それを読んだ上でレポートをさせた。方法としては、@ 気に入った記事を選び、それについての意見を回覧ノートに書く。A 切り抜いた記事を始業前に届けさせ、印刷し、授業前にそれを配る。B 発表者は発表をし、他の生徒は発表後自分の感想を書く。C すべてが発表後、他の子どもたちの感想文を渡し、その後レポートさせる。

2 記事選択から分かること

  子どもたちが取り上げた記事を整理するとこんな事が分かった。

@ 「命」に関わることを多く取り上げている。これは今の子どもたちが、「命」や「生きること」についてしっかりと考えたいという思いの表れでは。

A 「子どもに関わる事件」や「教育」に関わる記事についても興味を持っている。

B 地球規模の課題である「戦争」「環境」などについてもしっかりと考えなければいけないという課題意識を持っている。

3 取り組んでみて

(1) 新聞を読む中で、記事を解説したり、自分の感想を書くことにとどまらずに、何でそうなのかを考える生徒も多く出てきた。また、次第に社会全体に目を向け、自分の生き方に迫る生徒も出てきている。

(2) 今回はみんなの感想文を発表者に返し、その感想を読んでさらに自分の考えを深めることを課題にした。自分の考えたことをみんなはどう思っているのか、今子どもたちのつながりの薄さを考えたとき、「言いっぱなしで終わる」のではなく、子ども同士をつないでいく取組の重要性感じている。

(3) 人の意見を聞く中で、「同じ問題でも、こんな考え方がある」という評価と、一人一人は違うことに改めて気がついている。また、「人間の考えは変わるんだ。」と書き、人との意見の交流の中で、自分の考えが深まったり、変わることがあることに気がついている。

(4)この取り組みは生徒の支持を得たが、それは新聞を読み、考える。それが次第に社会や日本そして世界につながるという読みをしたときに、「知ることはすばらしい」と感じる「学び」ができることになる。

 また、「一人の学びからみんなの学び」につながる喜びなのではないかと考えられる。自分が取り上げた記事をみんなが一緒に考え、感想を書くその中で「共感」「発見」があり、さらに「知りたい」、そして「本当のことが知りたい」という願いとなってくるのではないかと考えられる。

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