トップ 事務局 教育基本法学習会 5・27緊急集会報告
集会報告
緊 急 ア ピ ー ル


 私たちは、教育の憲法と言われる教育基本法が、国民的論議不在のままに今国会で強権的に改悪されようとしている情勢のもと、この改悪に「待った!」をかけ今国会での廃案を求めて緊急の集会を開催しました。

 今、幼い子どもたちのかけがえのない命が奪われる事件などが相次ぎ社会不安が広がるなかで、子どもたちのセーフティネットを確立することが急がれます。また、子ども、学校、父母・教職員は今日の「格差社会」のなかにあって、優勝劣敗の「商品」として組み込まれようとしています。そうした中で、子どもたちは安心して自分をさらけ出せず、未来の夢も語れない閉塞感を抱き、教職員も子どもの可能性を信じてどの子も伸ばしたいとの思いを持ちつつも上意下達の管理・統制の実務に日常的に追いまくられ疲労が蓄積しています。

 私たちは、こうした事態を危惧の念を持って直視したときに、今こそ現行の教育基本法にうたわれた「人格の完成」をめざす教育の完遂のための環境・条件を急いで整備確立しなければならないと考えます。

 ところが、こともあろうに政権与党や政府・文科省はこうした憂うべき事態を招いた当事者としての責任を棚上げにして、そうした根源は教育基本法にあるとの虚構からその「改正」を主張しています。この論理のすり替えは断じて許すことができません。

 今、俎上にある教育基本法「改正」法案は、戦後の民主教育の根幹をなす教育理念を根こそぎ変質させる大きな問題点を持っています。あらたな条項として「教育の目標」を付け加え、およそ20におよぶ徳目・態度を組み込み、国家が国民に価値観を明示して強制すること。そして、その目標のひとつに「国を愛する態度」をかかげ愛国心を国家が強制できる法的な規定であること。また、現行の第10条を形骸化し教育の自由を大幅に後退させ、教育振興基本計画の策定により国家が教育内容に日常的に踏み込み、教育委員会や学校現場への国家統制を可能にするなど多くの問題点を含んでいます。

 また、政府案の「対案」として23日に提出された民主党の「日本国教育基本法案」も「日本を愛する心を涵養する」などを盛り込み、「政府案に負けず劣らず危険なもの」として日本教育法学会などでの批判が高まっています。

 京都教育センターはこの5年間、「改正」の策動が開始された直後から現行の教育基本法を守り生かすことは「子どもと教育の生命線」として位置づけ、アピール賛同、連続学習会・講座、出版活動など多様なとりくみを精力的に展開してきました。

 国会は会期末を3週間後に控え他の重要法案の成否もかかわって「会期延長」もありうる状況です。しかし、体制側が数年におよぶ議論を重ねたと強弁しても国民的には全く関与できなかった密室での協議などであり、「愛国心」に賛成する人も含めて「今国会では採決せず、もっと議論をすべき」の声が73%にのぼっています(5/23付朝日新聞世論調査)。私たちは、こうした拙速な改悪策動を打破するため、当面の「6・4円山教育府民大集会」をはじめ重大局面にふさわしいさまざまの緊急行動に打って出て、今国会での強行を許さず「廃案」に追い込むため全力をあげるものです。

    以上決議します。

                2006年5月27日     教育基本法改悪「待った!」緊急集会
 
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