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●私と京都

<私の日本語の学習> はじめての作文から



                ケー カイン ウー(ミャンマー出身)
 

日本はしずかな国ですか? うるさい国ですか?

 日本はいっぱんてきにしずかな国だと思います。私は今京都に住んでいますから、京都と私のふるさとをくらべたいです。

 私のふるさとはちいさいまちです。わるいおとこのひとたちは、オートバイを大きなおとにしてうんてんすることがあります。とてもうるさいです。京都にはそのおとがありません。

 そして私のまちでは、ごご九時ごろと十時ごろの間に、男の人たちはきれいな女の人の家の前で、ギターをひいて、うたをうたいます。ときどきうたをうたうのが、へたなときもあります。とてもうるさいです。京都ではそういうことがないと思います。
 でも私は、みささぎりょうに住んでいたとき、やかんにきゅうきゅうしゃのおとがよくきこえるのにびっくりしました。私の国ではそのおとを、あまりききません。私の国ではときどき、しょうぼうしゃのおとはきこえます。私はそのきゅうきゅうしゃと、しょうぼうしゃのおとをきくと、とてもびっくりします。

 そして日本人はしゃべるとき、こえはあまりおおきくないとおもいます。だからいえにひとがいるかどうかわかりません。ミャンマー人はしゃべるとき、こえはおおきいです。

 バスとでんしゃのなかで、日本人はあまりしゃべらないです。ミャンマー人はりょこうするとき、バスとでんしゃのなかで、ひとびとはおたがいをしらなくてもしゃべります。それはいいときもあるし、よくないときもあるとおもいます。
 そのけっか、私の国と日本をくらべるとき、日本は私の国より、もちろんしずかな国です。


私のはじめてのかいがいりょこう

 私は今年(二0一三)の四月二日に日本へ来ました。日本へのりょこうは、はじめての、私のかいがいりょこうです。はじめてひこうきにのりました。とてもわくわくしました。日本についてとき、さくらの花がたくさんさいていました。とてもきれいでした。


大文字山にのぼった日

 今日は十月十四日です。月曜日です。いい天気です。今日は私の日本語の先生と先生のともだちと、私のともだちといっしょに大文字山にのぼりました。九時にあるきはじめました。あまりとおくなかったです。みちもしずかだし、しぜんもきれいです。山のぼりは、今日がはじめてです。いくまえ、山のぼりはたいへんだとおもいましたが、あまりたいへんじゃありませんでした。とてもたのしかったです。しゃしんもたくさんとりました。山の上からみた京都市が、ほんとうにきれいでした。十ニ時ぐらいにかえりました。

 そのあとで私はともだちと三じょうへかいものにいきました。ひるごはんを三じょうでたべました。うどんをたべました。おいしかったです。今日はとてもたのしいし、おもしろかったです。


京都のあき

 あきになりました。きおんがだんだんさがります。あさはもっとさむくなります。きのはは、きいろく、あかくなります。よるに大学からかえったとき、あついラーメンをたべると、とてもおいしいです。

 ちちは、こんげつの十七日にこうべへ、しゅっちょうできます。それで、ははと、いもうとと、おとうとのために、すてきなセーターをかいたいので、先週の土曜日に三じょうへ、かいものにいきました。

 デパートには、いろいろすてきなセーターがたくさんあります。セーターを5まいかいました。

 ちちはミャンマーのたべものをたくさんもってくるといいます。とてもうれしいです。


ミャンマーのけっこんしき

 わたしのくにでは、けっこんしきを、うきにはあまりしません。うきは六月から九月までです。さんか月ぐらいです。ほかの月はけっこんしきをしてもいいです。

 けっこんしきのじかんは、ごぜんにするのがいちばんいいですが、さいきんは、ごごにもします。

 しんろうしんぷは、おきゃくさまに、おいしい食べ物をごちそうします。おきゃくさまは、しんろうしんぷのために、おいわいのプレゼントをあげます。おいわいのプレゼントは、おかねとか、おさらとか、とけいとか、テレビとか、いろいろなものです。けっこんしきのじかんは、三じかんぐらいかかります。


私の国のしんねんのむかえかた

 私の国では、しんねんがふたつあります。ミャンマーのでんとうてきなしんねんと、イギリスのカレンダーのしんねんです。まずミャンマーのしんねんについていうと、四月十七日です。その日のまえは、ミャンマーのでんとうてきなみずまつりです。みずまつりのあとで、しんねんをむかえます。そのひには、とくにぶっきょうとは、いえのブッダぞうをあらったり、むらのおじいさんとおばあさんのあたまをあらったり、てのつめと、あしのつめをきったり、まえのいえがいろいろなおかしをつくって、きんじょのひとにあげたりします。そのひに、いろいろないいことをしたら、いちねんじゅういいことがあると、しんじられています。

 イギリスのカレンダーのしんねんは、一月一日です。とくにわかいひとは、この日をたのしみにしています。十二月三十一日のばん、十ニ時までまって、十ニ時に“Happy New Year”といっしょにさけびます。そのひに、しんねんをむかえるパーティーをします。やきとりや、やきそばや、ビールなど、いろいろな食べ物をつくって食べます。うたをうたってたのしみます。

*注
 ケーカインウーさんは文中にあるようにミャンマーからの留学生で、京都大学大学院農学研究科の研究生として2013年4月に来日、14年4月から修士課程に入学しました。わたしは吉田日本語学習友の会のメンバーとして13年の9月から彼女の日本語学習の手伝いを始めました。『ニューエクスプレス日本語』という初心者向けの速習テキストを使いながら、毎回彼女に短い作文を書いてきてもらい、その内容をテーマに会話練習をおこない、いまも継続しています。ここに紹介したのはその作文の一端で、ほぼ原文のままです。原文は分かち書きですが、日本の読者のために通常の文章に改めました。ただ句読点を多くして、分かち書きのリズムを生かすと同時に、ひらがな中心の文章の意味がとおりやすいようにしました。
 なお名前のケーは「髪」、カインは「強い」、ウーは「長女」という意味だそうです。ちなみにミャンマー(ビルマ)人には姓にあたるものはありません。(吉田日本語学習友の会・澤居紀充) 


 
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