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好評 連載 生き生きセカンドライフ
― 絵手紙をつうじて

                           川上 善雄(右京退職教職員)
   本文には、写真が掲載されていますが、ホームページ掲載に於いては省略しています。
 

 第二の人生を始めるに当たって、私は今までとは違った世界に挑戦したいと考えていました。


 いろいろ考えたすえ、喫茶「クライネ」を開店しました。私が退職した1994年です。開店後店内の壁面を利用して作品展を開くことにしました。写真展や刺繍展、パステル画展、水彩画展など毎月開催してきました。そうした中で自分も絵を書いてみようと思いました。NHK文化センターの水彩画教室に入会し、そのなかで自分で描く楽しみを見つけることができました。そして同好の士を集めて水彩画クラブを結成しました。今年の四月には第五回の作品展を「ぶらり嵐山」という府のギャラリーで開催することができました。

 また新婦人の会の絵手紙サークルの作品展をきっかけに「クライネ絵手紙クラブ」を結成しました。99年発足の時は6人でした。現在会員は25人を越えています。絵手紙は絵のはいった気軽なお手紙の一つです。自己流ながら絵手紙を始めてから14年になります。その間に描いた絵手紙は千枚を下らないと思います。

 絵手紙は「しっかり写生するよりも少しラフなかきかたで色もタッチもサラッと描くのが向いている」と言われます。また「下手でいい、下手がいい」とも。しかし私は、小さいながらも、絵画として向き合って、手を抜かずしっかり描いてほしいと思っています。だから「下手でもいいが美しく」をモットーに多彩な色をつかって仕上げています。

 喫茶店は4年前に閉店しましたが、店のフロアーを利用して活動はつづけています。月1回4つのグループに分けて行います。会員のほとんどが経験のない人でした。半分ちかくの人は中学校卒業以来絵の具を使った事がないと言います。そんな人達につづけてやってもらう為には絵をかくことが楽しいと思ってもらわなくてはなりません。そのために作品のいい所を見つけて褒めることが大事です。

 どんな作品でも不十分なところや欠点を見つけるのはたやすいのですが良い所をみつけるのは難しいものです。真面目に取り組まれた作品であればデッサンや色が不十分であってもどこか良いところがあるものです。それを評価し励ましていけば、よしやっていこうという気も高まります。

 私たちのクラブは私の影響もあってか、お互いの褒めまくりが流行しています。人の絵のよい所を見つけられると言う事は、自分の制作にとってもプラスになると思います。

 そして次に大事なことは継続することです。最初は下手であっても続けてやっていれば上達していくものです。よく人は自分には才能や素質がないからと言います。世間にあるたくさんの趣味の中から絵を書くことを選んだのであればやはり他の人とは違うのです。やりたいと思った気持ちこそ「素質」と考えていいのではないでしょうか。

 絵手紙クラブ14年の間に6回の作品展を開きました。6回目は今年の一月でした。テーマは「色で魅せる絵手紙展」です。来場者からは多くの褒め言葉をいただきました。「皆さんの絵は個性があって素敵です」「美しい色とそれぞれの言葉から元気をいただきました」「1人1人の心の優しさが伝わってきました」「楽しい作品展でした」「皆さんの絵を見ていてホッとします」「色で魅せる本当に素敵な作品展です」「継続は力なりを感じました」などです。

 最近メールや携帯電話が主流となり、手紙による通信がめっきり減っています。絵いりの心温まる手紙やはがきで交流できれば心も豊かになり、生活にも潤いをもたらすのではないでしょうか。切手を貼って届けられた絵手紙を見るとき、しあわせなきもちに成れるのは私だけではないでしょう。

 今の日本は福島の事故の原因も究明されないまま、原発の再稼動が計られています。また憲法改悪や消費税の増税、維新の会に見られるようなファッシズムなど、日本の未来を危ぶませる動きが活発です。

 戦争を経験したものにとっては、戦争はもう懲り懲りです 空腹もコリゴリです インフレはもういや と言うのが実感です。

 戦争のない平和な社会、美しく豊かな文化が花開き、安心して暮らせる社会の実現を願い、私も絵手紙を通じてその思いを発信していきたいと思っています。

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