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新連載シリーズ 生き生きセカンドライフ

 お寺でのアヴェマリア
        ・・・・「山と音楽」の集い

             淵田 悌二(退職教職員・北区在住)
 「ひろば 京都の教育」162号では、本文の他に写真・絵図など2枚が掲載されていますが、本ホームページではすべて割愛しています。くわしくは、「ひろば 京都の教育」162号をごらんください。


●ある老人の暮らしの中で・・・「山と音楽」その探求と友との交流 と題するものを出版した。その出版記念の集いを自分勝手に企画した。そこで「チェロの音出し」をすることにした。高齢化社会といわれる状況の中で、老人の生き方が問われる。古希をすぎた一老人の生きている証として、最近の「愛宕山行」の探求とチェロ・レッスンにかかわる雑感を主とした個人的日記のようなものである。「出版」に値するものではない。ましてや、社会的意味のあるものでもない。単なる個人的なる趣味にすぎない。


●序曲(プロローグ)は、おだやかな曲想で、全体的イメージを記述している。第一楽章モデラートでは、淡々とした愛宕山行の記録であり、「教え子たち」友との交流を楽しんでいる。第二楽章は最も元気溢れている時期であり、南の屋久島・北の知床や登山祭典の記録が主になっている。第三楽章は異質なる短調で、チェロ・レッスンにおける多様なる体験談である。最終楽章は、激しく感情が爆発している。世の中の不正に対する怒りである。全体を通じて平和と民主主義の理念を貫いている。コーダ(エピローグ)は、「恥ずかしき、面白い、何ともいえない」側面を示しながら「これから」の課題にふれて終える。


●京都での最初の職場は山科中学校であり、退職時の花山中学校も山科である。山中時代は音羽山がゲレンデであったことから、懐かしい牛尾山の観音さん(法厳寺)にて「チェロの音出し」を楽しみたいと思った。幸い、ご住職さんにも聞いていただけるとのこと、「もう、これが最後かな・・・?」との集いにふさわしい幸せを感じた。(出版物が墓石なれば、コンサートは生前葬かな?) チェロといえばバッハ無伴奏組曲である。その1番 の中からサラバンドを・・・、人生の歩みをゆったりと味わう・・・ヘンデルのラルゴ・・・お寺でのアヴェマリアも、なかなかおもしろいと思う。平和を願って「鳥の歌」でしめくくる。


●3月14日当日は、ラッキーにも晴天に恵まれた。かつての山科中学校メンバーや山科関係の人々数十名、ほか知人・友人とともに、お寺さん関係の方々の参加をえて、当時の「50人学級」を越える本堂いっぱいの集いとなった。観音さんを背にした「チェロ演奏」なんて、奈良時代頃に建立されたらしい法厳寺さん始まって以来のこととか・・・。

 チェロ・コンサートのあと、あたたかいお茶と手づくりの「よもぎもち」の「御接待」にも感動!そのときの「友との交流」は、時間の経過を忘れさせた。まさに、「50年目の教育実践」のようにも感じさせられた。

 定年退職後、児童館や教育センターでの活動がセカンド・ライフであるならば、これからのサード・ライフになるのかな・・・?!

              (「ひろば」2010・5、NO162号)

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