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御意見番

保育・教育って大切な仕事


       
山本正志(日本科学者会議京都支部)


 私は岡山県下津井港の漁師の家庭の5人兄弟の3番目、当時保育園はあったが多くの家庭が子どもたちを家庭で(事実上放置の状態で)育てた。といっても当時は子どもたちだけで道路で、海岸で、山で、寺の境内で好きなことをして日が暮れるまで遊んだ。

 私の家庭は妻と子どもたち4人の6人家族。父親として子育てをしたという実感はいまもってない。(4人の保育園の送り迎えは朝夕ラッシュ時に3ヶ所の離れた保育園で、悲惨を極めたが)

 学生運動、共産党専従16年、その後京都市会議員20年の時期を通じて「社会変革こそ使命」と思い込み、科学的社会主義の哲学を聞きかじってきたが、あくまでそれは自然と人間社会の発展法則に関する理論の問題だった。

 ところが保母という妻の仕事の関係上、保育・子育てにも理論があるということをやっと知って、読み始めたのが田中昌人先生の本、これがおもしろい。「えっ、人の誕生から成長にいたる過程にも発展法則があるのか!」とそれからいろいろの書物や講演会にも接触を始めたという次第。

 「人知りそめし」(母親のことかな)「物知りそめし」(おもちゃのことかな)「我知りそめし」(自我の発生)「理(ことわり)知りそめし」の各段階で節があり、それぞれの適切な支え(保育・教育)があって人としての成長が保障される。 (不適切な介入や放置では成長が阻害される)といった大まかな田中理論のさわりの部分だけは今も頭の隅っこに残っている。「人の成長も発達理論に裏付けられているのか」と感心して「保育・教育って大切な仕事なんだなあ」と口にしたら「気づくのが20年遅い」と言われてしまった。

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