事務局  2016年度年報目次 


第2部 教育センターと各研究会の年間活動


センター事務局
京都教育センターの活動  〈2016年度 総括〉

                 本田久美子 (京都教育センター事務局長)

 

Ⅰ.活動の指針

(1)基本方向

  ・ 憲法改悪を許さず、憲法の理念を学校・教育・社会に生かす取り組みを推進する。

  ・ 新自由主義と統制的教育に抗して、子ども・教職員が人間らしく生きていける学校と教育はどうあるべきか探究する。

(2)活動の重点

 ・安倍内閣の教育再生に抗し、憲法の理念にもとづいた教育のあり方を探求し、広める。―学制再編・大学改革などー

 ・地域における学校のあり方を父母・教職員とともに考え、共同を広げ、課題を探る。―学校統廃合・小中一貫校などの問題―

 ・子どもの現状を把握し、子どもの人格形成上の課題を探求する。―道徳の教科化―

 ・学習指導要領、学力テスト体制を検証し、自主的・自律的な教育実践の創造を普及する。

 ・高校制度改定に伴う課題・問題点を明らかにし、高校教育について探求する。-主権者教育、高校再編問題-

 ・東日本大震災から5年、原発問題に関わって子どもへの放射能の影響と教育のありようを検証する


Ⅱ.活動報告

1.第47回京都教育センター研究集会 12月24.25日(土・日)

・ 12月23日からの3連休後半、しかもクリスマスイブの土日(24、25)に一日半の日程で開催した。ほとんどの学校で学期末が終了した日程だったが上記の関係と全教のとりくみと重なった関係で青年現場教職員の参加が少なかったのは残念でした。

・ 集会テーマとして「憲法公布70年、学問・教育に憲法を生かす」を掲げ、「憲法が生きる国・教育へー個人が尊重される社会に-」と題した佐貫浩講演、「もっと自由に、もっと人間らしく」をテーマとしたパネルトークを位置づけました。現場の状況も良くわかり内容豊かで、参加者からも好評でした。

・ 運営委員メンバーによる分担と集団議論で作成した「子どもと教育をめぐる情勢」の基調報告は、短い時間でしたが全体会で特徴を提起し、分科会などでの活用を呼びかけました。

・ 全体会の参加者は86人で、佐貫講演に期待した一般の参加者が多かったです。困難な日程だったが現職の参加が24人で昨年より増えました。分科会の参加者は94人で、三桁を割ったのは残念でしたが、現場教職員の参加は43人でした。日常の研究会活動の活性化と参加呼びかけの工夫が課題です。地方行政研と高校問題研が合同で開催したのは初めての試みでした。

2.公開研究会の開催

 各研究会が企画開催した研究会は以下の通り。(太字はセンター全体でとりくんだもの)

(1)「18歳選挙権と主権者教育について」(地方行政研)5/7           14人

(2)「道徳の教科化を考える」(生指研・発達研合同)5/28            30人

(3)「ジャーナリストから見た日本の教育の30年後は明るいか?」氏岡真弓さん (京都教育センター) 6/11    52人

(4)「政治教育―未来をつくる主権者をどう育てるか」(学力研)6/25

(5)「ママ友だけでない子育てのつながりー雑談から共同の子育てー」(地域研)6/25    10人

(6)「エンカウンター方式交流」(カウンセリング研) 7/23         14人

(7)「18歳選挙権と主権者教育の課題」(地方行政研・京教組共催)9/3    17人

(8)「真実のことばを子どもたちに」(国語部) 9/10            12人

(9)「子ども達とともに、こんな教育・学校つくりたいー新学習指導要領移行期前に取り組むことを考えるー」(地方行政研・京教組共催) 10/15          28人

(10)「ジャーナリストから見た18歳選挙権」(高校問題研) 10/15     8人

(11)「学びの共同体の実践と生活指導実践との関係性」(生指研)10/15

(12)「次期学習指導要領改訂の動向と教科教育のあり方を考える」(学力研) 12/3   21人

   *他に京都障害児教育研究センター活動報告を参照

3.京都自治体問題研究所との合同研究集会

 昨年に引き続き、京都自治体問題研究所との合同で「京都まちづくりシンポジウム」第2弾(11/19)を「地域で住み続けられるまちづくりー学校跡地を地域の居場所に-」をテーマに「京都小学校校舎の歴史と学区」と題して京都府立大学教授の大場修氏の講演、立誠・西陣・清水からの報告がありました。参加者50人。このパート2を2月12日にも行い、22人の参加で京都の番組小学校の歴史を学びました。また「夏休み親子で学ぶ実験教室」(8/11)を開催し、放射線について親子で学ぶ取り組みに35人参加しました。

4.教育研究集会・民教委、民研などへの参加

・ 第66次京都教育研究集会(「教育のつどい2016」)(1/28~29:教文センター他)には共同研究者・世話人として二日間でのべ49人が参加し各分科会での任務を果たしました。

・ 民主教育推進委員会には共同研究者・世話人として30人(11/12)、22人(1/14)が参加しました。

・ 8月の「全国教育のつどい(静岡)」に8人が参加しました。

・ 「民主教育研究所全国教育研究集会in埼玉」(1/7,8)に、教育センターを代表して本田久美子事務局長が参加しました。

5.教育共同のとりくみ

(1)子どもと教科書を考える連絡会

 戦争賛美の教科書の押しつけを許さないとりくみを共同してすすめました。7月9日に開催された教科書問題学習会に参加し、学習しました。

(2)教育・子育てネットワーク

 ネットワークの活動を広げるために「右京子育て・教育ネット」「子ども会・少年団を育てる左京センター」「京都市教組」「新日本婦人の会京都府本部」「京都教育センター」の団体の5人が呼びかけ人となり、これまで参加されていない個人や団体に参加を呼びかけ、5回活動の交流をおこないました。教育センターとしても、積極的に交流会に参加し、教育センターのとりくみを紹介するとともに、他団体のとりくみから学びました。

(3)教育府民会議

 毎年取り組まれている教育要請署名を、府議会へ12月5日に17207筆提出しました。

また京都「教育のつどい」実行委員会で、フォーラムのあり方について検討し、今年度は映画を上映することになりました。

(4)「学校統廃合と小中一貫教育を考える第7回全国交流集会」実行委員会

 第7回全国交流集会を京都で開催することになり、実行委員会を立ち上げ、教育センターは事務局として2月26日の集会成功のため奮闘しました。実行委員会参加団体15団体は、教育関係だけでなく自治体問題研究所、京都自治労連や学校統廃合を考える会など地域の運動団体も加わり幅広く取り組みを広げることができました。

(5)教文センター公益事業「子どもの育ちを考えるつどい」(9/25)に、定通みんなの会、登校拒否・不登校を考える京都連絡会と協力して、成功のために力を尽くしました。

6.季刊誌「ひろば・京都の教育」の発刊

・186号(5/18) ①変わりつつある大学の現状と課題 ②子どもの表現と発達

・187号(8/10) ①教師として生きる喜び、そして悩み ②格差の広がりと子どもの貧困

・188号(11/16) ①今こそ主権者教育を  ②小さくても輝く学校づくり

・189号(2/15)  ①学問・教育に憲法を生かす ②小中一貫校と学校再編は子ども・地域に何をもたらすか

※各号の特集や執筆者を検討する編集会議(西條、倉本、本田、大平、下田)を4回開きました。

 定期購読者は850人となり、退職に伴って購読を中止される方が増え、減誌分を上回る拡大を現職教職員および地域の方に広めることが課題となっています。

7.「センター通信」の発行

 復刊発行8年目に入り、教育研究や実践の自由が大幅に制約されてきているもとで、掲載さする実践報告は読者に感銘を与え、役に立つ教育実践を掲載するよう努力しました。

校種や地域、経験年数などを考慮した幅広い実践者への執筆が課題となっています。

〈2016年度執筆者一覧〉

・106号 本田久美子/瀬戸有佳子(綴喜)
・107号 高垣忠一郎/倉本頼一(センタ)
・108号 塩貝光生/若林紀良・谷隆次(宇治)
・109号 高橋明裕/大平勲(センター)
・110号 中久保弘志/近藤洋子(京都市)
・111号 大味祥恵/菱山充惠(乙訓)
・112号 生水淳稔/山口茂樹(綾部)
・113号 深澤 司/西田陽子(乙訓)
・114号 池田 豊/近江裕之(丹後)
・115号 羽入あい子/センター研概要

8.出版活動

 道徳の教科化の動きや、管理統制の強化で学校現場の息苦しさを打開するために「道徳教育実践編」「学校・教師論」の出版の計画を立てましたが、新しい学習指導要領も視野に入れながら出版に向けて検討中です。これまで出版した「子どもたちに豊かな人間性を 文科省『私たちの道徳』批判と私たちの実践」、「地域で生き生き!耀く子どもたち」、「原発・放射線をどう教えるか」(教育センター編集・京教組発行)、「風雨強けれど光り輝く」、早川幸生著「京都歴史たまてばこ」(「ひろば」連載)の普及につとめました。

9.研究活動

 「地方教育行政」「生活指導」「学力・教育課程」「発達問題」「子どもの発達と地域」「家庭教育・民主カウンセリング」「高校問題」「教科教育・国語」「障害児教育」の9つの研究会があり、それぞれ独自に研究活動を展開していますが、会員の拡大が課題となっています。第47回研究集会ではすべての研究会が中心となり分科会を開催しました。年間3回の拡大事務局会議でそれぞれの報告と交流を行いました。

10.HPの更新と資料室の整備・活用

 2004年1月に開設されたHPは、「ひろば」特集の更新、最新情報の提供など魅力あるホームページにする努力を重ねています。教育センターの研究会のお知らせだけでなく、民間教育研究団体などの研究集会も掲載できるよう努力しました。

 また資料室には、貴重な資料も多く、活用しやすいよう整備が求められています。教職員、若手研究者などが資料検索、閲覧に訪れ活用されています。

11.運営委員会

・「運営委員会」(17人構成)を、毎月2回(第2、第4土曜日)、下記の日程で21回開催されました。企画検討会議は2回開催されました。

① 4/9(12人)②4/23(12人) ③5/14(8人) ④5/28(11人) ⑤6/11(7人) ⑥6/25(8人) ⑦7/9(9人) ⑧7/23(11人) ⑨8/27(7人)⑩9/10(8人) ⑪9/24(9人) ⑫10/8(13人) ⑬10/22(7人) ⑭11/12(11人)⑮11/26(9人)⑯12/10(13 人)⑰1/28(10人)⑱2/11(人)⑲2/25 ⑳3/11 ㉑3/25

・第4土曜の午後の各研究会の公開研究会を「学習会」と位置づけ、積極的に参加しました。

 また京都教育センターの理念を学ぶために7/23:「科学的認識・集団主義・全面発達が生まれる必然性とその意義」野中一也さんの学習をしました。9/10:「アメリカへ研修」に行かれた西田陽子さんからその様子を聞き学習しました。

・各研究会事務局担当者も加わった「拡大運営委員会」は次の日程で3回開催され、各研究会のセンター研企画やとりくみ交流を中心に議論しました。

① 9/24(14人) ②11/26(13人) ③3/25(予定)

12.事務局・運営委員会体制

代表:高垣忠一郎  
顧問:野中一也   
研究委員長:高橋明裕
「ひろば」編集長:西條昭男     
事務局長:本田久美子
運営委員(上記含め): 築山 崇、 川地亜弥子、 倉本頼一、 下田正義、 原田 久、 中西 潔、 大平 勲、 深澤 司、 富山仁貴、西田陽子、得丸浩一、 佐古田博
  ※企画検討会議:高垣、高橋、本田
 
 「京都教育センター年報(29号)」の内容について、当ホームページに掲載されているものはその概要を編集したものであり、必ずしも年報の全文を正確に掲載しているものではありません。文責はセンター事務局にあります。詳しい内容につきましては、「京都教育センター年報(29号)」冊子をごらんください。

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              2017年3月発行
京都教育センター