事務局  2015年度年報目次 


京都教育センターと各研究会の年間活動(1)

京都教育センターの活動・2015年度総括


   京都教育センター 運営委員会

 

Ⅰ.活動の指針

(1)基本方向

  ・戦後70年の節目の年、「戦争する国づくり」、憲法改悪を許さず、憲法の理念を学校・教育・社会に生かす取り組みを推進する。

  ・新自由主義と統制的教育に抗して、子どもたちが人間らしく生きていける学校と教育はどうあるべきか探究する。

(2)活動の重点

  ・安倍内閣の教育再生に抗し、本来の教育のあり方を探求し、広める。
   -道徳教育教科化、学制など-

  ・地域での子育て運動とともに地域における学校のあり方を父母・教職員とともに考え、共同を広げ、課題を探る。
   -学校統廃合・小中一貫校などの問題-

  ・少年事件、いじめ・体罰、発達障害など子どもの発達に関わって子どもの人格形成上の課題を探求する。

  ・教科書の問題点、学力テスト体制を検証し、自主的な実践をつくる。
   -学校のあり方、教師のあり方を問う-

  ・高校制度改定に伴う課題・問題点を明らかにし、高校教育について探求する。

  ・東日本大震災、原発問題に関わって子どもの育ちと教育のありようを検証する。

  ・京都市の教育の実態を明らかにする。


Ⅱ.活動報告

1.第46回京都教育センター研究集会

 ・集会テーマの「戦後70年、戦争と平和を考える~戦争をくぐった生き証人から学ぶ~」は、戦争法案をめぐる国会内外のたたかいと戦後70年という歴史的な節目を反映して2015年の研究集会にふさわしく、記念講演や戦争をくぐった生き証人から学ぶ企画もテーマを具体化した相互に響き合う深い内容となりました。

 ・佐藤広美さんによる記念講演「戦争責任をどうとらえるか~学校・教師の戦争責任を問う~」は、教育の戦争責任の問題に真正面から向き合う意義深い講演でした。佐藤さんには、講演資料や講演レジュメもていねいに準備していただき、戦前の教科書の記述にあらわれた教育の戦争責任の問題等を具体的に学ぶことができました。

 ・「戦争をくぐり、教師として戦後を生きた証人の語り」では、安井さんも黒田さんも戦前の教育や学徒動員、空襲体験を経て戦後に教師として歩んでこられたという点で戦争体験と教育・教師を考える上で最適なお二人でした。お二人には、「証言」のレジュメや資料も用意していただき、集会テーマに直結する貴重な学びの場となりました。

 ・研究集会への参加人数は例年を下回り、特に現職教員の参加が厳しかったのが課題となりました。原因としては、ア. 現職の教職員にとって冬休みに入る直前の、参加が困難な日程であった イ. 京都市長選挙の関係で京都教研集会が11月28日・29日になり、その3週間後にセンター研究集会が行われたという日程上の接近があり、参加を困難にした ウ. 教育センターの研究集会にかかわって来られた方の高齢化、若い教職員や学生・院生への参加のはたらきかけの不十分さがあったなどがあげられますが、特に分科会については各研究会の日頃の研究活動の状況が参加人数にも反映していました。

 ・研究集会の案内チラシ、「ニュース」、要項、「速報」などをビジュアル的にも工夫して作成しました。また、フェィスブックに「京都教育センター」のページを開設して全体会や分科会の紹介や参加の呼びかけをしました。

 ・一昨年来、運営委員のメンバーによる分担と集団論議で「子どもと教育をめぐる情勢」の基調報告を作成し、全体会で報告をしてきました。また、この基調報告の活用を分科会等でも行うように呼びかけました。

2.公開研究会の開催

 各研究会が企画開催した公開研究会は以下の通りです。

(1)「安倍政権の教育政策と学校と教育はどうなるか:中田康彦氏」(地方行政研) 6/7 13人

(2)「『困った子ども』に寄り添う教育と学力形成を考える」(学力・教育課程研) 6/21 15人

(3)「ヒトは群の中で人となる:山本健慈氏」(教育センター学習会)  6/27 46人

(4)民主カウンセリング・ワークショップ「学校・職場・地域・家庭でよりよい人間関係をどう築いていくのか」(民主カウンセリング研)  7/25

(5)「今、学校は…~本当に、子どもが育ち合える場所になっている?パート1~」 (子どもの発達と地域研)  7/4 11人

(6)「どうする!18歳選挙権:毛利崇弁護士」(高問研) 9/19

(7)「全教『教育のつどい(国語教育分科会)』の報告/作文教育・小学校中学年/高校・論説文」(国語部会) 9/5 8人

(8)「『岩手中2いじめ・自殺を考える』倉本頼一さん/『えがおきらきら2年生』海田勇輝さん」(生活指導研)  10/18

(9)「地域に生きる人々の力がどのように発揮されているか、教育の役割を考える」(学力・教育課程研) 10/18 11人
   *他に京都障害児教育研究センター活動報告を参照

3.京都自治体問題研究所との合同研究集会/11月6日(金)18:30~20:30、教文ホール
 「歴史と京都のまちをまもろう~まちづくりと学校統廃合・跡地利用~」シンポジウム


 ・平日の夜にもかかわらず教文センターのホールがほぼ満席となる240人が参加。2種類の大量のビラ作成と配布、連日の宣伝カー運行など特別の構えによる宣伝や内容の準備等で、これまでの集会とは異なる顔ぶれの参加もみられました。基調報告および3人のパネラーの話もよく練られ、多角的に問題の状況が明らかにすることができました。フロアーからの発言もテーマにかみ合い、より問題状況を掘り下げるものとして充実。また、学校跡地利用問題など、京都市の新たなまち壊しを知らせ、京都市のまちづくりにかかわる市民的な運動が結集する契機にもなりました。

4.教育研究集会・民主教育推進委員会への参加

 ・第65回京都教育研究集会(「教育のつどい2015」:11/28~29、教文センター他)には、共同研究者として二日で延べ46人が参加し、各分科会での任務を果たしました。しかし、「技術・家庭」「図工・美術」の分科会には未配置となりました。

 ・民主教育推進委員会には共同研究者・世話人として18人(5/30)、 21人(7/4)、30人(11/14)、20人(2/13)が参加しました。

5.戦争立法反対の取り組み

 ・「子ども・青年を戦場に送らない!5.31戦争立法を許すな!つどい&パレード」のアピールへの賛同を募り、センター通信第99号に一言とともに賛同者氏名を掲載しました。「子ども・青年を戦場に送らない!5.31戦争立法を許すな!つどい&パレード」には、850人が参加しました。

6.京都市長選挙への本田事務局長の立候補推薦

 ・2月7日投票の京都市長選挙に教育センターの本田久美子事務局長が立候補を決意し、教育委センター運営委員会として9月12日に推薦を決定しました。本田久美子さんは選挙戦を通じてかつてない共同の取り組みを築き健闘しましたが、勝利することはできませんでした。

7.教育共同の取り組み

(1)子どもと教科書を考える連絡会

 2016年春から中学校で使用される教科書の採択で過去の日本の戦争の正当化、国民の権利より義務を強調するような記述の多い社会科教科書(育鵬社版・自由社版)を採択させないとりくみを地域のさまざまな団体・個人のみなさんと共同してすすめました。5月17日に石山久男さんの講演「安倍教育再生と今夏の中学校教科書採択」で学習し、各市町村での教科書採択にむけてのとりくみを呼びかけました。府教委、京都市教委へ各2回の要請を行い、今年度府内のいくつかの会場で夕方の時間が延長されました。京都市内での6回の街頭宣伝、京都市教委の各委員への要請はがき送付も行い、新日本婦人の会は府内のほとんどの支部が意見書を各地教委に提出し、自由法曹団は各市町教委の全委員宛の要望書送付に取り組みました。

 これらのとりくみの結果、京都市教委および府内5つの地区採択協議会はいずれも、育鵬社版・自由社版の歴史・公民教科書を今回も採択しませんでした。

(2)教育・子育てネットワーク

 京都市教組が主管するこの取り組みに可能な限り参加し、教育センターの取り組みを紹介するとともに、他団体からの取り組みから学びました。

(3)教育府民会議

 6月27日に、教育府民会議と公立高校30人学級の会の共催で教育要求交流集会を開催し、教職員・保護者・構成団体の代表など約30人が参加、与謝教組「伊根町の教育無償化実現のとりくみ」の報告の学習を行ないました。また、「教育全国署名」に取り組み、府議会への請願行動などを行いました。

(4)「学校統廃合・小中一貫教育」連絡会

 2012年12月に京都で開かれた「学校統廃合と小中一貫教育を考える全国交流集会」実行委員会に参加した団体・個人が、ひきつづき連絡会組織としておおむね月1回の会議を開き、学習や情報交換を続けてきました。

8.季刊誌『ひろば・京都の教育』の発刊

 ・182号(5/1) ①戦争する人づくりと教科書問題 ②地域で子どもを守り・育てる

 ・183号(8/1) ①戦後70年、戦争と平和を考える ②子どもは人間らしく育っているのか

 ・184号(11/1)①これでいいのか、京都市のまちづくりと教育 ②主権者として育つ-18歳選挙権-

 ・185号(2/1) ①第46回京都教育センター研究集会に学ぶ ②あるがままのあなたでいいよ

*各号の特集や執筆者を検討する編集会議(西條、倉本、大平、本田、下田、深澤)を4回開きました。定期購読者は退職に伴って購読を中止される方が増えています。減誌分を上回る購読者の拡大を現職教職員および地域の方に広めることが大きな課題となっています。

9.「センター通信」の発行

 復刊発行9年目に入り、教育研究や実践の自由が大幅に制約されてきているもとで、掲載された実践報告は読者に感銘を与え、楽しみにしている読者が増えています。校種や地域、経験年数などを考慮した幅広い実践者の執筆が課題となっています。

<2015年度執筆者一覧>

 95号長尾 修/京教組青年部①
 96号高垣忠一郎/京教組青年部②
 97号今滝憲雄/東 辰也(宇久)
 98号安嵜 正/石山久男
 99号河口隆洋/「戦争立法」を許すな!アピール文および賛同者の一言
100号富山仁貴/伊藤正信①(京都市)
101号市川章人/伊藤正信②(京都市)
102号原田 久/海田勇輝①(綴喜)
103号中野宏之/海田勇輝②(綴喜)
104号第46回教育センター研究集会特集号
105号大平 勲/瀬戸有佳子(綴喜)ール文および賛同者の一言

10.出版活動

 今年度は教育センターとしての新たな刊行物はありませんでした。これまで出版してきた教育センターの刊行物の普及に引き続き努力します。

11. 各研究会の研究活動

 「地方教育行政」「生活指導」「学力・教育課程」「発達問題」「子どもの発達と地域」「家庭教育・民主カウンセリング」「高校問題」「教科教育・国語」「障害児教育」の9つの研究会があり、それぞれ独自に研究活動を展開していますが、会員の拡大が課題となっています。第46回研究集会ではすべての研究会が分科会を開催することができました。また、年間3回の拡大事務局会議でそれぞれの研究活動の報告と交流を行いました。

12. HPの更新とフェイスブックページの開設、資料室の整備・活用

 2004年1月に開設された京都教育センターのHPは、『季刊ひろば』の特集の更新、最新情報の提供など魅力あるホームページにする努力を重ねています。教育センターの研究会のお知らせだけでなく、民間教育研究団体などの研究集会も掲載できるよう努力しました。秋からはフェイスブックに「京都教育センター」のページを開設し、HPとも連携しながら研究集会や各研究会の公開研究会などの発信をしています。

 また、関係者の尽力により資料室の整備がすすみ、退職教職員、若手研究者グルーブや卒論・ゼミなどの資料検索・閲覧に研究者や学生が訪れています。

13. 運営委員会議

 ・「運営委員会議」(17人構成)を毎月2回(原則第2、第4土曜日)、下記の日程で22回開催されました。企画検討会議は ? 回開催されました。

 ①4/11(7人) ②4/25(14人) ③5/9(12人) ④5/23(9人) ⑤6/13(9人)
⑥6/27(10人) ⑦7/11(10人) ⑧7/25(8人) ⑨8/22(8人)  ⑩9/12(10人) ⑪9/26(9人) ⑫10/10(13人) ⑬10/24(9人) ⑭11/14(9人) ⑮11/28(10人) ⑯12/12(11人)⑰1/9(8人)⑱1/23(12人)⑲2/13(10人)⑳2/27 ○21:3/12○22:3/26

 ・第4土曜の運営委員会議の後半を「学習会」と位置づけましたが、特に研究集会の基調報告の検討を学習会と兼ねて4回(10月~12月)、それ以外には、2/27「教科書問題と国民の教育権論」高橋明裕を実施しました。

 ・各研究会事務局担当者も加わった「拡大事務局会議」は次の日程で3回開催され、各研究会のセンター研企画や取り組み交流を中心に議論しました。

  ① 9/26(13人) ② 11/28(13人) ③ 3/26(予定)

13. 事務局・運営委員会体制

  代表:高垣忠一郎  顧問:野中一也  研究委員長:高橋明裕

  『季刊ひろば』編集委員長:西條昭男  事務局長:本田久美子

  運営委員(上記含め):築山 崇、川地亜弥子、倉本頼一、下田正義、原田 久、中西 潔、大平 勲、富山仁貴、深澤 司、松岡 寛、得丸浩一、西田陽子

※企画検討会議:高垣、高橋、本田

 
 「京都教育センター年報(28号)」の内容について、当ホームページに掲載されているものはその概要を編集したものであり、必ずしも年報の全文を正確に掲載しているものではありません。文責はセンター事務局にあります。詳しい内容につきましては、「京都教育センター年報(28号)」冊子をごらんください。

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              2016年3月発行
京都教育センター