事務局  2013年度年報もくじ


京都教育センターの活動
〈2013年度 総括〉

                本田久美子 (京都教育センター事務局長)
 

T.活動の指針

(1)基本方向

 ・新自由主義と復古的教育観による統制的教育に抗して「子ども論」を軸に、すべての子ども達の豊かな発達を保障する教育活動や教育実践を現場教職員との連携を強め、普及に努める。
 ・医療・福祉分野との連携を探り、地域における学校のあり方を父母とともに探求する。

(2)活動の重点

 ・安倍の教育再生、橋下維新の会の動向に注視し、本来の教育のあり方を探求し、広める。
   ―教育委員会制度、道徳教育教科論などー
 ・いじめ・体罰、発達障害など子どもの発達に関わって子どもの人格形成上の課題を探求する。
 ・現行学習指導要領、教科書の問題点、学力テスト体制を検証し、自主的な実践をつくる。
 ・地域での子育て運動とともに今日の学校のあり方を父母・教職員とともに考え、共同を広げ、課題を探る。
   ―高校教育、学校統廃合、部活動、土曜授業などー
 ・福島の実状を直視し、原発問題と子どもの育ちと教育のありようを検証する
・来春の知事選に向けた府政のあり方を検証する。


U.活動報告

1.第44回京都教育センター研究集会

・ 夏季研から年末の冬季研に変更して11年目になる、今年も年末の最終土日(21〜22)に一日半の日程で開催した。(プレ集会は5年前から行っていない)
・ 集会テーマとして「子どもが育つ地域・学校への探究」を掲げ、構造改革の地域・学校への影響について岡田講演、「地域と学校で育つ子どもたち」をテーマとしたパネルトークを位置づけた。内容については運営委員会でしっかり議論して作り上げた。
・ 昨年に続き運営委員メンバーによる分担と集団議論で「子どもと教育をめぐる情勢」の基調提起を出した。
・ 参加は、近年の参加者より少なく、市町村合併・学校統廃合など問題になっているにもかかわらず、関心はうすかったのか。ただ京都市内下京区で学校統廃合されるPTAの方が来られたのは貴重。地方行政研分科会でも、学校統廃合問題、小さくてもすばらしい学校について議論された。
・ 集会準備や当日運営体制については時間通りの進行含めて、ほぼ順調に推移した。
・ 分科会は、参加は114人(昨年135人、一昨年131人)で、「障害児教育」分科会で30人と現場教職員がたくさん参加したが、他の分科会は例年並みだった。発達研と教科研国語部が昨年未開催だったが、今年度は開催することができ、来年度の活動につなげられる。
・ 一日目の夜に恒例の「交流懇親会」を教文センター1Fで開催し、19人の参加で岡田氏や教師を目指す学生なども含めて交流を深めた。

2.公開研究会の開催

 各研究会が企画開催した研究会は以下の通り。(太字はセンター全体でとりくんだもの)
(1)「教育委員会は不要なのか?:土屋基規さん」(地方教育行政研) 5/18
(2)「暴力・いじめ・体罰は言葉の貧困から:倉本頼一さん」(生活指導研) 5/26
(3)「発達障害の生徒達とどう向き合い、どう関わっていくか」(高問研) 6/2
(4)「困難を越え確かな学力を:久保齋さん・青年教職員」(学力研) 6/2
(5)「安倍政権の教育改革のゆくえ:石井拓児さん」(教育センター・教科書連絡会共催)
 6/16 〈35人〉
(6)「ほっこりスペース訪問」(地域研) 7/6
(7)「私は悪い子やでーA子との1学期:都築一郎さん」(生活指導研) 7/13
(8)「授業中の携帯・スマホについて」(高問研) 7/27
(9)「エンカウンター方式交流」(カウンセリング研) 7/28
(10)「文化祭三部門のとりくみと担任の指導性について:横内廣夫さん」(生活指導研)
9/21
(11)「授業づくり・クラスづくり」(高問研)10/19
(12)「発達障害と子どもたちー集団としてどう関わるか:別府哲さん」
(教育センター・障教センター・京教組障教部)10/26 〈54人〉
(13)「子どもと教師が生き生きと輝く生活指導実践の探求」(生活指導研) 11/24
(14)「学力形成の新たな課題にも目を」(学力研)  11/24
(15)「高校教育の展望を探る:佐古田博さん」(地教行研) 11/24
   *他に京都障害児教育研究センター活動報告を参照

3.教育研究集会・民教委、民研などへの参加

・ 第63次京都教育研究集会(「教育のつどい2013」)(1/25〜26:教文センター他)には共同研究者として二日間でのべ55人が参加し各分科会での任務を果たしました。しかし、「技術・家庭」「幼年教育」などの分科会には未配置となりました。
・ 民主教育推進委員会には共同研究者・世話人として21人(8/31)、28人(11/10)、20人(1/18)が参加しました。
・ 8月の「全国教育のつどい(愛知)」に11人が参加しました。
・ 「教育研究所全国交流集会in滋賀」(11/30,12/1)が、大津市で開催され、事務局長の本田久美子が代表で参加し、全国の13の研究所と交流しました。
・ 民研関西ブロック会議が3回開催され、民研全国研究集会関西開催にむけて議論しました。

4.教育共同のとりくみ

(1)子どもと教科書を考える連絡会
 教科書問題のさまざまな動きに対して幅広くとりくんだ活動を教科書ネットや京教組を中心に継続しました。6/16:「安倍政権の教育改革のゆくえ」(石井拓児氏)、12/14:「教科書問題と歴史学」(泰地翔大)を共同してとりくみ学習を深めました。
(2)教育・子育てネットワーク
 京都市教組が主管するこのとりくみに可能な限り参加し、教育センターのとりくみを紹介するとともに、他団体のとりくみから学びました。
(3)教育府民会議
 部活やスポーツ界での体罰が社会問題化するなかで、3/16「体罰を考えるシンポジウム」を父母・府民・教職員などの参加で行いました。また「教育全国署名」にとりくみ、府議会への請願行動などにとりくみました。
(4)「学校統廃合・小中一貫教育」連絡会
 昨年の全国交流集会後も、実行委員会は継続し、ほぼ月1回、情報交換や学習などすすめてきました。12月9日には、「第4回全国交流集会」が大阪で開催され、京都の小中一貫校の実情や東山南部の小中一貫校に反対するとりくみを報告し全国的な教訓を交流しました。今後向島地域の小中一貫校等の動きに対して問題点を明らかにしながら父母・地域の方との共同が重要になってきます。

5.季刊誌「ひろば・京都の教育」の発刊

・174号(5/15) @体罰について考える A子どもの居場所としての学校のあり方
・175号 (8/7) @学力テスト体制について考える A学校統廃合と地域
・176号(11/13) @安倍教育改革と教科書  A乳幼児の育ち
・177号(2/19)  @人にやさしい京都府政に  A子どもが育つ文化・表現活動

※各号の特集や執筆者を検討する編集会議(西條、倉本、本田、大平、下田)を4回開きました。
 定期購読者は約1000人を切り、退職に伴って購読を中止される方が増え、減誌分を上回る拡大を現職教職員を中心に広めることが課題となっています。

6.「センター通信」の発行

 復刊発行7年目に入り、教育研究や実践の自由が大幅に制約されてきているもとで、掲載された実践報告は読者に感銘を与え、楽しみにしている組合員などが増えてきています。
校種や地域、経験年数などを考慮した幅広い実践者への執筆が課題となっています。

〈2013年度執筆者一覧〉
│73号 │室崎生子/富田宣之(舞鶴)
│74号 │野中一也/金井多恵子(市・栄)
│75号 │高橋明裕/新庄久美子(福知山)
│76号 │得丸浩一/上田正文(京都市小)
│77号 │倉原悠一/上田正文(京都市小)
│78号 │中須賀ツギ子/下田正義(乙訓)
│79号 │内野 憲/大西新吾(亀岡)
│80号 │中西 潔/渋谷清孝(船北)
│81号 │河口髣m/別府哲講演@
│82号 │大平 勲/別府哲講演A
│83号 │小笠原伸治/別府哲講演B

7.出版活動

 今年度出版活動はできませんでした。これまで出版した「原発・放射線をどう教えるか」(教育センター編集・京教組発行)を普及することと、このテキストなどを用いての実践の広がりが今後の課題となっています。また、50周年記念誌としてセンターが刊行した「風雨強けれど光り輝く」と、一昨秋刊行した早川幸生著「京都歴史たまてばこ」(「ひろば」連載)の普及に努めます。

8.研究活動

 一昨年からの「障害児教育センター」を加えた9つの研究会があり、それぞれ独自に研究活動を展開していますが昨年度休会状況にあった「発達問題研究会」と「教科教育研:国語部会」が、研究会再開をめざしてとりくみ、第44回研究集会ではすべての研究会が分科会を開催することができました。年間3回の拡大事務局会議でそれぞれの報告と交流を行いました。

9.HPの更新と資料室の整備・活用

 2004年1月に開設されたHPは、「ひろば」特集の更新など進めていますが、さらに最新情報を提供して魅力あるホームページにする努力が必要です。
 また、関係者の尽力により資料室の整備がすすみ、若手研究者グループや卒論・ゼミなどの資料検索、閲覧に他府県からも研究者・学生が訪れています。

10.運営委員会議

・「運営委員会」(18人構成)を、毎月2回(第2、第4土曜日)、下記の日程で21回開催さ
れました。企画検討会議は3回開催されました。

@4/13(10人)A4/27(13人) B5/11(11人)  C5/25(10人)D6/8(11人) E6/22(10人) F7/13(14人) G8/10(9人)H8/24(7人) I9/14(10人) J9/28(10人)  K10/12(11人)L10/26(10人) M11/9(12人) N11/24(10人)O12/14(9人)P1/25(10人)Q2/8(9人)R2/22S3/8  ○213/29

・第4土曜を「学習会」と位置づけましたが今年度は6回実施しました。
4/27:「学力問題」川地亜弥子 
5/11:「全国一斉学力テスト国語問題分析」西條昭男
5/25:「教科書問題」高橋明裕
6/22「全国一斉学力テスト算数問題分析」下田正義
8/24:「夏の民間研交流」野中一也他 
2/22:「京教組大会議案について」河口髣m

・各研究会事務局担当も加わった「拡大事務局会議」は次の日程で3回開催され、各研究会のセンター研企画やとりくみ交流を中心に議論しました。
@9/28(14人) A11/24(15人) B3/29(予定)

11.事務局・運営委員会体制

代表:野中一也    研究委員長:高橋明裕
「ひろば」編集長:西條昭男     事務局長:本田久美子
運営委員(上記含め): 高垣忠一郎  築山 崇 川地亜弥子 倉本頼一  下田正義 原田 久  中須賀ツギ子 倉原悠一 浅井定雄  中西 潔 大平 勲  相模光弘  得丸浩一  佐古田博
※企画検討会議:野中、高橋、本田

 
 「京都教育センター年報(26号)」の内容について、当ホームページに掲載されているものはその概要を編集したものであり、必ずしも年報の全文を正確に掲載しているものではありません。文責はセンター事務局にあります。詳しい内容につきましては、「京都教育センター年報(26号)」冊子をごらんください。

事務局  2013年度年報もくじ


              2014年3月発行
京都教育センター