事務局  2013年度年報もくじ


京都教育センター 年報26号(2013年度)

 -- あいさつ --

安倍暴走内閣に抗する「地域に根ざす教育」の創造を!

                京都教育センター代表 野中 一也
 
 民意と乖離したウルトラ・ナショナリズムの安倍内閣は、「戦争する国」づくりとその体制づくりで暴走し、その体制に奉仕する教育施策を強行しています。

 競争と管理と評価を柱として、「愛国心」を基底にしたグローバル人材の育成をめざしています。教育行政で教育委員会を首長の従属下に置き、教育行政の政治的中立性を放棄します。教育内容では、教科書検定制度を改悪して安倍カラーを反映できるようにし、道徳教育では、道徳を「教科」にして評価しようというのです。戦前の軍国主義教育体制を容易に連想させます。

 1945年、日本はファシズム侵略戦争で敗北しました。その痛苦な反省によって、日本国憲法が誕生しました。私たち国民は、「繰り返しません、戦争を!」と決意しました。安倍暴走内閣は、この決意を意図的に無視しようとしています。

 いま私たちは、侵略戦争・植民地支配をした戦争責任をしっかり受け止め、安倍内閣の「戦争する国」づくりに真っ向から抵抗していかなければならないと思います。

 2011年3月11日に未曾有の東日本大震災を経験しました.福島の原発事故は、「想定外」ではなく、人災と言ってよい事故です。日本国憲法の民主主義を擁護する人たちから警告が発せられてきました。その一人である福島在住の伊東達也福島県議は、2013年3月に「家なし、希望なし、展望なし」と訴えています。(『日本の科学者』)。ヒロシマ・ナガサキ・フクシマから「いのちの尊厳」を無限に学び取っていかなければならないと思います。

 京都教育センターは、対米従属的な支配層の施策に対抗する「生存権」保障を基底とする対抗軸を模索してきました。本年度は特に「地域」を意識して取り組みました。

 昨年12月の「第44回 京都教育センター研究集会」は、「子どもが育つ地域・学校への探究」という集会テーマにしました。そして岡田知弘京大教授から「構造改革は地域・学校に何をもたらしたか」と題して講演をしてもらいました。「地域に根ざす教育」が支配層の狙う教育に根本的に対抗する軸になると確信しました。

 地域は、人間の生活領域であり、重層構造的になって、自然、経済、政治、教育、文化などが一体となって存在している。そして、地域の再生、持続的発展を支える場としてとらえることによって未来への展望が開かれると語られました。

 喫緊のことを記憶できないアルツハイマー型認知症の妻は、生まれ育った地域を覚えているのです。地域のお地蔵さん、学校、桜の木などを覚えていて「生き生き」と話をします。地域が「いのち」の源泉であると妻から教えられています。

 安倍暴走内閣は、法則的に「破綻」する必然性をもっていることを喝破していきましょう。現代的課題に応える「地域に根ざした教育」の一環として、地域と「いのちの尊厳」を核とした教育課程を構造した国民主権の未来を展望して国民の願いに応える努力をしていきましょう。

 


府政転換で、憲法と学校、子どもが輝く時代に!

            京都教職員組合執行委員長 河口 隆洋
 

 国会の議席数に頼んで、昨年の臨時国会で「現代版大本営」とも言える国家安全保障会議(日本版NSC)設置法や秘密保護法を強行する安倍自公政権に怒りを禁じ得ません。昨年末には首相自らが靖国神社に参拝し、今年4月からの消費税率の引き上げ、圧力と金力を駆使しての沖縄辺野古への米軍新基地のおしつけを強行しようとしています。その暴走ぶりは目に余るものがあります。「戦争の危機」が世間でも叫ばれ始め、あらためて「教え子を再び戦場に送るな」の不滅の誓いの重みを感じる秋(とき)となっています。

 さらに安倍政権は、通常国会で集団的自衛権の行使を現実のものとする「国家安全保障基本法案」を成立させることをねらっています。また安倍政権がねらう「教育再生」と正面からぶつかる国会ともなります。こうした安倍「教育再生」の方向は、憲法改悪と一体に改悪教育基本法の具体化をめざすとともに、首長直轄の教育委員会制度への改悪を通して競争と管理の教育政策をいっそう強化し、新自由主義的な「構造改革」を推進し、教育の「自己責任」を強めるものです。戦争する国づくり、人づくりを進め、大企業が求める「人材育成」に奉仕する教育や学校づくりが企まれています。これは、すべての子どもの成長・発達を願う圧倒的な父母、国民の願いに反するものであり、広範な国民各層と矛盾を必ず深めることになります。

 安倍政権の基盤は決して盤石でなく、国内外で、その暴走に対する痛烈な批判にさらされています。安倍政権の支持率は急落しています。こうした安倍「教育再生」や暴走政治としっかりと対決し、広範な父母・国民と共同して「憲法を守り、いかす」運動を職場・地域から前進させ、飛躍させることが求められています。

 向こう2年半、国政選挙は予定されていませんが、京都では4月に府知事選挙が行われます。安倍政権の暴走を全国知事会長として地方から支える現職知事を打ち倒すことは、安倍政権の暴走に必ずストップをかけることにつながります。「世直し府民ネット」の尾崎望さんは、小児科医として子どもを通して親・家庭・社会・政治の貧困を見てきました。尾崎さんは、「憲法を暮らしにいかそう」の垂れ幕を再び京都府庁にかかげることを約束されています。名護市長選挙での基地建設反対の市長の大勝、東京都知事選挙に続く京都府政の転換は、平和憲法がいっそう輝きを増す時代の幕開けを準備します。

 父母・地域のみなさんとともに、教育を再び政治支配の道具にさせない共同の運動を広げていくことは、京都の民主教育を支える力となります。子どもたちの存在そのものが希望であることに共感し、憲法が光り輝き、ロマンをもって未来を展望できる学校と教育めざして、学びあい、共同していくとりくみが求められています。そのようなとりくみへの京都教育センターの理論的・政策的な引き続くご支援をよろしくお願いします。

 
 「京都教育センター年報(26号)」の内容について、当ホームページに掲載されているものはその概要を編集したものであり、必ずしも年報の全文を正確に掲載しているものではありません。文責はセンター事務局にあります。詳しい内容につきましては、「京都教育センター年報(26号)」冊子をごらんください。

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              2014年3月発行
京都教育センター