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第2部 教育センターと各研究会の活動 地方教育行政研究会・2009年度活動のまとめ 葉狩 宅也(地方教育行政研究会事務局) |
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1.地方教育行政研究会・京教組合同学習会としての運動 2000年度から始まった京都教職員組合との「合同学習会」は今年で11年目を迎える。「合同学習会」を含む研究会活動では、広く、深く子どもたちと教育にダメージを与えている新自由主義と国家主義を批判し、その対抗軸を明らかにすること、そして子どもの学習権を具体的に保障する教育条件整備に向けた理論と運動を励ますことを課題としてきた。「改悪」教育基本法、その後に続く教育3法成立後の「教育改革」の動向を共同して学び合うことは、自公政権下の教育行政ではもちろんのこと、「新」政権になった今日も重要な取り組みとなる。 新自由主義的「教育改革」は「新学習指導要領と『学力テスト』体制のおしつけ」〜子どもや学校同士の競い合い(序列と学校の格差化)、「学校評価」「教職員評価」などの成績主義評価システム、それらから派生しておろされてくるたてつづけの「改革」として私たちの前に現れている。 それらを、研究課題として深めていくことと、運動の課題として分析していくことは、私たちがめざす学校・教育を構築していく際、相互に関連し合うことだと言える。 今日の「教育改革」政策を分析するとき、4つのポイントを押さえる必要がある。 @ 政策の立案・実施過程は妥当だったのか(「意見交換・対話が行われたのか」「学校現場でどのような議論をしたのか」)。 A 教育活動に具体的にどうつながるのか(「どんな内容として現場に現れるのか」「子ども・保護者はどう受けとめているのか」)。 B 教育制度・改革全体の中で、どんな位置づけになるのか、どんな効果を持つのか。 C 条件整備としての水準はどうなるのか(「限られた教育予算の配分原理を問う」「自治体予算・財政そのものを分析する」)。 これらを情報として伝えるだけでなく、かみくだいて語り、意味を伝えることでその本質を明らかにし、運動へとつなげて行くことが大切になる。 2.2009年度の合同学習会の経過 第1回 「足下から教育をどのようにすすめるか?−市町村・府・国のあり方を考える−」 2009年1月25日 教育文化センター302A 司会:葉狩 ●基調報告「地方分権と教育―市町村、府、国の役割」・・・市川哲 ●特別報告「大阪・橋下府政下の教育と学校」・・・加藤秀雄(大阪教職員組合副委員長) ○報告@「京都府南部地域における行政の特徴−教育行政も視野に入れてー」 ・・・浜田良之 ○報告A「京都府の教育行財政の検討」・・・府職労教育支部 □参加・・・20名 ※センター研究集会での地方教育行政研の分科会 第2回 学校統廃合問題学習交流会 2009年2月21日 与謝野町知遊館 司会:東 ●問題提起「学校統廃合と子ども・地域の未来」・・・市川哲 ○報告 @宮津・与謝(太田垣・竹内)、 A福知山(桐村)、 B京丹後市(橋本) C伊根町(「会」)、 D京丹波町(菅生・山田)、 E綾部市(仁張)、 F与謝野町(太田垣)、 G舞鶴市(小杉) □参加・・・35名 第3回 教育改革と教職員人事管理 2009年6月6日 市職員会館「かもがわ」 司会 午前:葉狩/午後:小澤 ●特別報告 「教育は教師の自己変革の運動」…藤原利昭氏(京丹後市) ●講演 「教育改革の現局面と教職員人事管理」…中田康彦氏(一橋大学) ○報告 京都における「教育改革」の現状ととりくみ @宇治市の小中一貫教育…田中(宇治久世) A八幡市の教育改革…葉狩(綴喜) B京都市の教育改革…新谷(市教組) C新たな評価制度と賃金…新谷(京教組) □参加…29人(教組関係:19人) 第4回 学級編制・定数配置を考える 2009年6月20日(土)教育文化センター203 司会:東 ●講演 「本当の30人学級実現を阻む壁」 〜教職員配置のしくみをしれば光が見えてくる〜 …山崎洋介氏(ゆとりある教育を求め全国の教育条件を調べる会) ○報告 「京都における現状と課題」…東(京教組) □参加…24名 ◆特別 「教育改革をめぐる動向と課題」(事務局を中心とした研究会として開催) 2009年8月7日(金) 教育会館4階会議室 ○報告 @研修…河口(京教組) A免許更新制…我妻(府高) B教育行政…市川(センター) C新自由主義的教育改革…葉狩(綴喜) D評価制度と賃金…新谷(京教組) □参加 8人 第5回 「政権交代」で学校・教育はどうなるか? 2009年9月26日(土) 教育文化センター地階 司会:葉狩 ●講演 「これからの学校・教育」〜総選挙結果をふまえて〜 …石井拓児氏(名古屋大学) ○報告 「京都府の教育を検証する」…東辰也氏(京教組) □参加 44名 第6回 「子どもの貧困問題」をどうとらえるか? 2009年12月20日(日) 教育文化センター205号室 司会:我妻 ●講演 「貧困と教育費問題」…藤澤宏樹氏(大阪経済大学) ○報告 @京都の小中学校の現状と課題…奥村久美子(京教組事務職員部書記長) A高校授業料「無償化の課題」…森田直樹(府高事務職員部担当執行委員) B府議会報告・・・上原ゆみ子(府会議員) □参加 30名(教組関係17名) (累計190名) 今年度も活動の中心は合同学習会に置かれた。参加者は20名から44名であり、平均で30名を越える。今年も“出前学習会”の要請を組織することや府職労との三者学習会、さらには府議会議員と結んだ情報収集の活発化などを図り、より学習会を実りあるものにしていくことに力を注いだ。 また、京都府内の教育行政の動きと、私たちの運動の到達と課題を交流することを常に意識して、学習の柱にし続けてきた。 今後、合同学習会の内容や調査活動、「教育改革」や教育運動に関する資料、論考も公開していきたい。 3.2010年度研究活動の方針 鳩山新政権のもと、昨年末に「2010年度政府予算案」の閣議決定がなされた。様々な意味で大きな注目を集めたこの予算案は、総額92兆2992億円、公債費などを除く一般歳出でも53兆円となり、当初予算案としてはいずれも史上最高規模となっている。 このもとで、文部科学省予算は、5兆5926億円と前年比5.9%増、伸び率はここ30年間で最大規模になったとされている。 まずは、引き続き通常国会での論戦に注目しつつ、今後展開されようとする教育行政の検討・分析と私たちのめざす実践や運動の創造を今年も豊かに展開して行きたいと思う。 今年度も研究会活動の中心に京都教職員組合との「合同学習会」を位置づける。これは組合員だけではなく、誰でも参加できる開かれた学習会であり、そのため広くビラ・インターネット等を通じて学習会の内容や研究成果を知らせていきたい。 研究課題としては、 @貧困と格差のもとで子どもの学習権を守る課題、 A教員と学校に押しつけられる新自由主義「教育改革」を批判し、押し戻す課題、 B地域における構造改革のあらわれである学校統廃合を批判し、子どもの学習権を守る課題、 C子どもの学習権と親・住民の生活を守る砦となるべき京都府政を分析し、府民の要求を明らかにする課題、 などが考えられる。 具体的には、 @「新」政権の下での教育扶助制度・教育援助制度、授業料減免制度、私学援助制度、奨学金制度など、直接子どもの学習権を財政的に保障する制度の実態と問題点を明らかにし、今後のあるべき制度的展望を示す。 A免許更新制度や教職員の研修問題、教職員評価制度と賃金問題、新学習指導要領と「学テ」教育体制、小中一貫校などのあらわれを分析し、府民レベルに向けて問題提起していく。 B学級定数問題〜教職員配置の問題、府下の学校統廃合と運動を分析し、学校統廃合を具体的に押し戻す理論の構築を行う。 C京都府政研教育部会とも連携をもって京都府の教育と教育行財政の分析を行なう。 また、今年度は、事務局体制をさらに強化しつつ、継続的に研究を推進していくことを意識的に取り組みたい。 4.研究会員と体制 代表者 市川 哲 事務局 葉狩宅也 会員 (略) |
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