事務局 2009年度年報もくじ
あいさつ
「理想の実現を教育の力で」を心に刻んで未来を切り拓こう!

                  京都教育センター代表 野中一也


 2010年の今年は、「神国日本」の敗戦(1945)65年、植民地化政策の「韓国併合」(1910)より100周年、対米従属化関係を深めた日米安保条約改定(1960)より50周年の節目の年にあたります。この流れに抗して、私たちの京都教育センターが1960年に設立されて50周年にあたります。これらの節目を想起し、そこに今日的意義を新しく心に刻み決意を新たにして努力していきたいと思います。

 鳩山内閣は、昨年の8月、自公政権の国民いじめの失政で敗北・後退して、成立しました。鳩山内閣は国民的要求を一定受け入れていますが、新自由主義的政策を温存しているところもあります。2010年1月29日に初めて施政方針演説を行い、「いのち」を守る重要性を繰り返し述べました。しかし、その具体的政策にふれることはほとんどなかったように思います。

 歴代の自民党首相が理念的「理想」をほとんど語らなかったことを思えば、鳩山首相の「理想」を私たちのものとして取り込んで広い運動にしていく事も重要なことのように思います。彼は、演説の冒頭に、インドの非暴力主義者のマハトマ・ガンジー師の慰霊碑の「7つの社会的大罪」を引用しました。理念なき政治、労働なき富などを戒めとして挙げました。鳩山首相の実生活との乖離は歴然として、皮肉も言いたいのですが、ここでは「理念」「理想」について考えてみたいのです。

 英国のインド植民地下の大虐殺と恐怖政治に抵抗したガンジーは、非暴力で平和を説きました。非暴力の力は、暴力でなく、不屈の意志からくるものであると言っています。その思想の根底に、日本国憲法9条の思想と「通底」しているものがあるのではないでしょうか。9条の背景には平和を創り出すための出すための永年にわたる人類の英知が積み重ねられていると思います。改憲論者の鳩山首相ですが、ガンジーの引用をするのなら、「護憲論者」になるのが必然的帰結になるのではないでしょうか。

 47教育基本法は前文で、私たちは日本国憲法を制定し、世界の平和と人類の福祉に貢献するように決意して、「この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきである」と高らかに謳いました。「普遍的かつ個性的」文化の創造で私たちの未来を切り開いていきたいものです。

 現実に目を移すと、「これは教育ではない」と思いつつも、「上からの」監視的な目を意識して教育を実践させられている多くの教職員がいます。学校は監獄のようになっているように思うという先生もいます。学力テストで画一的教育内容を「従順」に身につけさせるシステムも作られています。その中で、魂まで精神的自由がなく、「上」に服従する精神構造にさせられているのではないでしょうか。

 子どもの一見、見えにくい心にあたたかい教師のまなざしを注ぎ、これがホンモノの教育だと実感できる教育環境をつくることが求められています。つまり、教育の自由の獲得を目指していきましょう。

 本年も、日本国憲法の理想を高く掲げて教育の力で、一歩一歩前進して理想の現実化に向けて努力していきましょう。そして、子どもたちと共に生きる教育の奥深い人間的ふれあいが実感できる実践をつくりだしていきましょう。

 先述しましたように、本年は京都教育センター設立50周年にあたり、その歩みを振り返りながら京都の教育的教訓をいっぱい掘り起こし、未来への糧になるような活動をしていきたいと思っていますので、みなさん方のお力添えをお願い致します。


 「京都教育センター年報(22号)」の内容について、当ホームページに掲載されているものはその概要を編集したものであり、必ずしも年報の全文を正確に掲載しているものではありません。文責はセンター事務局にあります。詳しい内容につきましては、「京都教育センター年報(22号)」冊子をごらんください。
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              2010年3月
京都教育センター