事務局 2009年度年報もくじ

第3部 自主的教育団体の活動

京都民間教育研究団体連絡協議会(京都民教連)

             得丸 浩一(京都民教連事務局長)



 2008年末からの「年越し派遣村」は多くのマスコミにより大々的に報道され、「貧困」の可視化にとどまらず、この国に「難民」問題が存在することが周知となった。

 教育現場においても、就学援助率の上昇ばかりではなく、その率と「学力」との相関が改めて誤魔化しようのない事実として認識されるようになった。

 「貧困」関係の出版物の中に『子どもの貧困』(2008年4月 明石書店 浅井春夫他)、『子どもの貧困』(2008年11月 岩波新書 阿部彩)が注目され、「子どもの貧困」が緊急の教育課題であることが様々な立場から表明されたにもかかわらず、「学力」問題以上にその解決の方途が探られている気配は薄い。

 京都民教連は、この数年、「貧困」と、子ども・青年の「生きづらさ」をテーマに集会を行ない、通信でも問題提起を続けてきた。


第47回  近畿東海教育サークル合同研究集会

 47回目を迎えた近畿東海サークル合同研究集会は2009年11月28日〜12月1日に静岡県・浜松学院大学・浜松北高校で行なわれ300名が参加した。京都からも20名が参加した。全体会では内田樹氏(神戸学院大学)が「教育改革の主体は私たち=街場の教育論から」のテーマで講演し、好評だった。2010年度は大阪府で行なわれる。


民教連ニュース

 現在、民教連ニュースは約240部を団体・個人に郵送している。大型の教育誌にはできない「ニュース性」を大切にしながら、講演記録や、実践報告、サークルの大会案内などをタイムリーに掲載して発行してきた。今後、京都府下各地から、また多くのサークルからの情報や実践を掲載していくことが望まれている。


京都民教連研究集会

 2009年度の京都民教連集会は、「未来を生きる希望」をテーマに、1月16日(土)に京都アスニーで行い、40名が参加した。全体会講演は、フリージャーナリストで、昨年『「ホームレス」襲撃事件と子どもたち』(太郎次郎社エディタス)を出版した北村年子氏が、その書名をテーマに講演を行なった。途中、自身も「共同代表」を努める「ホームレス問題の授業作り全国ネット」作成の「ホームレスに出会う子どもたち」のDVDも映され、教室を出て、子ども自らがホームレスの人たちのための「夜回り」を行なう姿が印象的であった。

 午後は「子ども・青年のからだと表現」分科会において、中村好子氏(養護サークル「ひとみ」)が「保健室から見える子どもの実態について」、嘉納隆英氏(体育同志会)が「子どもの体力、運動能力の変化・体育の時間の取り組み」について、荒木昭夫氏(京都児童青少年演劇協会事務局長)が「中学生の劇作りの現場から」について報告。「子どもの貧困の実態と生存権」分科会では、児童養護施設「つばさ園」から「園」児童・生徒の実態から見えてくる社会状況・園の取り組みについて、谷尻治氏(京生研)から「ワーキングプア」の授業について、小松伸二氏(京都市つづり方の会)から、経済的には豊かだが、忙しい両親との関係や塾で煽られる人間観の中での「関係性」の貧困についての報告がされた。「未来を創る学力とは」分科会では、乙訓の「国語サークル・はぐるま研究会」と「算数サークル」の実践が具体的に語られ、「学力」の内容について議論が深まった。


2010年度の活動について

 京都府内教育サークルの活性化が最大の課題であることはこの近年変わっていない。教職員組合運動だけでは民主教育は創れない。京都市内に「エデュカフェ」「エデュカフェイースト」などの青年教職員サークルができ、その活動を活性化している中で、事務局の刷新も視野に入れながら、一層工夫した魅力的な活動を創り上げていきたい。

 「京都教育センター年報(22号)」の内容について、当ホームページに掲載されているものはその概要を編集したものであり、必ずしも年報の全文を正確に掲載しているものではありません。文責はセンター事務局にあります。詳しい内容につきましては、「京都教育センター年報(22号)」冊子をごらんください。
事務局 2009年度年報もくじ

              2010年3月
京都教育センター