事務局 2009年度年報もくじ

第2部 教育センターと各研究会の活動

子どもの発達と地域研究会
         2009年度活動のまとめ

         姫野美佐子(子どもの発達と地域研究会事務局)



1.はじめに

 子どもの発達にとって、地域はどんな存在になっているのか−−10年前と比べると、「人と人のつながりが薄くなったな」とか、「子どもの遊ぶ場所が減っているな」などと感じることがあります。それでも、そこに人が住む限り、個々が完全にばらばらにされているわけではなく、何らかの行事が行われ、つながりが育っています。研究会として、なかなか活発な活動ができていませんが「子どもの人間的な発達にとって、地域社会(コミュニティ)は不可欠である」ことを大切な視点として、来年度も研究会活動を続けていきたいと思います。


2.通信について

 今年は「通信」が一度も発行できませんでした。悩んでいます。


3.公開研究会について

1 「京都子ども勉強会 サポートクラス」の取り組み:    10月12日(月)17名参加

◎レポート要旨(報告:西尾直子)

(1)京都子ども勉強会とは (3つの柱)
T 子ども・父母・講師の豊かな人間関係を目指し、互いの学び愛の取り組みをすすめる。
U どの子にも基礎学力を保障する取り組みを
V 勉強会の取り組みを生き生きと進められる体制作り。

(2)サポートクラスとは
 学校に通いにくい子どもたちの学習の機会を保障する場所として、また家庭以外の居場所として2003年10月に開設。週1〜2回学習したり、昼食を一緒に作って食べたりしています。教室まで来れない子どもたちには家庭訪問しています。

(3)サポート企画について
 子どもたち・スタッフの意見に基づいて様々な取り組みを通して交流しています。企画の中で、子どもたちは少しずつ人と接する楽しさを学び、自立に向けてのエネルギーをためています。(水晶堀り・お子様ランチ作り・大文字山登り・バーベキュー・凧作り&凧揚げ・万華鏡作りなど)

(4)子どもたちの様子
 10数人の子どもたちと接してきました。Sちゃん・Nちゃん・T君の3人は、それぞれ「育ち」の中で重いものを抱えてきているが、共通の趣味があることが分かり、友達になりました。サポート以外でも一緒に映画に行ったりしていました。子どもたちは、「最初は、やりたいことは出すが後はスタッフまかせ」から「少しずつ、スタッフと一緒に準備をしたりする」ように変化しています。将来の夢を具体的に持てるようになった子どももいます。まだまだ、波瀾万丈で目が離せない子どもたちも・・・

(5)個性豊かなスタッフ
 大学生・社会人などで、サポート企画に関わっているのは5人。不登校経験者もいる。スタッフを続ける理由は「自分の居場所になっているし、「勉強会の」サポートクラスだから。人との接し方も学べるから」「小さい場であっても、何かしら学べる場である」「小さい子でも、居場所のない子にとって、ここが居場所になれればいいと思う」など。

(6)サポートクラス学習会
  本を読んだり、ひとつのテーマで体験談を語り合うなど、学習を大切にしています。

(7)これから
・安心して自分を出せる居場所を少しでも近く(地域)に作りたい。
・企画を通して、しんどい思いをしている子どもたちの交流を広げたい。

◎まとめにかえてー棚橋啓一
1. 子どもの人間的な発達にとって、地域は不可欠である。
2. 大人の主体的自治的な取り組みが子どもを育てる。
3.子どもを一人の人間として尊重し、子どもの自主的自治的な活動をだいじにする。
4. 子どもに対する見方、考え方―共有して持てる「子ども観」をはっきりさせた方が良い

地域とは
(1) 人間が生活を営んでいる地理的な場。そこには(人間的な)文化がある。
(2) 子どもはその中で、自分の周囲の人やモノと関わり発達している。地域は、子どもの発達の土壌のようなもの。地域には子どもを育てる機能(はたらき)がある。
(3) その地域に、人間らしさや文化を壊す(酸性雨のような)毒が降り注いでいる。
(4) そこに生活する人間は、その毒性に対する耐性を身につけなければ人間として生きていけない。

◎討論
・今の子どもたちを取り巻く厳しい状況(「仲間・時間・空間の3間の崩壊」など)がいろいろな場所で見られることが出されました。「学校をもっと地域に開放してほしい」の声や「サポートクラスのような場所がもっと増えていけば良いと思う」の声も出されました。 感想文より 子どもたちがのびのびと仲間(友人)と群れあいその中で学びあう体験が大切。そんな居場所が次第に少なくなってきている現在。われわれ大人が智恵と力を出し合ってそんな居場所を作っていくことの大切さが確認されたようです。



2 京都教育研究集会・分科会(詳しくは別項で)


4.2010年度方針

@ 3ヶ月に1回の割合で通信を発行する。
A 多くの人にこの研究会に参加してもらい、つながりを強める。
B レポート発表から一歩すすんだ「中身の深い議論―研究」の足場をつくる。



5.2009年度事務局体制

代表:中須賀ツギ子(京都教育センター)

事務局長:姫野美佐子(京都子ども勉強会)

事務局:松井信也/池添廣志/棚橋啓一/大平勲


 「京都教育センター年報(22号)」の内容について、当ホームページに掲載されているものはその概要を編集したものであり、必ずしも年報の全文を正確に掲載しているものではありません。文責はセンター事務局にあります。詳しい内容につきましては、「京都教育センター年報(22号)」冊子をごらんください。
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              2010年3月
京都教育センター