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あ い さ つ
 
「内なる人格」をベースに、揺るぎなく前進しましょう

           京都教育センター代表 野中 一也


 「競争的環境のもとで大学改革」を迫る文部科学省は、・小中高の教育でも「競争教育」を主流に押しつけています。「ああ、疲れた。ここまで働く意味があるのか」と、ため息をつく教師。ため息を聞いた家族は「疲れていて体がもたないようなら、もう辞めてもいいよ」と言ってくれる。子どもと接する時間がなく、雑用に追われて教師のやりがいを奪っている姿です。定年60歳以前に退職する教職員がふえています。

 肉体的健康と精神的健康を取り戻して、本物の教育実践をしたいと願っている先生がほとんどでしょう。昨年からはじまったアメリカ発の金融危機と不況があっという間に全世界に広がりました。新自由主義という亡霊はその本質的欠陥を暴露して、貧困を社会問題としてだれの目にも分かるように浮き上がらせました。小渕、小泉内閣で新自由主義政策の「構造改革・規制緩和」を強力に推進した中谷巌氏は、市場原理主義に傾倒したことにたいして痛恨の懺悔をしています。小泉・竹中氏は反省の気配がありません。新自由主義の「再生」の動きには注意しておきましょう。

 いずれにしても新自由主義は破綻を示しました。これに注目して「ルールある経済社会」を展望していきましょう。中南米もアメリカからの「支配」から「自立」の方向に大きく舵をきっています。東アジアでも同じ状況が生まれてきています。情勢のなかでの「転換」の大きな流れを展望して、遠い見通しをもって頑張っていきましょう。
 そのために第一に、情勢を正確に把握して前進することです。新自由主義が破綻してきていますが、依然として新自由主義を底流で進めようとする強い動きがあります。特に教育の領域がそうです。国家主義的管理教育が競争原理教育と結合して進行しています。例えば、大坂では橋下知事のような「独裁者」が現われています。トップダウン方式で「正義の味方」のような姿をマスコミを通して演じています。学力テストの結果を公表させて、競争を煽っています。条件整備にお金をかけません。むしろ大幅に経費を削減しています。現実をしっかりと見ることによって、「化けの皮」をはがすことが可能になります。そしてその本質をとらえて元気になりましょう。
 第二に、支配層の反民主主義的価値観が押しつけられていますが、私たちの内心までは入り込むことはできません。私たちは確固たる「内なる人格」をもって、世界・人類の良心の「水脈」と連動して揺るぎない思想に高めていきたいものです。「普遍的にしてしかも個性ゆたかな文化」(47年教育基本法)を創造する実践をつくりあげ、未来を切り拓いていきましょう。

 「新」教育基本法も、「日本国憲法の精神にのっとり」「人格の完成を目指す」と謳っています。矛盾した・06教育基本法です。新学習指導要領の前文に新教育基本法を掲載して押しつけてきています。しかし、逆手にとって「人格の完成」をめざし、憲法の精神を生かして前進しましょう。

 来年(2010年)、教育セント設立50周年を迎えます。歴史を継承・発展させるように広く人々とつながり合って努力していきたいと願っています。


あ い さ つ
 
「内なる人格」をベースに、揺るぎなく前進しましょう

           京都教職員組合執行委員長 藤本 雅英


 京都で18年ぶりに開催された「教育のつどい2008」教育研究全国集会は、子どもと教育の未来を切り開く多くの「財産」を得ました。 とりわけ「教育のつどい」では、青年の積極的な参加と発言があったことです。真正面から子どもたちと向き合い、子どもの願いを受けとめながら、悩みながら日々教育活動にとりくむ青年教職員の発言や姿は、子どもたちの明るい未来そのものであり、明日の教育への希望を実感できるものでした。「教育のつどい」に参加した青年は、「未来に生きる子どもが夢をもてないことほど悲しいことはない。未来と希望を語り、未来を開く教師の一人でありたい」と声を寄せています。「教育のつどい」を契機にいっそう「センセのがっこ」や職場教研をはじめ日常の声かけ、働きかけが強まり、青年教職員、ベテラン教職員のつながりの輪をひろげています。

 また、「教育のつどい」では、子どもたちが豊かな学力を身につけるためどのような教育内容や指導方法が求められるのか、教科、教科外の活動を通して子どもたちに生きることの意味、働くことの意味をどう考えさせるのか、子どもの健やかな成長を育む教育活動をどう進めるのかなど真剣な研究、討論が進められました。その中では、改悪教育基本法の具体化施策、改定学習指導要領の重大な問題点も浮き彫りにされました。また参加と共同の教育、学校づくり、憲法を教育に生かす共同のとりくみの大切さが深められました。それらは、府内各地でひろがる様々なとりくみの大きな力となっています。

 今、改悪教育基本法・教育改悪3法による全国一斉学力テスト、教員免許更新制度など一連の「教育改革」は、その具体化をすればするほど、子ども、父母・国民、教職員の矛盾をいっそうひろげています。2009年度にほぼ全面実施とする小学校での改訂学習指導要領の乱暴な移行措置は、いっそう学校現場、教職員に負担と困難を強いるのは必至です。改訂学習指導要領は、子どもの発達段階をかえりみない教育内容の詰め込みや子どもの内心の自由をふみにじる「愛国心教育」の強化など、父母・国民、教職員の子どもの健やかな成長への願いとは逆行し矛盾を深めざるを得ないものです。また、貧困と格差の拡大は、教育の機会均等を奪い、「子どもの貧困」問題も深刻化させています。そうした状況を「変える」うえで、「教育のつどい」で得た力をさらに発揮し大きく広げることが求められています。矛盾の深まりは、ますますその条件をひろげています。

 「教育共同」をひろげるとともに、一連の「教育改革」施策をはね返し、憲法にもとづく教育を推し進める重要な力に、教職員の教育研究活動の重要性があることはいうまでもないと思います。青年教職員、ベテラン教職員の「学ぶこと」「つながること」の輪と自主的な学習、実践交流など教育研究のとりくみをさらにひろげることこそ、学習指導要領に示された内容のおしつけを許さない確かな力です。そうした教職員の教育研究を励まし、支える教育センターの役割、活動は、京都の教職員にとってますますかけがえのないものとなっています。いっそうの充実発展を心から期待し、またそのためにともに力を尽くしたいと思います。

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