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地方教育行政研究会

2008年度研究会活動の経過と概要



       市川 哲(地方教育行政研究会事務局)


1.2000年度から始まった京都教職員組合との「合同学習会」

 2000年度から始まった京都教職員組合との「合同学習会」は今年で10年の節目を迎える。格差と貧困の「構造改革」と競争と評価の「教育改革」が進行する中、子どもと教育をアメリカ発の大不況が襲っている。これらを克服・打開する展望をどのように見いだすのか?「合同学習会」を含む研究会活動では、広く、深く子どもたちと教育にダメージを与えている新自由主義と国家主義を批判し、その対抗軸を明らかにすること、そして子どもの学習権を具体的に保障する教育条件整備に向けた理論と運動を励ますことを課題としたい。

 今年度も研究会活動の中心に京都教職員組合との「合同学習会」を位置づける。これは組合員だけではなく、誰でも参加できる開かれた学習会であり、そのため広くインターネット等を通じて開催を知らせている。


2.2008年度の合同学習会の経過

第1回 3月22日

  ●テーマ 「学習指導要領の改訂で学校・教育はどうなる?」

  ●内 容 講演:「学習指導要領改訂の方向性とその問題点」植田健男氏(名古屋大学)
         報告:「2月府議会報告」加味根史朗氏(府会議員)
      特別報告:「教員免許更新制の最新事情と『体験的教育行政』」今西静生氏(府職労教育支部)

第2回 5月31日

  ●テーマ 「2つのテーマで京都の『教育改革』を考える−「小中一貫教育」・「教職員人事管理」−」

   ●内 容 報告:「宇治市の小中一貫教育について−東京品川区の視察報告も含めて−」田中正浩氏(宇治久世教組)・東 辰也氏(京教組)
         報告:「京都市の学校統廃合と小中一貫校」新谷一男氏(京都市教組)
         報告:「新たな「職」と学校組織・人事管理」梶川 憲氏(京教組)

第3回 3月8日

   ●テーマ 「学校統廃合問題学習交流会」

   ●内 容 問題提起:「学校統廃合をめぐる動向」市川 哲氏(地方教育行政研究会)
          報告:「各市町の動向ととりくみの報告(各教組・地域から)」
              京丹後市、宮津市、与謝野町、伊根町、舞鶴市、福知山市、北陵中・公誠小、綾部市、旧京北町

第4回  9月13日

   ●テーマ 「政府・文科省等の教育行財政政策を検証する」

   ●内容 講演:「改悪教基法による教育振興基本計画とは何か?」市川 哲氏(地方教育行政研究会)
        報告:「「30人学級」を実現するために−府教委「30人程度学級」の実際は?」梶川 憲氏(京教組)、山内よし子氏(府会議員)
        報告:「教育条件改善にむけたとりくみと課題」奥村久美子氏(京都市教組)、谷口和文氏(乙教組)

第5回 12月23日

   ●テーマ 「道州制と学校・教育行政」「京都の教育改革」

   ●内容 講演:「道州制と教育行政の動向」市川 哲氏(地方教育行政研究会)
        報告:京都おける「教育改革」を検証する
            @「八幡市の「学校再編と学力向上」」葉狩宅也氏(綴喜教組)
            A「宇治市の小中一貫教育について―宇治小問題のその後―」田中正浩氏(宇治久世教組)
            B「12月府議会報告」山内よし子氏(府会議員)

 なお、第3回学習会は中丹勤労者福祉会館(福知山市)で行ったものであり、府下各地で要請があればどこにでも出向く“出前学習会”としての性格をもつものである。

 2.今年度も活動の中心は共同学習会に置かれた。参加者は25名から55名であり、平均で30名を越える。“出前学習会”の要請を組織することや府職労との三者学習会、さらには府議会議員と結んだ情報収集の活発化などを図り、より学習会を実りあるものにしていくことが求められる。そのためにも事務局の強化が必用である。

 京都教育センターのHPを利用して第4回学習会の講演レジュメ「改悪教基法による教育振興基本計画とは何か?」を公開した。今後、共同学習会の内容や調査活動、「教育改革」や教育運動に関する資料、論考も公開していきたい。


3.2009年度研究活動の方針

 2009年度も「共同学習会」を発展させていく。またインターネットを活用した学習会の内容や研究成果を発信する活動を本格化させたい。

 研究課題としては、
@貧困と格差のもとで子どもの学習権を守る課題、
A教員と学校に押しつけられる新自由主義「教育改革」を批判し、押し戻す課題、
B地域における構造改革のあらわれである学校統廃合を批判し、子どもの学習権を守る課題、
C子どもの学習権と親・住民の生活を守る砦となるべき京都府政を分析し、府民の要求を明らかにする課題、などが考えられる。

 具体的には、
@教育扶助制度・教育援助制度、授業料減免制度、私学援助制度、奨学金制度など、直接子どもの学習権を財政的に保障する制度の実態と問題点を明らかにし、今後のあるべき制度的展望を示す、
A教員評価、「学テ」教育体制、小中一貫校などのあらわれを分析し、府民レベルに向けて問題提起していく、
B府下の学校統廃合と運動を分析し、学校統廃合を具体的に押し戻す理論の構築を行う、
C京都府政研教育部会とも連携をもって京都府の教育と教育行財政の分析を行い、パンフレットの学習・普及に協力する、用に取り組みたい。


4.研究会員と体制

 2008年12月23日の「合同学習会」終了後、忘年会を兼ねた会合をもち、30年余り事務局を担当した市川 哲氏が空席の研究会代表に、また事務局に葉狩拓也氏が就任することを確認した。新体制のもと、新会員を増やし、活発な活動を展開したい。

代表者 市川 哲

事務局 葉狩拓也

研究会員 (24名 氏名 略)

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