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“未来の主人公を育てましょう”
 
京都教育センター代表 野中 一也



 
 「先生、死にたいです」と、電話の向こうで聴き取りにくい小さな声が呼びかけてきます。二度の自殺未遂をした大学院修士課程2回生のS君からの声です。彼には“未来への希望”が無いのです。周りはすべて競争が支配する社会のように見えて、経済的にも苦しくて自分の力で未来の見通しを切り拓いて行くことができないでいます。「嫌な社会で生きていく価値を見出すことが出来ない」といいます。自分にも自信をもてず生きる意味もないと言います。熱心に指導してくださる指導教員の方にも信頼をあまり寄せることができないのです。悲しい話を出しましたが、S君の事例が例外ではなく、現代の学生の典型的な事例だと考えたいのです。彼とともに普通に生きていける展望をつくりたいと思っています。

 文部科学省の教育政策は、競争原理を全面的に推し進めています。一部のエリートを養成しようとして「勝ち組」を優遇し、「負け組」は軽視もしくは無視しています。
 支配層の人びとは、憲法・教育基本法を改悪して、戦争ができる「普通の国」にしようとしています。

 私達は、昨年教育基本法の連続学習会を成功させました。「憲法が暮らしの中に生きる」普通の社会をつくるために日々地道な努力を積み重ねていかなければならないと思います。未来の社会を背負う主人公を育てるためになお一層の努力をしていきたいと思います。
 2004年度の年報ができました。地道な活動の成果です。この活動の成果を踏まえてなお一層の努力をしていきたいと思います。今後とも京都教育センターの活動にご協力をお願いいたします。

 
 
 



あ い さ つ
 
京都教職員組合執行委員長  大平 勲




今は亡き細野武男先生の意志を継ぐことを強く意識して奮闘された前代表の小林幸男先生も還らぬ人となられたこの一年でした。往年の事務局の面々が楽しく激論を交わされ、その締めはいつも「なるようにしかならんよ」という無責任なようだが展望を指し示すものであったことをなつかしく想起します。

 このような変遷の中で京都教育センターのこの一年は、現事務局のみなさんのご尽力でこの間、課題となっていた組織・財政の検証がすすめられセンターの全体像と現状がクリアーになりました。また、もうひとつ特筆すべきことは、教育基本法が変えられようとしている状況下にあって、この一年間取り組まれた「教育基本法連続学習会」が画期的な足跡を印されたことです。近く刊行される「まとめの冊子」もおおいに期待されるところです。

私たち現場組合員もこうした教訓的な取組みに励まされて、教育基本法改悪許さじの正念場のたたかいに全力あげる決意でいます。あわせて、反動的な教育行政がすすめる「教育改革」という名による子ども不在の教育施策を徹底的に批判し、「学校づくり」をすすめる私たちこそが子どもと教育に責任を負う存在であることに誇りを持って立ち向かう2005年度にしていきたいと思います。今年度も各研究会において現場ときり結んだ実践的検証と建設的な提起をお願いするものです。

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