トップ 教育基本法 事務局 雑感目次
教育基本法・学習会・・・1             2004・1.


                                     土野 友人


・ 学童疎開・空腹そして「墨塗り教科書」世代の一人として、今日「人道支援のためというイラクえの自衛隊派遣」という欺瞞に満ちた世相の中で、憲法・教育基本法の理念がますます重大な状況にあることを強く認識させられる。

 小学校高学年・中学校・高校とまさに教育基本法の理念のもとにあった教育を受けて、教師としても当然のことながら一貫してその立場を追求してきた一人として、今日の教育基本法「改訂」の動向には許しがたいものを感じる。

・ 音楽教科書の最後の1ページに小さく印刷された「古歌」は、学習指導要綱改訂ごとに変化させていく。それはやがて「君が代」になり、次第に大きく印刷され、ついに「国歌」となって出現した。そして卒業式は「卒業証書授与式」として教育実践の場ではなくなり、かっての国家権力押しつけの場と同様に形式的にも変質させられていった。号令による起立・礼、そして大きな声で歌わされるという、職務命令による「教育」へと変質させられていった。

 これと類似しているのが、今日の「イラク派兵」である。憲法九条のもと、警察予備隊が保安隊になり、自衛隊へと変質し、ついに世界第二位といわれる「軍事予算」を浪費する「日本国」になり、憲法さえも「改定」しようと反動化・軍国主義化しつつある。こうした戦後の流れは、選挙制度改悪、「政治教育」「平和教育」への弾圧、子どもの自主活動・自治活動を育てる実践への介入などさまざまな手段でなされてきた。

・ しかし、「沖縄を返せ」、原水爆禁止世界大会、ベトナム反戦運動といったさまざまな平和運動・・・・、勤評・学テ反対、任命制主任制度化反対、教科書裁判支援運動といった国家権力の教育介入・教育支配を許さない運動も前進させられていった。戦後の歴史をここで語れるものではないが、今日の憲法・教育基本法改悪の動向は緊急の事態になっている。

 たとえ、改悪されようとも、ここに改めてじっくりと学習を深めることの意義は大きいものがあると思われる。単に条文を解釈するというだけでなく、今日状況の中での、さまざまな教育問題とも関連させながら、意見交流によって、深められていくことが望ましいと思う。

 「日本国民は、・・・・国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。・・・・国の交戦権はこれを認めない。」(憲法九条)。

 これほどの明快なる条文ですら、解釈変更をして、今日の「イラク派兵」にまでつきすすんでいく政府である。日常生活の中で、一つ一つをしっかりと見つめていかなければ、何が起こされても不思議ではない社会状況にあるようでもある。だからこそ、今日、憲法・教育基本法をしっかりと学習することの意味があると思うのだが、いかがなものか。

 2004年月例学習会を12月まで続けて、成功させたいと思う。
 
トップ 教育基本法 事務局 雑感目次