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第1分科会


基春期の子どもの発達に及ぼす遊び・文化の実態とその展望
 
北村 彰(京都教育センター 発達問題研究会)
**当日の記録および小見出し付けは京都教育センター事務局で行ったもので、文責は京都教育センターにあります。**

1基調報告・・・西浦秀通先生(京都教育センター 発達問題研究会事務局)
 
1 はじめに
この分科会の設定にあたって
1 思春期の子どもの発達に及ぼす遊び・文化の実態とその展望
2 これまでの研究経過子供たちのコミュニケーション能力に関して「3 アンケート報告集」4
公開研究会の開催と夏季研のテーマ設定
藤田秀典「学校化・情報化の進行と『教育問題』の変遷」
朝日新聞より・・・学童保育所の施設基準を設けているのは全国3169自治体中45自治体(2%)のみ
      * ケータイ文化・・・ケータイ電話のみならず文化をケータイする時代に
       子どもたち自身
            乙訓のある小学校の「児童の健康状態」に関するアンケート調査より
              ・11年度より13年度調査の方が就寝時刻が早くなっている
       (指導の成果かも知れない)
3 起床時刻は男子の方が遅い
4 生活そのものが子どもの文化になっている
5 夕食までに何かを食べる子どもが多い
6 女子の方がよく手伝いをしている
7 外遊び・・・思ったよりしている
8 家庭・地域・学年それぞれに文化がある
 7 発達環境の保障・整備
       加用文男(京教大教授)「泥だんご」づくり
 8 最後に
「戦後日本における年齢別の男性による殺人率の変遷」より
・ 20代前半の殺人率が下がっている
・ 日本の若者は世界で最も殺人を犯していない
・ 若者の凶悪化は本当か?

2児童劇団やまびこ座・・・Kさん他 座員

1.“児童劇団やまびこ座”って なにもの?
  1951年6月 西陣で子ども・青年・大人一緒で「楽しく明るい健康的な児童演劇」をスローガンに出発。 現在54名
  3つの特長
   @.異年齢集団・・・小4〜76歳まで
   A.「言いたいこと」を演劇で創りあう(創造的)
   B.いろんな人達とつながって、いろんな事をする(協同的)
2.演劇活動は・・・
    集団で創る、総合芸術
3.「相手のセリフを聞け!」
    相手の存在を認める
    人生も同じ。これが無ければ暮らしが成り立たない。
4.本(脚本)をちゃんと読む
    謙虚さと、豊かな想像力。
    人間には弱点もあり豊かな点(良い点・悪い点)もある
    全体が何を言いたいのかを知る
5.舞台の役づくりの中で、自分との出会い、自分とは異質なものとの出会い、新しい自分の発見をする。
   体験・表現することで、自分自身を変えることができる。

6.楽しい劇に平和は不可欠
    (例)広島県竹原市で上演  大久野島(毒ガス工場)
   Mさん(座員、高3)
    小学校4年の時にイジメに遭った。しんどい悔しい毎日。
    やまびこ座に入り自分を再発見。自信がついた。
    「私こんなに声が出る」「こんなに応援してくれる人がいるんだ」他。
    いろんな人がいる。
    地域の支えてくれる場は大切。
    将来、子ども達に生きる力を与えられる先生になりたい。
   Sさん(座員、高3)
    人間関係を深めるために入座。中学の時に田舎から町の学校へ転校した時が転機になった。女の子同士の人間関係についていけなかった。やまびこ座に入り異年齢集団の中で「人間ってこうなんや」と思った(学んだ)。
    校則をそのまま受け入れる自分ではなく「なぜ」と考える・気付く自分がつくれた。問題意識を持つ視点を得た。
    芝居を通して自己表現すると自分のことまで考えられるようになった。
    一人一人がいろんな輝きを持っていることに気付いた。
    自分に無いものを欲しがるのではなく、自分に有るものを伸ばす。
    歴史・・・なぜ、そんな事が起こったのか、どんな人がどう気付いたのだろうと考えることができた。歴史を知りたいと思えるようになった。
    やまびこ座に出会って自分の未来像が見えてきた。うれしい。一本、線を通してくれた。
    一人では経験できないことでも、周りの人から話を聞いて多くの経験を得た。大学で教育心理学の勉強をしたい。人との関わりを大事にできる人になりたい。
    


3「あそびのこころを学習活動に」・・T先生(H小)
 
  あそびが集中する力・持続力・調整力・運動能力・社会性・集団性・協調性・思いや
りを育てる。
男の子の基地遊びも多くの力(計画性・実践性・判断力)をつけてきた。
1 最近の子どもは・・・
椅子に正しい姿勢で座れない
黙って静かに話が聞けない
準備をして授業を待つことができない
立ち歩き、私語を平気で繰り返す
パニック状態になりやすい
学校と家庭の姿が大きく異なる
2 子どもの遊びを取り入れた実践
       ・汗をかいてあそぶ子は集中できる!
体が触れ合う準備体操を
・スリリングジャンプ・おんぶジャンケン他
週に3回クラス遊びの日・・・どろけい他
雨の日クラブ・・・トランプ・けん玉他
探偵団の一員なら約束が守れる!
何でも探偵団に・・・家探し探偵団・中探し探偵団・草の根探偵団・学校探検隊
夏休みツアー・・・文治郎とその時代を探るツアー
  ・任せれば応える!(自分たちで企画、自分たちでやりきる)
1年生を迎える会・・・シルエットで探せ(担任の先生当て)
係活動を発展させて・・・レストラン・インテリア
自分たちで創る「社会見学」・・・2年前から京都市内班別研修
  金閣寺・二条城・清水寺  体験で八つ橋づくり・抹茶他
       ・ゲームでつける力もある
       ・自分の良さを、いつも意識させると自信が持てる!
得意技で自己紹介
けん玉あそびで仲間作り
百人一首を覚えよう
  ・小さい子と触れ合うと優しくなれる!
1年生への給食・掃除
てるてる坊主と修学旅行のお土産
  ・遊びごころがあれば学習も楽しい
短歌や俳句、詩の世界
模造紙1枚研究発表
ポスターコピー
植物で酸性・アルカリ性
50年後の世界
すてきな花言葉
100マス計算
  ・言いたいことが言える仲間がいれば安定する!
子どもの本音にせまる努力「で、へー、そう、まあ」
テーマ日記
今年の目標を漢字一文字で
先生の通知簿・・・匿名
 
3 失われた文化・環境を取り戻すために学校だけではなく家に帰ってからも、遊びをつくっていかなければならない
 
4「チャレンジクラブの実践」Mさん(チャレンジクラブ)
 
1.「チャレンジクラブ」って?
チャレンジクラブの歴史
1970年 学童クラブ設立 1973年 JTクラブ
1991年 チャレンジクラブ 2000年 NPO法人
親たちの思い
安全で豊かな放課後を。親だけではしてあげられない体験を。
子どもたちの縦横のつながりを。親同士のつながりを。
親自身も楽しめる場所。学力の問題(中学部)。
家庭・学校以外の第3の居場所として。
子どもたちの思い
たくさんの友達。いろんな体験。たくさんの大人たち・スタッフたち(専従、アルバイト)。家庭学校以外の第3の居場所として。
チャレンジクラブが大切にしている事
豊かな放課後・貴重な体験はもちろんだが、地域の中で子どもたち親たち、若いスタッフたちが集まり活動できる場所であるという事がとても大切。活動の中身としては消費の遊び文化から創造の遊び文化へ
→親子共遊び、共育ち。
子どもが楽しむためには大人がまず楽しむ。
 
2.「チャレンジクラブ」活動の流れ(資料)
小学部の年間…普段の放課後の活動といろいろな行事
中学部の年間…普段の学習会と長期休み中の行事
保護者会…月1回の懇談会・活動資金のためのバザー出店
 ● 中学部「青春18切符の旅」
 2〜3人で1グループを作り、電車での1泊旅行に行く。交通費は中学生自身が資金活動をして稼ぐ。夏休みから地域のお祭りへの出店や洗車会社の運営、便利屋さん等、子どもたち自身が考える。行き先からスケジュールまでグループごとに考え、計画を親にプレゼンテーションする。親のOKが出れば残りの費用(宿泊費・食費等)を融資してもらえる。
子どもの反応…少人数だからこそ頑張ってできる。自分のやっている事がわかる。
以前はサイクリングをしていた。行った後の達成感。
→自分の力でできることの範囲が広がる→自信へ
家庭では見えにくい部分でも、集団の中では見えてくる、力が出させる。
しんどい事でもガマンする。大人も感動することができる。
 
 ● 前思春期から思春期の子どもたちとじっくり付き合う
思春期の子どもたち…自我の形成(自分と親、自分と友達、若いスタッフへの憧れ、等)
 小学生から中学生・高校生の時期を時間をかけてじっくりと付き合う事で子供たちの成長をこぼさずに発見でき、認めてあげる事ができる。
 そのためには、たくさんのスタッフ・大人たちが継続的に関わる事ができる基盤が必要。NPO法人格の取得により専従態勢の維持ができるようになった意味は大きい。
 ● 親の感想
 わたしたちの地域でも、最近、ガキ大将的、リーダー的な子どもが少なくなってきた。また、集団になじめない子どもたちが増えてきた。しかし、この(あそびなどの)活動に参加するようになって、子どもたちがお互いに認め合う姿が鮮明にでてきているようにおもう。自分たちの成長しようという意欲が感じられる。これはすごいと思う。このNPOの活動、地域の活動は国が捨てた(あそびなどの)もの(分野)を補完するものではないだろうか。
   
 
5豊かな自然環境で育った子供たちと現代文化
  ― フィルター抜きで介入してくる情報化社会
                   T先生(I中)
1.はじめに
I中 各学年3クラス クラス中7〜8割が茶業関係 4分の3が三世代同居家庭 U町 人口8000人 ミニ開発
2.思春期の生育環境…自然豊か
3.村と都会、ギャップに揺れて…学習塾(U市内から送迎バス)、スポーツ少年団
4.インターネット時代の距離感…ケータイ、修学旅行、OBとの関係
5.子どもの文化と大人の文化、その境とは…性の問題
6.子供たちの発達と思春期…逆らわないが打っても響かない
7.これからの文化環境として…地域文化。男女交際。ミニ開発の影響。都市の悪い影響を受けやすい。都市文化、農村文化の融合。
8.おわりに…これから、さらに子どもたちの生活や意識の変化をとらえながら、指導に生かしていかなければいけない。
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