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京都教育センター第36回夏季研究集会
               第三分科会 記録(要旨)

 **今日の学力問題と取り組みの展望**

                                   (学力・教育課程研究会)

 ここに掲載した記録は、2005年8月27・28日に開催された「京都教育センター第36回夏季研究集会」の中で行われた分科会・分散会の内容を当日の記録にもとづいて京都教育センター事務局の責任でその要旨を編集したものです。文責は、京都教育センター事務局にあります。


はじめに

 第3分科会・「学力・教育課程研究会」は、この数年間、学力問題を中心に討論してきた。今回は、「基調報告」(小野英喜)を受けた後、「小学校における学力づくりと仲間づくり」(井上治夫・どの子も伸びる研究会)と「数学における学力補充の取り組み」(平野健三・朱雀高校)からの実践報告の発表を基にして討論した。参加者が少なく、意見の交流の広がりは欠いたが、個々の実践をめぐって学力保障の観点から、取り組みを発展させる方向での議論は深まった。


1.基調報告

 今から20年前、臨時教育審議会答申による「教育改革」が新自由主義と新保守主義の行財政改革の一環として進められようとしていた1985年、第4回国連教育科学文化機関(ユネスコ)の国際成人教育会議は、「ユネスコ学習権宣言」を採択した。宣言による学習権とは、「読み書きの権利、問い続け・深く考える権利、想像し・創造する権利、自分自身の世界を読み取り・歴史をつづる権利、あらゆる教育の手立てを得る権利、個人的・集団的力量を発達させる権利」とし、「人間の生存にとって不可欠な手段である」と、学習を万人に共通する基本的権利として定義した。翻って、日本の教育政策を見ると、このユネスコの学習権宣言とはまったく相反することがおこなわれている。

 例えば、文部科学省の個性重視の政策は、子どもたちの競争をあおり、教科書改訂で「発展」を学習できるかどうかや、習熟度別授業による学習内容の格差として現れている。また、制度として「教育特区」による逆差別的な教育の自由化が進み、「小さな政府論」をすすめる新自由主義は、学校教育すら市場経済に丸投げする政策を進め、学校間格差の拡大と義務教育費の国庫負担を廃止まで進んでいる。文部科学省が進める教育改革は、戦後の民主教育を支えてきた「等質の義務教育」を制度的にも財政的にも突き崩すものになっている。

  一方、新保守主義と新自由主義の潮流は、憲法の改悪と教育基本法の改訂を企てており、教科書問題や「靖国神社参拝」に見られる国際問題を起こしながらも「復古」を強行している。青年の中には青年の進学、就職、結婚、子育てなど将来の行く末に対する不安感だけでなく、自分の居場所を見つけられず現在の社会の中での安定した地位と仕事を得られないなどの過酷な状態にあり、現在の社会のもつ課題が若者たちに直接反映している。


今、学校教育は

@学校の多忙化、過労が進む

  今学校では、「週案の管理職による点検」と「総合的な学習の時間」の導入や「習熟度別学習」の強制、さらに観点別絶対評価で教員は子どもたちと接触する時間さえもないという多忙化の嵐に吹きさらされている。教員評価や学校評価は、教職員の豊かで個性的な教育実践を阻害し、教員の教育実践への「関心・意欲」を削いでいる。私たちは、このような厳しい労働条件と教育環境の中で早期退職者が増加していますが、歯を食いしばって実践を進めている教職員に、すべての子どもに学力形成を保障する教育実践の展望を指し示すことが求められている。

A子どもの発達の可能性を摘み取る「格差の拡大」

 文部科学省は、教育内容の30%削減や教科書検定に対する産業界の「学力低下危惧論」を受けて、学習指導要領の「一部改訂」をおこなった。それは、ア)学習指導要領の基準性と総則の「改正」、イ)歯止め規定の趣旨の明確化、ウ)総合的な学習の時間の充実、エ)「個に応じた指導」としての習熟度学習の導入などである。さらに教科書改定が行われ、前に削除された内容や高学年に移した学習内容を「発展」として一部の子どもが学習できるようにした。これは、9年間に「発展」を学習できる子どもと学習できない子どもに分け、学力の量的・質的格差を非常に大きくするものになる。

 教育基本法の精神にそむき、義務教育段階から教育内容に格差をつくり、選別する学校教育がよりいっそう過酷に進む。学習指導要領の一部改定と「個性による多様化論」に連動した教科書改訂や「選択制」、さらに習熟度別学習の強制は、社会的ダーウィンニズムに基づく小学校からの「個性の固定化」にほかならない。この義務教育からの多様化は、子どもたちに深刻なゆがみをもたらす。それは、「10歳までに自分の将来を見限る」という意識を子どもに植付け、自分を諦めるという新しい格差社会の前提をつくる。それは、既にニートなどの現在将来の展望も生きる気力も喪失した若者の増加としてあらわれている。これらに拍車をかけるのが「教育特区」による教育格差作りである。子どもの発達の可能性を摘み取る「格差の付いた学習内容」ではなく、義務教育の段階から学習内容に差をつけない教科教育を進めていくことが大切である。


B特別支援教室と通常教室(学級)との交流のあり方と教科教育をどうするか

 2001年に出された「21世紀の特殊教育のあり方」の最終答申で、それまでは通常学級には障害児がいないといわれていたが、インクルージョンの流れもあって、6.3%のLD,ADHD、アスペルガー症候群などの軽度障害児がいることを文部科学省が認めた。そして、当初これらの子供に対する施設設備の必要性を認めていた文部科学省は、小泉内閣の「構造改革」の一環である「教育の民営化」の中で後退し、新しく「特別支援教育」として位置づけた。これは、これまでの特殊教育の範囲を拡大して「障害の種類にとらわれない」という考えに立ち、障害児学級の担当者に「LD.ADHD.アスペルガー症候群」の指導を押し付けることにもなり、障害の特性や課題の違いを混同して通常の学級に持ち込み、新しい教育課題を教員に押し付けることになる。


C子どもをとりまく生活環境は

 子どもをとりまく生活環境は、きわめて悪くなっている。それは、食生活では朝食を摂らない子どもの増加による朝からの無気力、レトルト食品やファストフードを過食することによって栄養の偏りから味覚障害や食破壊を起こしている子どもの増加、炭酸飲料水などの過飲に伴う糖類の過剰摂取などとして現われている。労働条件の悪化と家庭の崩壊現象が拡大する中で、朝食をつくってもらえない子どもが増加し、「親と一緒に朝食をとる」小学生ですら46.4%と半数もなく、中学生では1/3にも達していない。(2005年6月発表の文部科学省「義務教育に関する意識調査」結果の速報から)子どもへの暴力や家庭崩壊が子どもたちの引きこもり・家庭内暴力を誘発子どもたちが人間関係を結ぶことができないで孤立し、人間不信を持つ原因の一つになっている。家庭生活では、生活リズムの攪乱や睡眠障害を起こしている子どもの低年齢化が深刻になっている。例えば、日本小児保健協会の調査によると、午後10時以降に就寝する2歳児が1980年の29%から2000年度に59%にまで増加したとの報告がある。

 私たちは、この社会の中で育てる子どもの教育課題を明らかにして、学力作りの土台となる家庭生活における規律の確立を保護者と共に指導を進めることが求められている。現在の生徒指導の困難性は、日本の経済政策に翻弄されている家庭の建て直しという課題を背負っている。

D「学校評価システム」、「教員評価制度」と学校管理

 全国の都道府県は、「学校評価システム」と「教員評価制度」を学校管理の両輪として推し進めている。企業で始まった目標による管理制度は、企業においても「成果主義の崩壊」という形で明らかにされるなど、教育活動に深刻な弊害と退廃を招く恐れがある。教員の個別化された「目標管理」は、その目標すら教員の自主性や創意を排除した「上からの統制」による目標であり、目標を達成できないときのペナルティを恐れて教育実践の水準を下げるなどの教育内容の低下にもつながるものである。


学校教育と学力問題

 今,教育関係者だけでなく,多くの人々の間で子どもたちの学力低下が大きな話題になっている。そのきっかけの一つは、OECD(経済協力開発機構)が2003年に実施した国際学習到達度調査(PISA)の結果、日本の中・高校生の学力が低下したことが明らかになったことからである。さらに、これを受けた形で,中山文部科学大臣が教育基本法の「改正」と共に「ゆとり教育」からの方針転換と学習指導要領の見直しなど14の課題を中央教育審議会に諮問したことにある。今こそ子どもの学力問題の視点を明らかにして「確かな学力を保障する」展望を実践と研究を下にして示すことが求められている。

@習熟度別授業は、生活集団と学習集団を分離

 学習指導要領の改訂が、「30%削減で学力低下」を引き起こしたという経済界からの攻撃や国民の不安感に対して、文部科学省は,発展学習などを認める学習指導要領の一部改定を行った。それを反映した教科書改訂によって、「発展的」な学習内容が復活し増ページがされた。しかしこれは、習熟度別学習や学級編成の一つの根拠となり、さらに学力の二極化を拡大する元凶になっている。それにとどまらず、習熟度別授業は、生活集団と学習集団を分離し、学力差のある子どもが学びあい共同する機会を奪っている。習熟度別授業は、その中に競争主義を内包し、発達段階の初期から選別的「区分け」をすることで差別的な扱いへと進んでいくことが、これまでの実態で明らかになっている。

 世界中で初等教育における「習熟度別学習」に成果が見られないにもかかわらず、文部科学省は、「学びの進め」で「基礎・基本の充実」といいながらも「習熟の程度に応じて」学習内容や学習方法に差をつくるという学力形成の複線化を小学校から進めている。中学校では、選択制が学習内容に格差を拡大し、9年間の義務教育で習得した学力格差は、高等学校の多様化に引き継がれて拡大する。

A「教育課程実施状況調査」

 文部科学省は、2003年度に全国の小学校5年生と中学3年生の約45万人を対象にした「教育課程実施状況調査」を実施し、結果を公表した。改訂学習指導要領で学んだ子どもを対象にした初めての学力調査であるが、文部科学省は前回(2001年)と比べて「基礎的事項を徹底する学校現場の努力で成果が上がりつつあるが、国語の記述式問題などには課題が残る」と概括している。しかし、中学校理科の結果では、設定正答率を下回った内容として「植物の生活と種類(58%)、身の回りの物質(46%)、動物の生活(38%)、天気とその変化(36%)」などあり、概括だけではなく学習内容に即した分析が必要である。理科教育において大きな問題は、中学生になっても「空気に重さがある」の正答率が28%しかなく、「蝋を熱して溶(融の間違いか)かした後、再び固体になったときの質量」についても正答率は34%に過ぎず、「重さの保存性」が身についていないことが報告されている。私たちが、学習指導要領の改訂で小学校の理科から「重さ」の教材が削除された問題を指摘していたことがそのとおりの結果を引き起こし、物質認識の基礎が形成されていないことが明らかになった。

B「学習指導要領の各教科、9年間の到達目標」

 中央教育審議会の義務教育特別部会は、「学習指導要領の各教科の9年間の到達目標」を明確にすることや、「全国的な学力調査」の実施、「学級編成の自由化」などで一致したとしている。具体的には「義務教育終了時点において具体的に何をどこまで達成するのか、義務教育9年間を見通した目標の明確化をはかり、学校教育法に規定することも検討する必要がある」と、学習目標の法制化まで言及している。私たちは、教育の民営化に代表される新自由主義に基づく教育行財政と、教科書問題や「日の丸・君が代」の押しつけなどの新保守主義からの教育攻勢に対して、「平和的な国家の形成者として心身ともに健康な」子どもたちの育成を実践的にも対置することが求められている。

 「基礎基本の充実」や「個性重視」の教育政策は、その取り組みを保障する財政的保障と教職員のゆとりすらなしに求めている。私たちは、習熟度別学習や学校教育の多様化に抗しながら、義務教育における「教育内容の共通部分」の保障とその先にある子ども自身が自分の進路を求め歩むことができる学力を保障することが必要である。格差の拡大を図る教科教育ではなく、「科学的な認識力や読解力など総合された学力」の保障によって、より豊かに能力が発揮できる基礎を子どもたちが身につけられるような取り組みを進めることが、父母にも求められている。この取り組みを進めるためには、各学校における教職員の共通認識を咲く利、父母や地域との共同の環を広げることが必要である。


憲法・教育基本法の改悪阻止に向けて

 新保守主義の政策は、教科書問題だけでなく、東京都にみられる「日の丸・君が代の強権的な押し付け」として具体化しており、憲法と教育基本法の改悪を含めた企てとして急速に進んでいる。私たち教職員は、戦前に教え子を戦場に送り出した反省から、憲法の平和主義と人権の擁護、そして民主主義の大切さを学校教育の中で教材にし、子どもたちが再び戦争の惨禍に遭遇することがないように、教育実践を進めてきた。「改憲」のねらいは、自衛隊を明文化してアメリカの指示の下に海外派兵と武力行使が可能なように憲法九条を改悪するものである。一方では、各地の「9条の会」の運動が野火のように広がっていることに見られるように、憲法を守る国民は、多数を占めている。


2. 実践報告・「小学校における学力づくりと仲間づくり」 (報告者・略)

1. 学びあう集団としての力を大切にしたい

  学力がつくことは、より人間らしい生き方ができることである。学力を個人の努力だけで見るのではなく、人とつながる力としても育てたい。学びあう集団としての力を大切にしたい。しかし、学校では管理職と教育委員会から個々の教材についてまで厳しい制限があり、教科書教材しか使えなくなくなっている。自作のドリルやテスト問題については排除しながら、一方では、校長が市販のテストや市販のドリルを強制するというおかしな行政が行われている。

  教科書教材が学力の低下のおおもとである。日本語を学びあうことが困難な国語教材(2年生の「動物園の図」だけで10時間も取っている、その一方では文学教材を2時間しかかけない)、考え方より計算が速くできることが中心の算数教科書、週案の提出強要で「教科書を教える」教育の押し付け、学力低下を子どもの責任にする習熟度別学習など、教育行政の管理体制の強化は、教師の実践の多様性と工夫と豊かさを奪っている。

2.基礎・基本の学力を考える

  学力の基礎・基本という場合、読み、書き、計算の力といわれるが、それは豊かで深いものがある。「読み、書きの力」とは、漢字を覚えることも読書も大切であるが、それだけではなく、文法も説明文も文学の読みも含まれている。漢字や読書が、上から押し付けられ生徒や教員の管理のために使われている。読書タイムが上から強制されて子どもの下校時間が遅くなり、また座って読んでいるかどうかという子どもを管理し点検するためにつかわれている。

  文学教材は、言葉の芸術だから、正しい読解は当然だが大切だ。文学の学習を通して自分の思ったことを表現したり、友達の思いを聞いたりして、人間を学びあうこと、感性を育てる学力として大切にしたい。自分の思ったことを表現したり、友達の思いを聞いたりして、人間を学びあうこと、完成を育てることも学力として大切にしたい。 生活をつづることについて、一つの作文に8時間もかけることになっているが、2年生はこんな時間配分に耐えられない。日記などで自分の生活を見つめ、生活を語ることが大切である。日記などで子どもが自分の生活を見つめ作文に書くことは、教師にとっても子供を理解するために欠かすことができないものになっている。通信に乗せて読み会うことで書いた本人を励まし、友達とのつながりを広げていくことを大切にしたい。これらは、数値化しにくいけれども人間らしさを育てる上で大切な学力になる。文学での人間認識、つづり方での生活認識が学力の基礎になる。

  計算力は、意味がわかってから計算を繰り返し練習することが大切で、忘れても思い出すことができるのは意味が説明できることによって可能になる。

3.どの子にも確かな学力を

  学力低下は、学校の責任で、家庭の責任ではない。文部科学省の「学びのすすめ」では、家庭教育の責任にしている。学力は家庭でということからドリルがはやっている。これは、教育の民営化、教育の個人責任という新自由主義の表れである。現在では、高い学費、安いバイト代で自分では大学にもいけなくなった。一人ひとりの学ぶ権利が保障されるというのが憲法・教育基本法の精神である。

  漢字ドリル、計算ドリルは、文字として漢字の意味を理解しながら覚えられるように自作のプリントドリルをつくっている。漢字ドリルは、教科書の文から今まで習った漢字も入れて家庭学習の後に毎日テストをする。手本は、見やすく、正しく、丁寧に、書き順も注意して作る。音読は、保護者用に教科書を縮小印刷して子どもと一緒に読めるようにする。書く力、話す力、聴く力、つながる力(日記と学級通信を使って)、できたことを友達と共に一緒に喜び、クラスのみんなが認めてくれるともっとうれしいといえるクラス作りをする。

  習熟度別学習は、学力差を広げ、子どもに差別感を植えつけ、やる気を削ぐなど課題が多く、少人数学級を志向している。

4.課題をもつ子どもをクラスの宝として

  子ども一人ひとりが個別化しているように見えるが、願いはみんな同じである。それは、勉強がわかりたい、友達と楽しく遊んだり、話をしたい、自分のことをもっと見てほしい、認めてほしいということである。学級懇談会を持ったり、特別支援の子どもをクラスのみんなで抱えたり、地域で教育懇談会を持ったりして、クラス作りをしている。そのためにも子どものことが何でも話せる職員室にすることが大切である。


3.実践報告・「数学における学力補充の取り組み」(報告者・略)

1.A高校の取り組み

 A高校は、教育目標を達成するため、

@教職員で議論を進め教職員の合意と納得で取り組みを進める、
A授業と自主活動を中心に取り組みを進める、
Bわかる授業を進める、そのために学力補充を部活動に優先させる。
C生徒の生活や学力やからだの実態をつぶさに調査して、それに基づいた学校の取り組み、教科の授業などを計画する。これらは、多くの学校でも実施しているが、目的と使い方が異なっている。
Dこの実態調査は、調査だけで終わるのではなく教育活動に直接生かすことに用いている。


2.実態調査の取り組み

 1994年から、1年生を対象にして「学習と生活と体」に関するアンケート調査を実施し、生徒の生活の変化と大変な実態に直面した。翌年から全校生徒を対象にして実施した。その結果は、授業を中心にしてすべての教育活動を見直し、検討する基礎的な材料にしている。その結果、次のような取り組みに発展している。

@中学訪問を全校体制で、
A入学予定者への説明会と学力診断テスト、
B入学後にホームルーム別の「3年間の学習プラン」を用いてなぜ、なにを学ぶかを説明する。
C遅刻防止週間の設定と指導、
D春と秋の公開授業、研究授業の実施、
E体と生活に関する保健部からの広報、
Fわかる授業の追求と教職員夏季研修、
G総合的な学習の時間を使って読書の時間、
H全体のまとめと総括を行い次年度に引き継ぐ。

3.数学の診断テストと学力保障のとりくみ

  数学科では、毎年方針を作り、1年後にそれに基づく総括を文章化している。特に重点を置いているのは、

@全ての生徒に基礎的な数学の学力をつける。1年生は、少人数授業(26人から30人程度)で行い、U類は20人で授業をしている。U類のためには、教員が基準よりも多く授業を持つなどの「持ち出し」をしている。
A数学T・Aの評価は、テストで基礎的な内容を**%出題してそのうち**%以上を評定「3」にしている。**点未満の生徒には、補充と再テストを行い、全員が評定「3」以上になるようにしている。
B数学Uについては、考査ごとに補充と再テストをおこなっている。
C全学年で進路保障のための数学の補講をおこなっている。

 このような取り組みによって、数学が不認定になる生徒が激減し、原級留置や退学する生徒も極端に減少している。

4. 自習塾のとりくみ

  教育目標の「基礎学力の充実」を実現するために、生徒の学習意欲と自学自習の姿勢を引き出すことを狙って、「自習塾」を学校内に設置した。これは、1年生クラス全員を対象にして、一週間に一回以上放課後の3時40分から5時までの80分間「自習塾」に参加を義務付けた。そこでは、家庭学習の内容や復習・予習をさせている。3教室分の生徒がいるため、全教職員が当番制で毎日3人が出て生徒の質問への対応と学習方法の説明の指導と援助をするものである。 この取り組みに対して、生徒の73%は、自習塾を「有効に活用できた」と答えている。この取り組みは、担任団でも肯定的な評価があり、二学期も担任団の当番制で指導して継続する。


 
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