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  学校統廃合と小中一貫教育を考える
第7回全国交流集会in京都 報告集
 
   「学校統廃合と小中一貫教育を考える第7回全国交流集会in京都 報告集」の内容について、当ホームページに掲載されているものはその概要を編集したものであり、必ずしも報告集の全文を正確に掲載しているものではありません。文責はセンター事務局にあります。詳しい内容につきましては、「学校統廃合と小中一貫教育を考える第7回全国交流集会in京都 報告集」冊子でご確認ください。  
  連帯あいさつ 全日本教職員組合副執行委員長 中村尚史 
 

 学校統廃合と小中一貫教育を考える第7回全国交流集会にあたり、連帯のご挨拶を申し上げます。全教・副委員長の中村です。最初に今日の集会成功のために奮闘、尽力された実行委員会のみなさん、また子どもと学校を守ろうと奮闘されている全国のみなさんに心からの敬意を表するものです。

 さて、第一次安倍内閣が発足した2006年度と比較すると、学校数は、2016年までの10年間に、公立で見れば、幼稚園が890園、小学校2596校、中学校635校、高校456校が減少しています。そのうち2014年度からの2年間では、同じく公立で、小学校547校、中学校152校、高校39校が減少しています。この10年でみると、小学校で毎年250〜300校、中学校で60校から80校、高校が20〜50校ずつ減っていることになります。

 この背景には、歴代自民党政権、特に小泉内閣時代以降の新自由主義的構造改革が大きく作用しています。さらに、2014年度の義務教育学校、いわゆる小中一貫校の制度化、2015年の統廃合の手引の改悪、同じく2015年度の地方教育行政法の改悪などの学校制度や教育行政の制度改悪も大きく作用しています。また、総務省のすすめる「公共施設等総合管理計画」も見過ごすことはできません。これは、「公共施設等の老朽化対策」のために公共施設の「更新・統廃合・長寿命化」をはかるとするものです。安倍内閣が進める国土強靭化政策や「日本再興戦略-JAPAN is BACK-」に基づく「インフラ長寿命化基本計画」にも位置づけられているもので、総務省の示す指針に沿って、各自治体で公共施設の延べ床面積の縮小計画が進められています。たとえば、さいたま市では、2050年までに小学校の延べ床面積-5.2%と数値目標を設定 近隣の学校との整理・統合の検討などをあげています。また、伊丹市では、2030年度までに延べ床面積を10%以上削減、施設の機能移転、統合、複合化などを検討課題に挙げています。

 文科省が学校に関わる諸制度を改悪し、総務省、財務省が財源をしぼるというしくみです。地方自治体は国に対抗するための法的根拠を弱体化され、兵糧攻めにさらされているという状況ともいえます。今後、これらの制度改悪によって統廃合がいっそう加速するのではないかと懸念されます。

 安倍政権は、トランプ大統領に脅されれば、要求されてもいない年金財源をアメリカに投資することを約束し、辺野古の新基地建設などで大盤振る舞い、大企業にはさまざまな優遇措置など、アメリカ追随、大企業奉仕も極まれりという状況です。さらに、国有地売却疑惑など、暴走、腐敗はとどまることを知りません。問題の根源である国の姿勢をあらためるための政治改革が求められています。

 同時に、やはり学校は地域とともにあります。どういう状況であれ、教育では子どもが一番、教育のことを決めるのは父母・保護者、住民です。子どもを真ん中に、父母・保護者、市民、教職員が力を合わせて学校と教育を守るとりくみが重要です。

 先日の全教の大会でも地域とともに学校統廃合をとどめようとのとりくみが報告されました。兵庫県では、地域でフォーラムを開催し、行政当局との懇談をすすめるなど共同がすすんだある地域では、地域に学校があることの大切さを互いに確認し、たとえ学年1クラスであっても学校を存続させると合意したということでした。

 また、静岡のある地域では、統廃合はされたけれども住民を中心とした粘り強いとりくみで分校として学校を地域に残す方向ですすんでいると聞いています。

 子どもを真ん中に、子どもの声を聞き、父母・保護者、市民、教職員の共同のとりくみをいっそう強化して、憲法と子どもの権利条約が生きる学校、子どもたちの成長・発達を支える学校を守り、発展させようではありませんか。今日の集会がそうしたとりくみの結節点になることを願うとともに、全教もみなさんと力を合わせてそのとりくみを進めることを申し述べ連帯の挨拶とします。
 

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                            2017年6月1日発行
                          第7回全国交流集会京都実行委員会