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子どもと親を支えるネットワークづくりをめざして
 
親子支援ネットワークあんだんて
                    南野みつる



情報誌『プロン・トン・トン』

 
 親子支援ネットワーク「あんだんて」は二〇〇三年五月、「不登校ガイドブック2号『プロン・トン・トン』」の発行を機に活動を始めたボランティアグループです。
 
 スタッフは九名の母親で、七名は子どもの不登校を経験し、二名は不登校ではないけれど子育てで悩んだ経験を持っています。それぞれが自分たちの経験を生かしながら、今しんどい思いをしている人たちが少しでも気持ちを楽にしていただけるよう、支援することをめざしています。
 
 私たちは二〇〇〇年秋にNPO法人が開催した「不登校サポーター養成講座」で出会いました。一三回にわたる講座で、医療、心理、教育関係者や支援者などの話を聞き、不登校について詳しく知るとともに、多くの同じ立場の仲間、支援しょうとする人たちと出会ったことが、私たちの出発点です。九〇名ほどの受講生のうち、一〇名あまりがサポーターとしてこのNPOに残り、不登校に関する通信の発行、親の会などの支援活動にかかわってきました。
 
 その中で「不登校」というのが、単に個人の問題ではなく、今の社会や教育の問題に根ざす奥深いものだと感じるようになりました。またその対策にも力が入れられるようになり、新しい支援も生まれ始めたにもかかわらず、その情報を知る術がなく、孤立して苦しんでいる人が多くいることも実感しました。そこで少しでも新しい情報を届けるため、すでに発行され好評を得ていた「京都発不登校ガイドブック」の二作目を発行することを決め、取材や編集を進めてきました。
 
 その頃、NPO法人が小さい子どもの子育て支援に力を入れることになり、共に活動することが難しくなりました。そこで私たちは今までの経験を生かし、より専門性を高めた支援をめざして、親子支援ネットワーク「あんだんて」として独立し、『プロン・トン・トン』を発行したのです。

 
遠方からの問い合せも

 
 「あんだんて」の主な活動は、隔月発行の「あんだんて通信」の発行、おしゃべり広場(親の会)「ゆうスペース」や個別相談「オンリーワン」の開催、HPでの情報提供などです。HPには掲示板ももうけ、本音の意見交流も行われています。『プロン・トン・トン』も新聞やラジオなどで紹介され、近畿地方のみならず遠方からの問い合せも多くなつています。また昨年十一月には立命館大学助教授の春日井敏之先生をお招きして「不登校の子どもを持つ親のための進路相談会」を開催し、多くの方々のご参加がありました。現在はこの相談会の報告も兼ねた、『進路ガイドブック』を編集中です。この本には様々な進路情報のみならず、親や子どもの体験談をたくさん掲載し、中学卒業を迎えて子どもが自分の生き方を考えるのに役立つ本にしたいと思っています。また地域や教育関係の研修会などにも呼んでいただき、「親の視点で不登校をどう捉えるか」を話す機会も増えてきました。
 
 私たちの子どもは、不登校の時期を経て自分なりの道を見つけた者、今自分の道を模索している者、最近不登校になり今渦中にいる者などそれぞれです。ここに至るまで、私たちは様々な方たちに支えられてきました。これら多くの支援者たちとネットワークを組み、不登校のみならず子どもたちを取り巻く社会や学枚の状況が少しでもよくなるよう考えていきたいと思っています。
 
 先日、自分の体験を話す機会があり、準備のために子どもにいろいろ聞いてみました。「オレの体験が役に立つんやなあ」となんだかうれしそうな表情。
 
 そう、私たちの活動はあなたたちのしんどい思いからスタートしてるんだよ。同じ立場の子どもたちが少しでも楽に過ごせるように。
 
 
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