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W.学校の先生における対人関係の特徴 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(1)児童の発達的特徴について
@教師との関係
従来であれば、小学校入学当初の児童にとって教師は絶対的権威者であって、教師の判断、指示を絶対視して服従するという傾向があった。しかし、今日「小1プレミアム」と言われるように、小学校入学当初から、教師の権威を無視、あるいは拒絶し、「自分勝手な」行動に走る傾向の児童が指摘されてきている。全体としては未だに、小学校低学年〜中学年において、この教師に対する権威=服従の関係は存在しているが、しかし3年生ごろから児童同士の結びつきが強まるにつれて、児童は教師の自分に対する態度に敏感になってくる。4〜5年生ごろから、教師に対して公平・平等な扱いを求め、批判的態度も示すようになる。
児童によって好まれる教師の特性に関する従来の研究は、小学生の時期には教師の人格特性が最も多く指摘され、次いで指導態度や指導技術が重視されており、学識についてはほとんどふれていないことを,ほぼ一致して報告している。
今回の調査では、人格に関する項目・指導に関する項目に分けて検討してみると、人間性に関する項目では、「おもしろい」「明るい」「元気でいい」などの項目が高い値を示し、反面「まじめ」「熱心」などの項目は低い値を示している。また、指導性の面では、「わかりやすい」「やさしい」「よく話を聞いてくれる」などが高い値を示している。これは、児童が不文に対して、「ていねいな」対応を求めている現れであろうと思われる。反面「きちんとさせる教師」「注意の多い教師」には、あまり好意を示していないことが分かる。 (2)調査項目から見られる特徴
(質問番号14)「あなたの好きなタイプの先生はどれですか?」の結果は、次の通りである。
先生との関係は、「明るい」「面白い」「元気」
などの積極的な面と共に、「話をよく聞いてくれる」「やさしい」など自分を受け入れてくれ
る存在を求めていると思われ、この点は、友だちに対する思いと同じである。
また、「解りやすい」「きちんと注意してくれる」
「差別しない」などの面で求めている教師の指導性について子どもの評価が表れている「まじめ」「熱心」などの教師は、子ども達からあまり好かれていないことがわかる。
(質問番号15)「あなたにはにがてなタイプの先生がいますか?」の結果は、次の通りである。
小学生では学級担任との結びつきが強いが、同時に学校の中でさまざまな教師と関わることも多い。しかし、一人の教師でもさまざまな面を有しており、直接的に教師への信頼関係を失っているとは思えないが、「はい」の子どもが8割も占めるというのは、教師であるからといって無条件に子どもは支持(従って権威)を認めていない、ということの現れではないか。
(質問番号15−2)「それはどんなタイプの先生ですか?」の結果は、次の通りである。
(質問番号14)の結果と比較してみれば、子どもたちの求めている教師像が浮かび上がってくる。すなわち、@教師専制ではなく、子どもの意見も尊重する。A重要な点で教師の指導性には期待するが口うるさく注意されるのはイヤ。などの教師の姿を子ども達は求めているの
ではないかと思われる。子どもは自分自身に対しては「認めてほしい」「やさしく接してほしい」「意見を聞いてほしい」という思いがあるが、同時に学級集団に対する教師の指導性は強く求めているのではないかと思われる。
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