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  ●京都教育センター通信 
復刊第87号
 (2014.6.10発行) 
   
『地方教育行政法』(教育委員会)の改悪に反対し、
子どもたちの成長・発達を保障する教育行政を求めるアピール

 
 安倍政権は、4月4日教育委員会制度を見直す地方教育行政法改正案を今国会に提出しました。その内容は、本来あるべき教育の自白や自主性が奪われ、これまでの教育委員会制度を根底から覆すことをねらったものとなっています。

 第1に、従来の教育長と教育委員長を統合し、教育行政の責任者として、新『教育長』を置き、任期を3年とし、首長が議会の同意を得て任命・罷免できるとしています。

 第2に、首長が主宰する「総合教育施策会議」を新設し、首長のりーダーシップのもとに教育行政の太絹的な方針を定めるとしています。これにより首長に教育の基本方針に関する「大綱」を策定する権限を与え、首長の教育行政に関する権限が強化されることになります。

 第3に、「緊急の必要があるときは、当該教育委員会に対し」是正の指示ができるとし、これまで以上に国の関与を強めるものとなっています。


 教育行政は、日本国憲法の精神に従い、政治から独立して、自主的な教育活動を守り、育てるものでなくてはなりません。しかしながら、法案は逆に首長による「大綱」策定と、首長による新しい教育長の任命を通して、自治体における教育行政と教育を、国や政治家の意向に沿ったものへと転換するものです。

 子ども全国センターがおこなった全国の教育委員へのアンケート調査によると、首長の政治的な考え方がより反映しやすいしくみに変えようとしていることに対して、「反対・どちらかといえば反対」が68%に上っています。自由記述欄では「教育の中立性・継続性が損なわれる危険性が大きい」「首長の考え方で教育が変わることは混乱を招く」「各地方で、その地方にあった教育行政がおこなわれるべき」など、現行の教育委員会のあり方に則って委員の仕事を遂行されていることがうかがえる内容です。

 京都教育センターは、結成時より一貫して平和・民主主義・基本的人権を基底とする日本国憲法の精神に則り、教育研究と教育運動を進めてきました。また多くの教育に関わる諸団体の方々と、子どもと教育をよりよいものにするために力をあわせて取り組みを強めてまいりました。その立場から、「地方教育行政法」の改悪に反対し、教育の自由を守るため教育行政の独立性を保持し、子どもたちの成長・発達を保障する教育行政を求めます。

2014年5月2日
京都教育センター
                              代表 高垣忠一郎

 京都教育センターは上記のようなアピール文を発表し、研究者や教育委員、これまで教育に関わってこられた方や団体の方々に、賛同のお願いをして、広げてきました。5月28日時点で、216名(氏名公表不可12名を含む)の方から返事をいただきました。今回の通信では、寄せられた方の氏名とコメントを紹介します。(ホームページではコメントを省略しています) 
  
   
 
「安倍政権の教育改革のゆくえ」連続学習会始まる

 第1回目は、野中一也京都教育センター顧問が「安倍政権の教育改革のゆくえ〈全体像〉―子どもたちをどこへ連れていくのかー」と題して5月24日、教育センター室にて行われました。

 まず、安倍政権の背景をさぐるとして、@「日米同盟」下で自民党の「改憲政党」の本質が露呈、A日本の右翼思想の「現実」化―愛国心をもって戦争する国民を育成、教育で「軍人」育成、B財界の要求にこたえつつ、新自由主義政策を進める、C悲願の憲法改悪をー秘密保護法、解釈改憲で集団的自衛権容認などですすめている、と4点にまとめられました。

 そして、今現れている具体的教育政策として、@教育委員会法の改悪、A大学ガバナンス「改革」、B教育課程の改悪―教育内容への介入、「道徳教科書」づくりと押しつけ、教科書採択基準の「改変」、C強制的指導の容認などが現れていることを指摘されました。最後に、あらためて教育とは何かを問い、いのち・人権・平和を内包する憲法を教育へ、足を地に着けた運動の提起をされました。

参加者からの感想
・短時間でもったいない。体系づけられたレジュメ、話の内容で今の局面の経緯と背景がよく理解できた。安倍の「美しい国づくり」がベースにあって、今の「教育改革が」全面展開されていることが明快に指摘された.こうした情勢に対峙した私たちのとりくみや運動についても「ストライクゾーン」を広げて智恵を出すことの重要性を痛感。「足を地に着けた運動」の戦略を練る場が急がれる。
・野中先生の戦中からの経験を踏まえたお話に今の安倍政権の「教育改革」の本質が、とてもよく理解することができました。今後の連続学習会に期待しています。

今後の連続学習会「安倍政権の教育改革のゆくえ」毎月第4週10:30〜12:00教育センター室

  第2回 公開研究会「教育委員会制度」6/21(土)三上昭彦13:30〜 教文センター101

  第3回「大学制度改革で小・中・高校の教育はどうなるか」7/26(土)高橋明裕さん

  第4回「道徳の教科化の動きと副読本『私たちの道徳』分析」8/23(土)大平勲さん、西條昭男さん、倉本頼一さん

  第5回「教科書問題と安倍政権の歴史観」10/25(土)研究者、教科書ネット、出版労連(未定)13:30〜16:30 教文センター101

  第6回「6・3・3・4制」改革で学校をどう変えようとしているのか」11/8(土)川地亜弥子さん

公開研究会  連続学習会「安部政権の教育改革のゆくえ」(第2回)

日時 6月21日(土)13:30〜16:30
会場 京都教育文化センター101号室
講演 「教育委員会制度改悪の問題点と今後の私たちの取組の展望」
講師 三上 昭彦さん(元明治大学教授)
報告 「京都の教育行政のあり方」(府職労教育支部より)
共催 京都教育センター 子どもと教育・文化を守る府民会議 
京都教育センター学力・教育課程部会 公開研究会

テーマ 「子どもたちの実態を明らかにして課題を克服する学力保障の取り組み」
日 時 2014年6月15日(日)13:30〜16:30
会 場 京都教育文化センター302号室
基調報告・提起 「教師が子どもの実態をもとに力量を高めていける職場とは」
講 師       峰山 泰弘 先生(本研究会代表・追手門学院大学)
実践報告 @小学校:「豊かに育つことと学力保障のつながりを改めて考える」 得丸 浩一 先生
       A中学校:「公立高校制度改変に伴って起きている問題」 高木 政和 先生
       B高等学校:「新入生の実態と高校の課題について」 島貫 学 先生 

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