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  ●京都教育センター通信 
復刊第86号
 (2014.5.10発行) 
   
京都教育センター代表就任のご挨拶

          京都教育センター代表・心理臨床家      高垣忠一郎

   (2014年4月より野中一也代表から高垣忠一郎代表に替わりました。)
 

 私は3月に古希を迎え、立命館大学の特任教授の任も終え40年間の大学教員生活に「さようなら」をしました。そして新たな人生のステージに立ち、残された人生をどのように生きていくのか?来し方行く末をゆっくりと考える暇もなく、諸般の事情と縁あって京都教育センター代表の任をお引き受けすることになりました。

 人生にはいくつかの移行期がありますが、それは古い状況に「さようなら」をし、過渡期の混乱を経験し、それから新しい状況にむかって「こんにちは」をしていく困難なプロセスです。変わりたいのも真実だし、変わりたくないのも真実です。その移行期のさなかに「死と再生」を経験し、バランスを崩して「症状」を出すことも少なくありません。

 思春期という子どもから大人への移行期にあって、親の敷いたレールを素直に走ってきた「よい子」の自分に「さようなら」をし、新しい自分に「こんにちは」をする生みの苦しみを、登校拒否・不登校という「症状」として表現する子どもたちも少なくありません。

 孫ができる人生のステージをインドのヒンドゥ教では「林住期」といい、社会的な活動に背をむけ一人で森に入って思索の時を過ごす時期だと言われます。人生の後半のこの重要な転換は意味への関心が強くなり、単純な達成に興味を失います。役割や地位を着て忙しく立ち働いて何かを達成するよりも、じっくりと考える時間が欲しいのです。

 正直言えば私自身もそうでした。40年にわたる私の心理臨床実践のなかで経験してきたこと、たくさんの子どもや親にカウンセラーとして寄りそって得た貴重な資料や記録を整理しまとめ、深く考察して新しい知見を生み出したい。そのために残された時間をつかいたい・・・。

 だが時代がそれを許してくれません。多くの人がこの歳にいたっても、いろいろな悩みを抱えています。不登校やひきこもりの全国の「親の会」の親たちの多くが高齢化し、不登校やひきこもりの息子や娘のことで悩みながら、年老いた自分の親の介護に疲れ果てています。たとえばこのような問題もまた、日本人がそろそろ資本主義というシステムに「さようなら」をしないといけないのに、「古い自分」にしがみつく時代や社会の「生みの苦しみ」の表す「症状」にちがいありません。

 私が心安らかに「林住期」を生きることを断念し、定年後も京都教育センター代表という役割を着て、もうひとがんばりせざるを得ないのもまた、私だけの個人的な「症状」ではなく、時代や社会とともに生きざるをえない人間の運命なのだと引き受けたく思います。皆様とともに新しい時代と社会を切り拓く志を共有し、生きられることを願っています。

  
 
1年の1学期
  教科書対応の数図ブロックを活用豊かな学びを創ろう!

                 下田 正義(算数サークル)

 
1.10までの数の学習で、指導書の記述は

 「数図ブロックは、数えたい具体物との間に1対1対応をつくり、数えもれのないようにするために活用される。それと同時に、並べ替えて、数図と同じ形状を作り出すことができるので、具体物と抽象物を結ぶ架け橋の役割もはたしている。具体物→数図→数字と言う流れだけでなく、その背後に存在する数を体感させることに留意したい。」「10までの数(数図をつくる)数図ブロックを単に横に並べるのではなく、まず5のかたまりをつくり。その下に残ったものを並べ、数図と同じ形状を作る。」「この形状とともに数を認知する経験は、10の補数を意識に刻み込む効果もあり、その後のたし算・ひき算の素地作りにもなっている。」「(ならべよう)この活動では、数図ブロックを数図と同じ形状に並べることが重要である。この活動によって、個々の数を数図と言う視覚的なイメージとともに意識に刻み、その定着を図っていく。」と述べています。


2. 教科書「6から10までの数」をながめる。



 見てわかるように、5の2段の数図をもとに、具体物やブロックも同じように表しているものがほとんどです。つまり、5といくつで6以上の数を認識するようになっています。その中で、啓林館はブロックを5の2段のケースに並べています。日文はドットを5の2段の枠に書いています。いずれもあといくつで10になるかがより鮮明になるのがわかると思います。

 「いくつといくつ」では、どの教科書も数図を使った合成分解を扱っています。特に「10の合成分解」では5の2段の数図が大きな役割をはたしています。数教協でも、5の2段のタイル図を使うものが、特別支援教育の実践でとても有効なものとして取り組まれています。

3.教科書「3+9型」のたしざんを眺める

 普通、くり上がりのたし算では、10をはじめの数で作る形になっています。3+9型の計算では後の数で10を作る方がわかりやすいです。そこで学図と東書は、卵の問題を出して、卵パックの写真を載せています。これがとても分かりやすいのです。



 啓林は右のような挿絵を載せています。
 ここから、わかることは「両方ともケースにブロックを並べた状態で考えたらいい。」ということです。
 啓林の8+6の場面の図は、次のようになっています。



 これが両方シートに並べた図だと次のようになります。



 どちらが、わかりやすいでしょうか。
 両方シートに並べた場合は、6がわかりやすいです。さらに8の方で10を作る方法だけでなく、6の方で10を作る方法、5と5で10を作る方法を考える子どももいるはずです。


5 啓林教科書にちょっとスパイスすると

(1) 5までの数と合成分解

 5の箱を用意します。5のケースに5までの数を並べて操作することで、数のイメージが膨らみます。
  (教科書)


(ケースと数図ブロックで操作)


 数図ブロックが入るような箱を作ります。



 図を画用紙に印刷し、切り込み線−−−       折り線------     に沿っており5mm幅の両面テープでとめます。
 5までの数の学習で、この箱にブロックを並べてあらわすことで、3はあと2で5になることがよくわかります。




 5になったら裏返せば5のカンヅメになります。

(2) 6より大きい数は5といくつで

 折り紙で袋(筒状)を作ってブロックを詰めれば5のカンヅメができます。
 折り紙で10cm×7.5cmを用意します。次に子どもたちが使っている、ブロックの一辺の長さと厚さを測ります。そして1辺+厚さ分(例2cm+1cm=3cm)だけ折ります。そして糊付けして筒状にします。そして、1cmと2cmになるように折れば出来上がりです。この5の袋は、とても簡単に作れます。袋に詰めたりばらしたりできます。



5の箱や5の袋と5の2段のケースと数図ブロックを使えば、理解しやすいことは証明済みです。



いくつといくつで、10だけでなく、6から9までの数でも、使います。
下図を400倍に拡大印刷します。(ケースの1辺が2cmになるようにします。)B5用紙に印刷できます。
クリアフォルダーA4に挟み込んで、たし算・ひき算で使います。数字は、ホワイトボード用マーカーで書いて使います。


(3) 4+2のたし算



(4) 7−4のひき算



 
   
 

新自由主義と復古的教育観に抗して、子どもの豊かな発達を保障する教育を
−−2014年度の京都教育センターの活動方向−−

1.
(1)基本方向


 ・新自由主義と復古的教育観による統制的教育に抗して「子ども論」を軸に、すべての子ども達の豊かな発達を保障する教育活動や教育実践を現場教職員との連携を強め、普及に努める。
 ・医療・福祉分野との連携を探り、地域における学校のあり方を父母とともに探求する。

(2)活動の重点

 ・安倍内閣の教育再生に抗し本来の教育のあり方を探求し、広める。―教育委員会制度、道徳教育教科化など
 ・いじめ・体罰、発達障害など子どもの発達に関わって子どもの人格形成上の課題を探求する。
          −学警連携、ゼロトレランスなどの問題―
 ・教科書の問題点、学力テスト体制を検証し、自主的な実践をつくる。−学校のあり方、教師のあり方を問う
 ・地域での子育て運動とともに今日の学校のあり方を父母・教職員とともに考え、共同を広げ、課題を探る。
 ・高校制度改定に伴う課題・問題点を明らかにし、高校教育について探求する。
 ・原発問題と子どもの育ちと教育のありようを検証する
 

2.センター体制

・顧問:野中一也
・代表:高垣忠一郎 
・研究委員長:高橋明裕
・事務局長:本田久美子
・事務局 下田正義
・運営委員(上記含めて16人)大平勲、川地亜弥子、倉原悠一、倉本頼一、西條昭男、築山崇、中西潔、原田久、松岡寛、得丸浩一、佐古田博
・「ひろば」編集委員:西條(編集長)、大平、倉本、川地、本田、下田 
・HP管理 浅井
◎ 各研究会事務局担当
・地方(我妻) ・生指(横内) ・学力(市川) ・発達(大平) ・地域(姫野) ・高校(原田) ・カウンセリング(原木) ・国語(西條) ・障害児(西城)

3.とりくみ

 ・第45回教育研究集会 2014年12月20日(土)、21日(日)教文センター
 ・連続学習会「安倍政権の教育改革のゆくえ」毎月第4週10:30〜12:00教育センター室
  第1回「安倍教育改革(全体像)」5/24(土)野中一也
  第2回 公開研究会「教育委員会制度」6/21(土)三上昭彦13:30〜 教文センター101
  第3回「道徳の教科化」7/26(土)
  第4回「大学制度改革」8/23(土)
  第5回「学制」9/  未定
  第6回 公開研究会「教科書問題」10/  未定
 ・「センター通信」の発行:毎月10日 教育実践の紹介
 ・季刊誌「ひろば」の発行:5月、8月、11月、2月 定期読者募集中

(京都教育センター公開研)少年犯罪に「厳罰化」の動きがある中で青少年の立ち直り支援の活動に光を!
      5月17日(土)14:00〜17;00   京都教育文化センター101号室
講演「青少年の立ち直り支援に関わって」藤木 祥史(全生研指名全国研究委員・元乙訓中学校教員) 
〈京教組・京都教育センター地方行政研合同学習会〉
      5月18日(日)13:00〜16:30    京都市職員会館かもがわ3階
 講演:安倍「教育再生」とは何か−政権存続の突破口としての教育改革―
                              中田 康彦氏(一橋大学教授) 
〈京都教科書問題連絡会学習会〉
 6月1日(日)13:30〜16:30    京都教育文化センター301号室
安倍「教育改革」の下で教育・教科書はどうなっていくのか 
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